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民法改正で「連帯保証地獄」が解消される

■「青天井」だった保証額に上限規定ができた

2020年4月1日、債権法分野が大きく改正された民法が施行される。私たちにどのような影響があるのか。


「40~50代のご家族にとって影響が大きいのは、やはり住宅関係でしょう」と熊谷則一弁護士は指摘する。

「日本では部屋を借りる賃貸契約の際、連帯保証人を付けることが一般的ですが、従来は保証金額の上限についての規定がなく、青天井になっていました。そこで改正民法では『最大限いくらまで保証すればいいのか、契約書の書面に極度額(責任を負う限度額)を明記していなければ、保証契約そのものが無効になる』(改正民法465条の2第2項、第3項)と定められました」

「ただし、金額が書かれると『こんなに多額の保証なのか』と警戒され、改正後は連帯保証人を頼むのが今より大変になるかもしれません」

賃貸関連では、元本確定事由の規定が改正された(改正民法465条の4)ことも影響しそうだ。

「賃借人が死亡した時点で、保証すべき金額が確定されることになりました。入居者が亡くなった後も部屋に持ち物が残り、家主が賃料を受け取れないケースでも、死亡後に発生した債務については、家主は保証人に支払いを請求できなくなります。もし読者がアパートなどを持つ大家さんだったら、賃借人が亡くなった場合の対応を迅速にする必要があります」

■「欠陥住宅」において買い手の保護が手厚くなった

一方、家の売買に影響するルール変更もある。売買後に雨漏りなど家の欠陥が明らかになった場合の瑕疵担保責任の規定が変わるのだ。

「これまで欠陥の責任追及方法として民法が買い手側に認めていたのは、『瑕疵担保責任』としての損害賠償請求と契約解除の2つでした。しかし、改正民法では瑕疵担保責任を、売買の目的物が契約の内容に適合していない場合の『契約不適合責任』としました」

「そのため、買い手側には、損害賠償請求と契約解除に加え、『欠陥部分を契約どおりに直してくれ』という瑕疵修補請求(改正民法562条)と、『欠陥分だけ代金を安くしてほしい』という代金減額請求(改正民法563条)が新たに認められ、買い手の保護が手厚くなったのです」

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熊谷則一(くまがい・のりかず)
弁護士
1964年生まれ。栄光学園高校、東京大学法学部卒。建設省(当時)勤務を経て、弁護士に。2007年、涼風法律事務所を設立。『現行法との比較でわかる改正民法の変更点と対応』などの著書がある。

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(久保田 正志 写真=iStock.com)

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