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学生と新入社員は少額の投資信託を買おう - 塚崎公義 (久留米大学商学部教授)

今回は『老後破産しないためのお金の教科書』の著者である塚崎が、学生と新入社員に少額の投資信託を買うべき理由について解説します。

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若者も、少額で良いから株式投信を買うべし

 株や外貨は値下がりして損をすることがあるかもしれませんが、現金(本稿では銀行預金を含めて現金と呼びます)は、よほどのことがない限り、損をする心配がありません。そこで、投資を嫌って資産の全額を現金で持っている人が大勢います。

 しかし、インフレになれば、現金は目減りしますから、現金もリスク資産なのです。そこで、株や外貨といったインフレに強い資産と現金とをバランス良く持つ「分散投資」が必要なのです。

 特に、若い人は医学の進歩等もあり、100歳まで生きる可能性が高いと言われています。そうなると、生きている間にインフレで現金が目減りする可能性は決して小さくないでしょう。

 したがって、若手には是非投資をしてもらいたいと思います。そうは言っても、やはり株や外貨は怖いと思う若者は多いでしょうし、そもそも投資をする余裕が無い若者も多いでしょう。

 そこで筆者が若者に勧めているのが、「1万円で良いから、日経平均連動の投資信託を買いなさい。それから、1万円で米国株の投資信託(為替リスクヘッジなし)を買いなさい」ということです。 

 合計2万円であれば、「金がない」という言い訳は出来ないでしょう。また、最大限損をしても2万円ですから、筆者が恨まれても限度があります(笑)。一方で、この2万円が与えてくれるメリットは大きなものとなり得るのです。

経済ニュースを読むようになる

 多くの若者が実感するのは、投資をした翌日から、経済ニュースが気になるようになる、という事でしょう。不思議なもので、たった2万円の投資信託が1%値上がりしたり値下がりしたりするだけで、一喜一憂する若者が多いはずです。なぜそう思うかといえば、筆者自身がそうだったからです。

 それによって、毎日経済ニュースを読むようになるかも知れません。最初は株価欄だけを見たとしても、経済ニュースのトップニュースくらいは嫌でも目に入るでしょう。経済ニュースを1分見るのと見ないのとでは、何年も何十年も経つ間に非常に大きな差になると思います。もちろん、記事にも興味を持って読むようになれば、素晴らしいことですが。

 筆者自身は、米国留学中に、教科書しか読まず、米国の景気が良いのか悪いのか一切知らない自分を情けなく思い、5万円だけ株を買ってみた経験があります。そうしたら、驚いたことに翌日から米国の経済が気になって、毎日英語の経済新聞を読むようになったのです。おかげで、英語が上達し、米国経済の状況も多少はわかるようになりました。新聞代が5万円ほどかかりましたが、自分への投資だと思えば安いものです(笑)。

日経平均は日本経済、米国株は米国経済と為替レートを学ぶ機会

 日経平均連動の投信を持っていれば、当然ですが日本経済に興味を持つようになるでしょうし、米国株連動の投信を持っていれば米国経済に興味を持つようになるでしょう。加えて、為替レートにも興味を持つようになるはずです。なぜならば、米国株が値上がりしても、為替が円高に振れると損をしてしまう可能性もあるからです。

 日本経済と米国経済と為替レートを毎日チェックするということは、経済についての最重要部分を毎日チェックするという事になります。これを何年も続けていれば、経済通になる事請け合いです。

 特に、個別株ではなく平均株価の話になると、マクロ経済が重要になります。マクロ経済は、個別企業の決算に比べて手触り感が乏しいので苦手意識を持っている人が多いため、ここに強くなることは非常に大きなメリットとなり得るわけです。

将来、投資をしたくなった時に知識が豊富である

 毎日株価や為替を見ていると、株価や為替がどのように動くのか、なんとなくわかってきます。最も重要なことは、「短期で見れば理屈通りには動かないが、長期で見れば何となく理屈どおりに動いている」ということが体感できることでしょう。

 そうなれば、株価が訳もなく暴落したように見えても「何だかわからないが、この世の終わりが来そうだから、売っておこう」などと思わずに、「長期で見れば、訳のわからない暴落は元に戻る可能性が高いから、じっと持っていよう」と思えるようになります。

 中高年になってから投資を始めた人は、相場が理不尽な動きをすると動揺して「今買わないと二度と買えないから急いで買おう」「この世の終わりが来そうだから売ってしまおう」と考えて、結局高値で売って安値で売ることになりかねません。そうした目に遭わないための勉強料として、2万円は決して高くありません。

若いうちに小さく損をしておくのも良い経験

 2万円と言わず、10万円でも20万円でも自分の判断で売り買いをしてみる事も、お勧めです。儲かれば素晴らしいですし、損をしても「少額の損で経験を積み、将来の大きな損を避ける事が出来た」と考えれば良いからです。

 若い時に小さな損をしても、何も学ばずに中高年になって大きな損をする人もいますので、この効果については保証の限りではありませんが(笑)。

最初の一歩が重要だから、背中を押してあげよう

 人間は、怠惰な生き物です。「そろそろ投資を始めようかな」と思っても、「口座を開設するのが面倒だから、来月からにしよう」と考えて、結局いつまでも投資を始めない、という人も多いでしょう。

 iDeCoやNISAといった非課税枠は、積極的に活用すべきですが、最初の一歩が面倒だと感じて、結局非課税の特典を享受できていない人も多いでしょう。

 そこで筆者が企業の人事担当者に勧めているのは、「NISA口座、iDeCo口座を開設したら、1万円をプレゼントする」という制度です。社員にボーナスを1万円払っても、すぐに使ってしまって終わりでしょうが、NISAやiDeCoの口座を開設するインセンティブとして1万円を支給すれば、社員がそれを活用して一生の間に何十万円も節税できるかも知れません。社員の福利厚生としては、かなり効率の良い制度だと思うのですが、いかがでしょうか。

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