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リアルを超越した”人体標本”はどこからきたのか 英国でイベント主催者を直撃取材

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編集部注:この記事には人体をそのまま標本にした画像が含まれております。ショッキングな画像が苦手な方は、ご注意ください。

[英イングランド中西部バーミンガム発]生身の人間の筋肉と臓器、血管と神経をそのまま保存した標本が妖しい輝きを放っている。遺体や臓器に含まれる水分と脂肪分を合成樹脂に置き換え、保存する技術のことを「プラスティネーション」と呼ぶ。

一昔前、日本で話題になった「人体の不思議展」と同じ「リアル・ボディーズ(人体)展」(6月8日~8月19日)がバーミンガムのイベント会場で開かれている。プラスティネーション技術で保存された人体標本20体と心臓や脳など200の臓器は「リアル」を超越している。

サッカーやバスケットボール、テニスをする人体標本は今にも動き出しそうだ。女性の生殖機能を示し、胎児の標本で生命の誕生をたどる展示もある。全身や手足の動脈、静脈、毛細血管を取り出し、彩色した標本はもう芸術作品と表現するしかない。

バーミンガムで開かれている人体展(筆者撮影)

芸術作品のような妖しい輝きを放つ血管の展示品(筆者撮影)

超リアルな人体標本(筆者撮影)

展示されている人体標本はどこからきたのか

しかし、どの人体標本も切れ長の目に平べったい顔をしていて、東洋人であることが一目瞭然だ。「それにしても、この生々しい人体標本はどこから来たのだろう」という疑問が頭に浮かんだ。

若いカップルが女性学芸員に「献体の同意書はどうなっているの」と質問した。学芸員は淀みなく答えた。

献体の同意書がどうなっているのか疑問を唱える入場者も(筆者撮影)

「出生証明書はないので、どこの誰かは特定できません。しかし、中国のいくつかの医科大学の標本であることは確かです。骨折や傷はないので、処刑された死刑囚ではありません。全く問題のない人体標本です」

そして、さり気なくこう付け加えた。

「これからイングランド地方でも18歳以上なら生前にノーという意思表示をしておかなければ臓器提供に同意したとみなされるようになります。同意書なしの献体は先進国でも、もう当たり前のことになりつつあります」

しかし自分の遺体が未来永劫、商業目的で展示されることに同意する人や家族が果たしてどれだけいるのだろうか。大学医学部の解剖室に迷い込んだような気分だ。

人体標本の一体一体が医学の向上に貢献し、人体への理解を深めるのに役立っているのは間違いない。しかし、それは本人や家族の同意があって初めて許されることではないのだろうか。同意のはっきりしない献体には重大な人権侵害の恐れがある。

「今朝、新鮮でトップクオリティーの遺体が2体、工場に届いた」

この問題を追いかけ、著書『虐殺 大量殺人と臓器収穫、反体制問題に対する中国の隠された解決策』を発表した調査報道ジャーナリストのイーサン・ガットマン氏はこう解説する。

調査報道ジャーナリストのイーサン・ガットマン氏(筆者撮影)

プラスティネーション技術は1945年に東ドイツで生まれた医者グンター・フォン・ハーゲンス氏によって開発された。同氏は1996年、中国の大連医科大学の客員教授となり、99年大連市に株式会社を設立。中国人パートナーも別会社を設立して人体標本を生産し始める。

人体標本の生産には死後24~48時間の新鮮な遺体と、プラスティネーション技術によって保存された体を数百時間かけて皮膚や筋肉、臓器、血管、神経に丹念に「腑分け」する手先の器用な労働者が必要だ。

「ハーゲンス氏にとって中国は絶好の拠点だった」とガットマン氏は額の汗を拭いながら言った。

独週刊誌シュピーゲルは中国人パートナーが2001年末にハーゲンス氏に送った電子メールを入手する。その電子メールには「今朝、新鮮でトップクオリティーの遺体が2体、工場に届いた。彼らの肝臓はわずか2~3時間前に摘出されたばかりだ」と記されていた。

また、人体展を米国で手掛けたイベント会社はこう説明した。

「人体標本はもともと中国公安当局が引き受けた中国人や国内居住者です。中国公安当局は刑務所から遺体を受け取ったのかもしれません」

「弊社は中国側のパートナーを信頼するしかなく、展示されている人体標本が中国の刑務所に収容され、処刑された人の遺体でないことを独自に証明する手立てはありません」

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