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海外で医学を学ぶという選択

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大学受験において、医学部が人気だ。「東大より医学部」という風潮もある。学歴の効力が相対的に低減する中、「東大」という学歴よりも「医師」という国家資格のほうが、確実に食い扶持になるという理由だ。

しかし医学部のどこも難関だ。いわゆる「偏差値上位」の受験生しか合格できない。医師という仕事への適性以前に、日本の受験システムに最適化した能力をもつことが、この国で医師になるための条件となる。

医師という仕事の尊さはわかりやすい。純粋な気持ちで医師を目指す若者も多いはずだ。しかし自分の偏差値を見てはなから「無理だ」とあきらめてしまう場合も多いのではないだろうか。

しかも最近、日本の私大医学部で、入試結果に女性差別が行われていたことまでが発覚した。将来医師を目指す受験生は、医学部という選択に底知れぬ不安を感じているのではないだろうか。

そこで紹介したいのが、海外の大学の医学部に進学するという選択肢。東欧のハンガリーやチェコの国立大学医学部で、外貨獲得と大学の国際化のために、外国人の学生を積極的に受け入れており、日本からもすでに多くの学生が進学しているのだ。

たとえばハンガリー国立大学医学部進学プログラムに参加する4大学は、すべて日本の医師国家試験の受験資格基準を満たしている大学。カリキュラムを修了し、日本に帰国後、医師の国家試験に合格すれば、日本での医師免許が得られる。

ハンガリー医科大学日本事務局が日本の窓口。日本からハンガリーの4大学への入学枠は毎年100名。日本の高校を卒業しているまたは卒業見込みであれば誰でも申し込める。日本の私立大学医学部に行くことを考えたら、生活費を含めても約半分の費用ですむ。もちろん入学試験はあるが、日本の医学部ほどに難しくはない。

入試には、書類審査、面接審査、筆記審査がある。筆記は英語と理科のみ。理科は生物・化学・物理の中から2科目を選択する。

本コースへの直接の入学を希望する場合には、さらに2次審査がある。英語による筆記試験と英語による口頭試問があり、英語力や理科の各分野の力を見る。日本の医学部受験では数学が得意であることが圧倒的に有利になる傾向があるが、数学力が問われないことが大きな違いだ。

そのかわり入ってからが厳しい。授業は基本的に英語で行われる。一発勝負のテストでいい点数をとる瞬発力タイプよりも、決められた範囲をコツコツ勉強する持久力タイプの学生が向いているとのこと。ハンガリー医科大学日本事務局によると、日本から進学した学生の実績では、およそ1/3がストレートで卒業、1/3が留年を経験、1/3が途中で脱落しているという。

ハンガリー組の日本の国家試験の合格率はいまのところ8割を超えている。医師免許を取得してから2年間初期研修医として経験を積むところからは、日本の医学部を卒業したのと同じルートに戻る。

日本の「偏差値」に関係なく医学部に行けるとなれば、日本の受験システムそのものが大きく揺さぶられる可能性がある。2020年度の大学入試改革はどうやら雲行きが怪しくなっているが、案外このようなところから、日本の教育は変わるのかもしれない。個人的にはそこにも期待したい。

●ハンガリー医科大学事務局  http://www.hungarymedical.org

※2018年8月16日JFN「OH! HAPPY MORNING」でお話しした内容の書き起こしです。

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