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「ブラック薬局」の見分け方 最大のポイントは薬剤師の質

【「どこも一緒」ではない】

 約5万8000店──日本全国にある薬局数だ。いまやコンビニ(5万5000店)をも凌ぐ。そうした“乱立状態”が、「危ない薬局」を生み出しているという指摘も多い。

 7月下旬、京都大医学部附属病院の院内薬局に薬剤師として勤めていた男女2人が、調剤ミスで60代の女性患者を死亡させたとして、業務上過失致死容疑で書類送検された。

 では、命の危険を招く危ない薬局をどう見分けるか。薬局の良し悪しを決める最大のポイントは薬剤師だが、その質の見極めは「発言」がヒントになる。薬剤師の宇多川久美子氏がいう。

「最初に『お薬手帳をお持ちですか』と聞かない薬剤師には要注意です。お薬手帳にはいつ、どこで、どんな薬を処方されたかが記録してあり、患者の服薬リスクを知るには欠かせない」

 よく薬局で「今日はどんな症状ですか」と聞かれると、「さっき医者にも説明したのに」と面倒に感じてしまう。だが、一見ありふれた質問には深い理由がある。『薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100』の著者で薬剤師の児島悠史氏が指摘する。

「医師が書く処方箋には、病名は記されていません。病状と処方薬が合致するかを確かめるため、薬剤師が患者の状態を聞くことは重要な業務です。実際に、病院の医師や事務スタッフの誤りで、病気と薬が合致しないことがあります。この作業をおろそかにする薬剤師は患者のことを考えていません」

 薬剤師の主な業務は、処方薬の調剤と患者の服薬状況の確認、および服薬についての助言だが、「市販薬」や「サプリメント」についての知識も必要不可欠だ。医薬情報研究所取締役で薬剤師の堀美智子氏が語る。

「両方ともお薬手帳には記載されませんが、処方薬との飲み合わせが悪く、重篤な副作用が生じるリスクを持つものがある。調剤時にサプリや市販薬の利用を確認しない薬剤師はお勧めできません」

 患者側からの質問も、薬剤師を見極める手段になる。

「例えば市販の風邪薬の中には、血糖値や血圧を上げるものがあり、高血圧の患者が服用し続けると症状が悪化するケースがあります。患者から『今、こういう風邪薬を飲んでいるけど大丈夫?』と質問されても答えられない薬剤師は勉強不足の可能性がある」(堀氏)

 また、堀氏は、優秀な薬剤師ほど「患者にわかりやすい言葉で説明する」と指摘する。

「例えば消炎鎮痛剤を調剤・説明する時、『腎機能障害の副作用があります』と言っても、患者はよくわかりません。腎機能が衰えた際の症状を『足がむくんだり、おしっこの量が少なくなったら、薬の副作用の可能性があるのですぐに相談してください』と具体的に説明しないと、副作用を見逃してしまいかねない」

 患者の健康状態についても具体的な質問が必要だ。

「例えば『毎日のお食事はおいしく召し上がられていますか?』と聞けば、食欲がなく体調が悪いのか、味覚障害のせいで食べないのか、薬の副作用で唾液が出ないのかなど、患者の健康状態を細かくチェックできる。『何か困ったことはありますか?』という漠然とした質問だけの薬剤師は、副作用のチェックが不十分の恐れがある」(堀氏)

 薬局と薬剤師の役目は、その都度の薬を出したら終わりではない。長期的に患者の服薬状況を見守り、助言することが求められる。

「とくに降圧剤など複数の薬を常用する場合、医師が薬の量や種類を変更することがよくあります。量や種類が変わったことを伝えて、『気になることがあれば教えてください』と声掛けすることが大切です。事務的な説明をして、『ではお大事に』で終わる薬剤師は問題です」(宇多川氏)

 医師との連携がきちんと取れている薬剤師かどうかも重要なポイントだ。とくに頭痛薬、便秘薬、睡眠薬など「患者が体調を見て飲むか否かを判断する薬」の場合、医師は“念のため”と多めに処方しがちだ。

 その際、薬剤師が「服用後、どれくらい改善したか」「飲みきれなかった薬はないか」などをチェックし、必要に応じて医師に「助言」することが求められる。

「例えばアレルギー薬の場合、眠気が強く出る薬もあります。薬剤師は医師が処方した薬を勝手に変更できないので、患者の体調や服薬状況をチェックして、医師に『もう少し眠気を抑えた薬にしたほうがいいかもしれません』などと連絡し、薬の変更を提案することも求められます。ただ、医師に連絡することをためらってしまう薬剤師もいるのが現状です」(児島氏)

※週刊ポスト2018年8月17・24日号

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