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【読書感想】偏差値好きな教育“後進国”ニッポン

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 このあと、池上さんは、アメリカの超名門・ハーバード大学で日本の政治史の講義を聴いていたら、たいした内容じゃなくて驚いた、という話をされています。
 海外の教育が紹介される際には、そのなかでの上澄みというか、特にすぐれたものだけが紹介されがちで、平均的なレベルは日本も遜色ない、もしくは、日本のほうが良いところもたくさんあるのです。
 日本で行われている面白い授業を集めて採りあげれば、「こんなすごいことをやっているのか」とみんな感心すると思います。
 自分が子どもの親として小学校に30年ぶりくらいに行ってみて驚いたのは、もちろん、30年前と同じところもあるのだけれど、授業の内容は確実に進化しているし、学校も変わっている、ということなんですよね。
 「だから日本の学校教育は……」と批判する人は、自分が受けた授業の記憶と比較して語っていることが多いのです。
 日本国内でも、学校や先生による差が大きい、というのは、間違いないのですけど。

 第1章では、フランスの「いじめ問題」への取り組みについて紹介されています。
 「いじめ」は日本の専売特許ではないし、今、突然起こってきた問題でもない。
 この本のなかでは、日本のいじめが統計的には増加傾向にあるわけではないことも紹介されています。
 フランスでは、親や学校関係者の他に、警察官が直接子供たちに授業をしたり、地域の人たちが「監視員(というと、なんとなくイメージが悪いですが、子どもたちの日常を見守る地元の有志)」として参加していたり、ボランティアの若者たちが「人権」について、子どもたちに教えたりもしています。
 だからといって、いじめがなくなるわけではないのだけれど、より多くの大人が子どもたちに関わり、相談しやすい環境をつくろうとしているのです。日本では、学校は内向きになりがちで、親たちも「学校まかせ」になりやすいですよね。

 フランスでは、警察官と子どもたちがバカンスごとに一緒に遊ぶ機会がつくられているそうです。

——警察官と子どもたちが一緒に遊ぶ……、いったいどういう活動ですか。

 エムシアディ巡査「参加資格は8歳から17歳の子どもなら誰でもOK。季節ごとの短い休暇や7〜8月の夏のバカンス時期を利用して、スポーツ競技場などがある大きな公園で、サッカーやバスケット、ローラーブレードなどを一緒に楽しむというイベントです。参加費は無料で、現地集合・現地解散。お昼から夕方までの日帰りの活動で、ランチとお菓子もついてきます。われわれ警察官もTシャツなどの私服姿で、子連れで参加する人も多い。私も娘を連れていきます。地域の子どもと顔見知りになり、楽しく一緒に時間を過ごすことで、子どもとの距離がグッと縮まり、お互いに話しやすくなるんです」
 

——1回の参加人数はどのくらいですか。

 エムシアディ巡査「子どもは、だいたい150〜200人程度で、8〜10人の子どもに対し、最低一人の警察官がつきます。また、「アニマター」という子どもに接する仕事の資格をもった人も10人程度参加します。広告を学校に出し、希望者は警察に来て申し込みをします。その際、保護者の承諾書、健康診断書、住民票、健康保険証が必要です。一度参加するとリピーターになる子も多い。楽しいし、親しくなれるし、いいことずくめです。
 マチュー巡査長「こうして人間関係をつくり、何か困ったことがあったときに「あっ、あのときの警察の人に相談してみよう」と思い出してもらえるような存在になっていきたい。信頼関係づくりに、直接のふれあい以外に勝るものはないと思います。地道だけれど、確実な方法だと信じています」

 近所付き合いとか人間関係って、煩わしいと僕などは思いがちなのだけれど、そういう「ちょっとめんどうなこと」が、今の時代でも、いや、今の時代だからこそ、いちばん「確実な方法」なのかもしれませんね。
 

 日本の教育のレベルはけっして低くはないのです。
 ただ、学校の先生たちや「教育関係者」にばかり、負担をかけすぎているのではないか、とは思うんですよね。
 それは、子どもたちにとっても、先生たちにとっても、親やまわりの大人たちにとっても、リスクが高い。
 日本は、「道徳教育」よりも、もっと教育にお金と人的資源を投入するべきだと僕は考えています。
 それは、国全体にとっても、いちばん効率が良い「投資」になるはずだから。

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