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ハードル下がった"iDeCo"いつ加入するか

写真=iStock.com/Nuthawut Somsuk

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者数が増加している。

iDeCoとは、任意で老後資金づくりをするための制度で、加入者は一定の範囲内で定期的に資金を積み立て(拠出)、60歳以降に受け取る。拠出金(積み立てるお金)は全額が所得から控除されて所得税や住民税が軽減される、運用利益が非課税になる、受取時は公的年金等控除などが適用されて税が軽減されるメリットがある。

以前は対象が自営業者や企業年金のない会社員に限られていたが、2017年1月からは企業年金のある会社員、公務員、専業主婦(主夫)にも拡大。加入者は増加し、18年3月時点で85万人を超えた。1年前の約2倍に急増した。

とくに目を引くのが、公務員の加入である。会社員は高年齢者雇用安定法により、本人が希望すれば65歳まで雇用が延長されるが、公務員にその定めはなく、60歳で定年退職を迎える。現在、現役で働く人の大半は公的年金の支給開始が65歳であり、それまで無年金。60歳でリタイアとなれば5年分の老後資金が必要だ。そのため、節税メリットのあるiDeCoに加入する公務員が増えているのだろう。

またiDeCoは60歳まで資金を引き出すことができないため、教育費などが不足したときに困る危険もある。今はよくても収入が減ったら……、リストラにあったら……と思うと、iDeCoで60歳まで資金を凍結するより、いつでも引き出せる商品で運用したい、と感じる人も多い。

その点、身分も収入も保障されている公務員なら人生設計がしやすく、自営業者などに比べてはじめやすい、という背景もあるだろう。


国がiDeCoについて次々と制度変更を行っている点にも注目したい。

まず18年1月には、積み立てのルールを緩和。それまでは毎月一定額を積み立てる方式だったが、夏冬のボーナスから積み立て、年に1回積み立てなど、状況に応じて積み立てられるようになっている。積立額の変更も年1回のみから随時可能となり、ボーナスが減った、予定外の出費があった、という場合は拠出額を減らす、逆の場合は一定の範囲内で拠出額を増やす、といったこともできる(職業によって上限が決まっている)。

ただし、リスク低減の観点からは年1~2回の積み立てより、毎月の積み立てを勧めたい。投資には価額変動リスクがあるが、毎月一定の額で継続的に投資していくことで、高値で多く買ってしまう失敗を避けやすい時間分散効果が期待できるからだ。会社員ならボーナス、自営業者なら余裕資金をプールしておき、そこから毎月積み立てていく、というやり方がいいだろう。

さらに5月からは、従業員数100人以下の中小企業で従業員がiDeCoに加入している場合、事業主が上乗せして拠出(積み立て)できるようになった。

またiDeCoでは、積み立てた資金の運用先を加入者自身が選択する仕組みだが、選択肢には預金や保険などの元本確保型の商品と、投資信託がある。今まで商品を選択しない場合は預金など元本確保型の商品で運用されていたが、今後は金融機関の判断により、投資信託で運用を開始することも可能になる。

これらの変更には、はじめやすくする、運用効率を高める、という狙いがある。言い換えれば、公的年金の将来を考えると自助努力が必要、ということを認識したい。

深野康彦
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルリサーチ代表。『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』など、著書多数。

(ファイナンシャルプランナー 深野 康彦 構成=高橋晴美 写真=iStock.com)

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