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「年収100万円の差」なんて意味がない。自分の名刺代わりになる仕事の方が大事――スタートトゥデイ 田端信太郎×サイボウズ 青野慶久

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「会社のためにがんばっている」「会社は何もわかっていない」……。このように、私たちは「会社」をどこか巨大な、抗えないものとして捉えがちです。でも本当にそうなのでしょうか?

7月6日に発売された『ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言』(幻冬舎)の中で、田端信太郎さんは「会社なんてただの共同幻想だ」と語っています。

"最強のサラリーマン"と言われる田端さんと、サイボウズ社長・青野の対談から、「会社とどのように付き合えばいいのか」「働くことで幸せになるための方法」について探ってみましょう。

※当対談は公開取材イベントとして応募者を募り、抽選で100名をご招待しました。

帰りたきゃ帰ればいい。奴隷じゃないんだから

イベント参加者の皆さん、「自分は会社の奴隷だ」と思っている方って、どれくらいいますか?


パラパラと手が挙がっていますね。

一般的な大企業だと、転勤の辞令を拒否できないんですよね。拒否すると正当な解雇の理由になる。

残業が多いとか、そういった時間的な自由がないだけではなく、住む場所すらも自分で選べないわけです。

そういった関係性ってもはや「奴隷」じゃないかと思うんですよ。「それが当たり前だ」、と受け入れて無意識のうちに奴隷になっている人もいるかもしれませんね。

サイボウズにはアメリカに支社がありますが、部署を異動した瞬間に現地の社員から給料の交渉が始まります。

でも日本の場合、ほとんどはそのまま「はい分かりました」って受け入れるしかない。制度的な奴隷になっていますよね。

青野慶久(あおの・よしひさ)。1971年生まれ。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立した。2005年4月には代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を行い、2011年からは、事業のクラウド化を推進。著書に、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない」(PHP研究所)など。

先日、日本労働組合総連合会の会長と対談する機会があって、「一律の給料アップや底上げを求めるより、合意なしの転勤をやめるべきだ」と提言したんです。でも、すごく反応が悪くて……。

2018年5月 9日
従業員の同意がない転勤を禁止してほしいです──サイボウズ青野慶久、連合の会長に働き方について意見してみた

それは、解雇をしないことと転勤を受け入れることがセットになっているから、じゃないですかね。

日本は「解雇ダメ」っていう意識が強いですよね。

とにかく大事なのは、会社と自分とは対等の関係なんだということを、気構えとしてどれくらい強く持っているか、ということだと思うんですよ。

残業するとき、上司から明示的に「これをやってくれ」と本当に言われていますか? なんとなく周囲の空気を読んで、緊急の必要性もなく、被害者意識を持ちながら、やっている残業はないですか? 

帰りたきゃ帰ればいいんですよ、奴隷じゃないんだから。

田端信太郎(たばた・しんたろう)さん。1975年生まれ。NTTデータを経てリクルート、ライブドア、コンデナスト・デジタル、NHN Japan(現LINE)で活躍。今年2月末にLINEを退職し、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」やPB「ZOZO」を展開する株式会社スタートトゥデイ コミュニケーションデザイン室 室長に就任。7月には著書『ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言』(幻冬舎)を上梓した。

青野さんの本にもあるけど、上司と交渉するべきなんですよね。「今日は都合が悪いので帰らせてください。その代わり明日の朝までにやればいいですよね?」とか。

官僚には「忖度するな」と言っときながら、意外とみんな忖度しながら働いているのかもしれないですね。交渉は悪いことだというイメージを抱いている人が多い。

交渉というと大げさに捉える人が多いから、何事もまずは言ってみる、相談してみるぐらいに思っておけばいいんですよ。

そう、受け入れられなくてもちゃんと言わなきゃ、っていう感覚ですよね。

左から田端さんの著書「ブランド人になれ!会社の奴隷解放宣言」(幻冬社)と青野の著書「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない」(PHP研究所)

年収100万円の差よりも、実質的な裁量権のほうが大きい

上司に「給料を上げてください」って交渉したことがある人はいますか?

(パラパラと手が挙がる)

おー。意外といますね。

その時って、ただお願いする感じでした? 「受け入れられなかったら辞めて他社に行こう」くらい思っていましたか?

辞めてもいいという覚悟があれば、相手にも伝わる。それが対等な関係ですよね。

では、新卒で入った会社でずっと働いている方っていますか? 

……ちょうど半分くらいですかね。こういうイベントに来るってことは、うっすら不満があるんじゃないのかな?(笑)

事前アンケートによると、今日の来場者の属性は、大企業が3分の1、中小企業が3分の1、残りがその他(フリーランスなど)ですね。

一つ思うのは、「大学を卒業して大企業に入るのが勝ち組で、それ以外が負け組」と思いこまされていることが多いけど、実は違う。どう働けば楽しく生活できるのか、疑っていいような気がしますね。

新卒で就職するときは、そもそも会社に対して何を求めているのか、わからない人が多いんですよね。

給料が高ければいいというわけでもない。仕事の中身が面白い、知的好奇心が満たされる、社長が好き、お金じゃ買えない経験など。自分が会社に対し、何を求めているのかを書き出してみればいいんですよ。

田端さんは会社に求めることをリスト化しているんですか?

はい、自覚的にやっていますね。

面白いですね。その内容は変わりますか? 次の会社ではコレが欲しいな、とか。

そうですね、年齢のステージや給料の額によって、だんだん変わっていきます。

でも、田端さんぐらいまでブランド化できちゃうと、次に何を求めるんですか?

経験です。時代を作っているような、面白い人、凄い人を間近で見ながら、一緒に仕事をする経験って、お金じゃ買えないので。

その上で、自分なりの爪痕を社会にどう残していくか?ということを考えています。

今日の来場者は20~30代前半くらいが多いですね。この世代だと何を求めるべきでしょう?

自分がもらう給料の面で、年収100万円の差よりも、その人が仕事を通じて行使できる、実質的な裁量権や発注権限の差のほうがはるかに大きいと思うんですよ。

なるほど。

与えられている裁量の中で、どれくらい自分の名刺代わりになるような案件をできるか。

僕は27~28歳ぐらいのときに「R25」を立ち上げました。初年度で売上10億円、支出が20億円。つまり10億円の赤字でした。

でもそういう仕事内容のほうが、目先の年収100万円の差よりも、長期的にはずっと重要なんです。

「R25を作りました」っていう実績は、一生残りますもんね。会社に入ると、どうしても同期との給料の差が気になるけど、長い人生でみると気にすることじゃないよ、と。

「おっさん、キレイゴト言ってるな」と思うかもしれないですが。お金にこだわることが悪いわけじゃないけど、裁量権がほとんどなくて、つまらない仕事をやっていてもしょうがないでしょ?

仕事がつまらないと、稼いだお金を使ってストレス解消しないといけない。これってある意味、浪費ですよね。

仕事が楽しければ、さらにお金をもらえるわけだから、そのほうが経済的にみてもプラスじゃないか、という見方もできます。

「新規事業リーダー」の募集があったときに「それって、どのくらい裁量権あるんですか? 発注金額で言えば、どれくらいのサイズの予算を任せて貰えるのですか?」という質問をするほうが、年収を気にしている人よりもイケてるじゃないですか。

事業に対してコミットする姿勢ですね。

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