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KON400「電機メーカー各社~日本の「無限大苦」の理由、そして今後」

上場企業連結経常利益 前期比21%減見通し
 大手家電メーカー 日本の製造業が苦戦 2012年3月期
 NEC 国内外で1万人規模削減へ

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 ▼日本企業は6重苦どころか、∞(無限大)苦
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 上場企業の業績が減速しています。円高やタイの洪水、欧州危機が輸出産業の利益を圧迫し、2012年3月期の 連結経常利益は前期比21%減となる見通しです。

 一方、通信や消費関連など内需型企業の業績は底堅く、資源高を追い風に商社は最高益が相次いでいます。

 業績が厳しいところもあれば追い風を受けているもある、というのはコインの両側のような関係にあるのでしょうが、ただ全体として見ると、厳しい状況に置かれている日本企業が多いと思います。

 最近のビジネス書では、日本企業が抱える「6重苦」と称して現在の状況を説明していることがあります。

 円高、法人税、電気料金+供給、環境対策、貿易自由化の遅れ、労働規制という6重苦が紹介されていますが、最近の日本企業はいじめられてばかりです。

私に言わせれば、6重苦どころか、「∞(無限大)苦」であって、他にもいくつでも「苦」を挙げることができます。

 空洞化が進みお客さんが海外に流れてしまうと、既存の日本人顧客にモノ・サービスを販売するのでも、わざわざ中国の広東省まで足を運ばなければいけない、といった事態になることもあるでしょう。

 昨年、東日本大震災が起こったばかりですが、自然災害については未だ予断を許しません。例えば富士山周辺の地震発生の様子などを見ていると、かつて日本最大級の地震の直後に起こった宝永大噴火のような「富士山の噴火」という可能性も否定できないでしょう。

 その他、7年で7人もの首相が変わっているという政治不安もありますし、少子高齢化、予算不足など、各業界の事情も含めて考えれば、いくらでも列挙することができます。

 このような厳しい状況だからこそ、かつて日本国内で産業を創り上げた時のように、世界の中で元気な場所において、日本の経営者は同じようなことを再現するべきだと私は強く思っています。

 しかし残念ながら、今の日本の経営者は疲れ切っていて、強い意欲が湧いていないように見えます。

 下に続く若い世代も、上の世代を追い抜いて自分たちが引っ張っていくんだという気概が少し欠けている気がします。そういう意味で今は人材の端境期なのかも知れません。

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 ▼ソニーを回復させるためには、ハード部門の人材が肝
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 ソニーは2日、2012年3月期の連結業績で、純損益が2200億円の赤字に拡大するとの見通しを発表しました。また、パナソニックは3日、2012年3月期の連結純損益の赤字が過去最大の7800億円になるとの見通しを発表しています。

 ソニーとパナソニックの業績推移を見ると、完全に右肩下がり状態だと分かります。普通ならば、膿を1回で出しきり、その後は「V字回復」をさせるべきなのですが、全くそのような状況にはありません。

 ソニーの場合、ストリンガー氏がCEOからの退任を発表しましたが、会社そのものから去るべきでしょう。また後任として音楽・ゲームなどのエンターテインメント部門(ソフト部門)を歩んできた平井氏がCEOに就任しましたが、今のソニーのトップとして必要な資質は「ハード部門」を牽引できる人材だと私は感じます。

 テレビ部門を筆頭に今のソニーが抱える経営課題・問題は、ハード部門にあります。出井氏以降、ソフト部門出身のトップが続き、常にハード部門を「いじめる」という歴史を辿ってきています。

 追放されてしまったハード部門の人材も多く、ゆえにハード部門の問題解決がより難しくなっています。

 このようなソニーの没落は、複合会社が陥る典型的なパターンです。成績の良い部門の人間がトップに立ち、それ以外の部署をないがしろにします。結果、会社全体としては良い方向へ向かわず、そのうちに業績の良かった部門が傾き始め、会社全体が崩れてしまうという流れです。

 今のソニーを回復させるためには、保守本流を歩いてきたような人材を引き立てて行くしかないと思います。そのためには相当に若い世代から抜擢する必要もあるのではないかと私は見ています。

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 ▼NECは途上国の企業の草刈り場と化していく
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 NECは26日、国内外の計1万人を削減する合理化計画を発表しました。携帯電話事業の不振やタイの洪水、欧州危機による景気の落ち込みで業績回復が見込めないとして、人件費を減らして収益改善をめざします。

 また、米格付け会社のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は先月30日、NECの長期格付けを現在の「BBB」から「BBB-」に1段階引き下げました。

 国内で5000人、海外で5000人の人員削減という、あまりにも大規模な削減プランに、世界でも「NECショック」として報道されています。

 格付けも「BBB-」に下がってしまいましたが、さらにもう1段階下がってしまうとジャンク扱いです。

 かつて社長・会長を務めた故小林宏治氏は1977年にコンピュータと通信の融合をうたった「C&C」(Computer & Communication)の理念を提唱し一世を風靡しました。

 しかし実際にそれを実現できる時代を迎えた時には、NECが世界のメジャーではなくなってしまったというのは、非常に残念です。

 業績推移を見ても、この数年はずっと赤字が続いています。売上高も4.5兆円から3兆円を割り込むところまで落ち込み、株価は152円、時価総額も4000億円を下回る、といった状態です。

 売上高が3兆円あることを考えると、時価総額4000億円というのも何とも情けない話です。

 率直に言って、今後NECが自力再建をすることは難しいと思います。

 しかし、途上国の企業から見ると、絶好の「M&A対象」になります。インド、中国、ロシアなどの企業がNECを買収すれば、業績を劇的に回復させることは可能でしょう。

 ただし、その場合には、「N」ECではなく、「I」ndia、「C」hina、というように頭文字に変わってしまうかも知れません。今後、NECは途上国の時価総額が大きい企業の草刈り場と化していく可能性が高いと私は感じています。

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