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「極論が国民を支配する時代が来る」小沢一郎氏が警告

番組収録のため、毎日映画社のスタジオに向かう小沢一郎氏

「どの政党も過半数取れず、極論が国民の感情を支配するようになる」。2月10日、小沢一郎氏はBS11の政治番組「INsideOUT」に出演した際、顔を曇らせながら、こう警告した。

小沢氏は、野田政権が進めている消費税増税の方針について、「何もせずして、ここで大増税というのは国民の理解を得られない」と反対する意向を改めて表明した。大阪市長の橋下徹氏の「大阪維新の会」については、「橋下さんやみんなの党が過半数を制するだけの国民の支持を得るかというと、そこまで行くかは分らない。そうすると小党分立のゴジャゴジャの状態になっちゃう」と分析。このままでは、どの政党も過半数取れなくなり、政治不信がより一層深刻になる。そして「民主主義なんてダメだ」と、戦前のような全体主義が台頭する可能性を指摘した。

名指しこそしなかったが、うがった見方をすれば「国軍保持」など急進的な政策を掲げる石原慎太郎都知事の新党構想に、一定の距離を示した格好にも見える。インタビュアーのBS11報道局長・鈴木哲夫氏とのやり取りは以下の通り。【写真・文:安藤健二(BLOGOS編集部)】

■政権交代の原点を忘れてる

―民主党政権になって責任をちゃんと取ったのは鳩山元首相と小沢さんだけなんですよ。(総理や民主党幹事長を)お辞めになりましたよね。でも、その後はずーっと、同じ人で、責任を取って蟄居したはずが、まだすぐ復権したり、責任というのが非常に曖昧な気がして。今の政治には責任や覚悟が欠けているのでは?

小沢氏:誰がという話ではありませんが、選挙で負けても責任を取らないというのは、かつての自民党でもなかったんじゃないですかね。選挙っていうのは、国民の審判ですから。国民の審判でノーと言われた場合には、退かなきゃいけないですよね。選挙は象徴的な物ですが、責任の取り方ということで言えば、今のお話のように「ない」と。ちょっと間を空けて、復帰するみたいなことになっていて、そうなると党内はもちろん、日本中が「ああ、そういうことでいいんだ。責任取らなくていいんだ」ということになってしまうんで、非常によろしくないことだと思っております。

政治不信が起きている背景には、そういうことも一因なんじゃないかと思いますね。

―先日、共同通信で小沢さんが単独インタビューを受けられて、小沢さんが「消費税をこの時期に上げていいのか」という疑問を呈して、法案の採決のときに反対する意向を示唆したという風に報道されましたが、実際にはどうだったんでしょうか?

小沢氏:消費税そのもの、税制改革をしなきゃいけないということは、多分、私が一番最初に言ってたことなんですね。僕は(消費税)そのこと自体が悪いって言ってるんじゃないですよ。ただ、政権を交代するときに、今までのいろいろなシステムが金属疲労が来て、いろいろな矛盾が吹き出てるし、公正公平の観点からもいけないところは出てくるし、統治機構である行政を根本から変えなきゃいけない。そういうことを我々は主張したわけですね。

地域主権というのは、明治以来の官僚を中心とした中央集権の構造を変えることですから、そのことを我々は主張して、その中から公正公平な行政をすると同時に、無駄に使われているお金を全部洗い出しして、それで財源に当てるという風に国民に言ったわけですね。

4年間の最初の任期でそういう改革を一所懸命にやって、財源も掘り出して、それでもなおかつ財源が足りなくなったら、「次の4年間は消費税を検討させていただきます」と言うことで政権を預かったわけですね。

それを統治機構なんて大きなことは言わなくても、いわゆる本当の行政を根本から変える作業は緒にもついてないわけですね。そういうことを全くやらずに、「お金がないそうだから増税です」というのは、いくらなんでも国民に対して背信的な行為だし、有権者を冒涜することじゃないかと。だから我々は大改革を行う努力をし、その中から財源を見出す努力をやった上での(増税論議の)話でないといけないんで、私は何もせずして、ここで大増税というのは国民の理解を得られないと思うと。

ですから、「法案が出たら反対」とかじゃなくて、今の方法で何もせずに増税話を持ち出すというのは筋道も通らないし、論理的にもおかしいと。ユーロ危機が騒がれてて世界不況にもなるかもしれないと、そんなときに大増税をやるところはないと。経済政策的にもおかしいと。今の政府が言ってることは、どっちの面から見てもおかしいんじゃないですかと。

そういうことを私は申し上げたんで、法案に賛成とか反対とかいう話をしたわけじゃないんですよ。ただ、マスコミはすぐそういう方向に持ってきたいんで、そういう報道になっちゃうんでしょう。(実際には)私は「どうしてもこれは理解できない」という基本を申し上げただけです。

■行き着くところは完全に政党不信

―消費税の議論というのは政権交代のときの原点だったと思うのですが、日本人は保守的で政権交代にも臆病だったんですが、それを清水の舞台から飛び降りるつもりで民主党に賭けた。そのときの約束を4年間守るということだったのに、政権を取ったら約束を破るというのは、国民の政治参加を無視してるように思いますが、どうですか?

小沢氏:個別の政策論議の前に、国民との約束、政治姿勢の問題なんですよ。基本的にね。だから、税について文句あったら出てこいと(誰かが)言ったとか、そういうテクニカルな話をしているわけではない。あのときの政権交代の原点の主張と姿勢を、忘れちゃってるんじゃないかという気さえしますね。

―政権交代という歴史を平気で反故にしているのでは?

小沢氏:こういうことを平気でやっていると、絶対に国民の支持を得られませんよ。そうするとね、せっかく作った民主党政権が……という思いは個人的にもありますよ。でも、それ以上に、ここで民主党政権がこのまま失敗すると、民主党もダメ、じゃあ自民党もダメかっていうと、国民の皆さんは「自民党もなあ」という意識でしょ。それじゃ、「どこに投票するか」ってなれば、「新しい動きのところにやってみるか」となる。そうなるとどの政党も過半数取れなくなっちゃいますよ。

そういうことになると、日本の政治は全く不安定になり、そのつどそのつど、談合で内閣を作るという話になっちゃいますよ。その行き着くところは、完全に政党不信ですよ。政党不信ってことは、民主主義不信になっちゃう!「民主主義なんてダメだ」ってなったら、右か左かは分りませんが極論、極端な議論が国民の感情を支配するようになる。そうなったら、何のための戦後六十年だったのか、何のための政権交代だったのか、国民がおっしゃるように清水の舞台から飛び降りる気持ちで新しい政権を作ったのに。(そうなったら)責任は非常に大きいと思いますね。

―政党不信が募ったときに非常に危険なことが起きる可能性があって、ある種の独裁的な右とか左とか全体主義がはびこる可能性がある。たとえば、民主もダメ、自民もダメ、既成政党は全部ダメってなったときに、大阪市長の橋下徹さんとか、(都知事が参加すると言われている)石原新党であるとか、この辺の動きはどう見てますか?

小沢氏:国民の既成政党、そして政権交代を果たした民主党に対する不信感。それで、「橋下さんに期待せざるを得ない」という国民の気持ちの現われじゃないでしょうかね。かといって、じゃあ、橋下さんや、渡辺喜美さんの「みんなの党」が過半数を制するだけの国民の支持を得るかというと、そこまで行くかは分らない。そうするとさっきみたいに、小党分立のゴジャゴジャの状態になっちゃうと。その行き着く先は……という話になるんで、僕はそのことを非常に心配しています。

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