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【読書感想】偏差値好きな教育“後進国”ニッポン

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(141)偏差値好きな教育“後進国”ニッポン (ポプラ新書)

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Kindle版もあります。偏差値好きな教育“後進国”ニッポン (ポプラ新書)

偏差値好きな教育“後進国”ニッポン (ポプラ新書)

内容(「BOOK」データベースより)
海外の学校から、日本の教育の次の一手が見えてくる。必ずしも教科書を使わなくてもよいフィンランド、学校外の大人が「いじめ問題」にかかわるフランス。日本は世界を手本に、自分の頭で考え、行動できる、いわゆるアクティブ・ラーニングを掲げているが、あまり進んでいないのが実態だと言える。時代の変化に応じて求められる教育の姿を海外の現場から探り、次世代の教育のありようを考える。

 このタイトルをみて、「ああ、日本の教育はダメだ、外国の『子供たちに自分で考えさせる教育』を見習え!」という本なんだろうな、と思ったんですよ。
 しかしながら、この本の序章で、池上彰さんと増田ユリアさんは、こう仰っているのです。

増田ユリア:日本の教育は、教科をなんでもプログラム化してきっちり教えます。そしてそれが今の日本をつくり上げたとも言えるのです。日本に住む多くの人たちの平均的な学力を上げてきたわけですから。だから一瞬にどちらがいいとか悪いとは言えませんが、教育の向きにも得手不得手はあります。

池上彰:私が小中学校に通っていたときに受けていた全国学力テストの結果は、都道府県や地域による差が大変大きかった。都会は学力が上で日本海側や東北は学力が低くて、格差がすごくあったんです。ところが最近は都道府県や地域による学力の差はほとんどない状態になっている。一億以上の人口がある国で全国津々浦々どこであっても子どもが一定の学力をつけることができたという点では、日本の教育は大成功ですよ。

増田:世界的に見たら、日本の教育は全然遜色ありません。

池上:日本の教育はおかしい、問題があると、日本では多くの人がよく言うのですけれど、そう思い込んでいるフシがあります。だから、日本の教育はすばらしいという本を出しても売れそうもない。危機だ、危機だと煽った方が評判になる(笑)。

増田:特に政治家が、自分の理想通りになっていないと嫌なのかもしれません。

 日本の教育には、良いところがたくさんあるし、外国の教育が、必ずしもすべて正解で、うまくいっているともかぎらない。
 この本では、フランスとフィンランドで増田さんが取材した教育の現状が紹介されています。
 

池上:海外の教育現場の取材をしていると、何か感じますか。

増田:どこの国も子どもは全然変わらないということです。

池上:それはそうですね。みんな、勉強より遊ぶ方がたのしいし、好きです。最初から勉強が好きなんて子がいるわけがない。

増田:そうなんです。だから私は取材をするようになって、学力が高いフィンランドの子たちはすごく勉強をしているんじゃないか、先生も特別な授業をしているんじゃないかと思っていたのですけど、それが全部幻想だっていうことがわかったんです。

池上:フィンランドを見ると、先生の授業自体は、日本の先生と大して変わりはないですね。ただ一番違うのは、クラブ活動や課外活動、そういうことは先生が担当しなくてもいい。その分、先生にゆとりがあるとは思いました。

増田:フィンランドの先生たちは授業に集中できるんですよね。でも、本当に日本の先生たちもよくやっていると思います。それでも差異も確かにあるんです。フィンランドは、教科書もマストアイテムではないわけですよね。使っても使わなくてもいい。あとは教師の裁量にまかせるということになっています。だから余計、教師の力量を試されるところがある。

池上:アメリカの教科書って分厚いですよね。要するに読んでいるだけで理解できるようになっている。それは先生を信用していないからなんです。アメリカの学校の先生は社会的に地位も低いし、給料も10か月分しか出ません。7月、8月は教えていないから給料がないんですよ。だからレベルの低い先生も多い。それで、そういう先生に教えられたとしても、教科書さえきちんとしていれば、生徒が読んで理解できるだろうと、厚くなっている。それに比べると、日本の教科書は薄いですね。教科書をもとに先生がいろいろ教えられるようにしてあるんです。日本の義務教育のレベルは世界トップレベルですから、もっと自信を持った方がいいと思います。

増田:そうなんですよ。海外の教育がすごいことをしているかというと、別に特別に優れたことをしているわけではないんです。最近、ドイツへ行って、政治の授業などを見ても、私と教え方はそんなに変わらないと思いました。教材が模擬選挙の結果だったりして、それはうらやましい思いで見ていましたけれど。しかし、そこで教えられていることはそんなに日本と変わりません。例えばドイツの選挙の仕組みはどうなっているのか。では、前回よりも議席が増える超過議席というのは何かと。それを生徒たちに発表させる。日本の授業と違いはないです。

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