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健康栄養調査の協力率

前回はネタ記事ですが、今回はちょっとだけ真面目に国民健康・栄養調査に関係するお話しをしてみようと思います。

■調査結果の解釈は難しい

どらねこは仕事柄、国民健康・栄養調査の結果が出るとすぐにデータを取得し、ウンウンうなりながら読み込んでいきます。「あー、食塩摂取量は少なくなったなぁ、若い女性のカルシウムは・・・」などとブツブツつぶやきながらデータを解釈していきます。こうした調査研究の結果は受け取り手によって解釈が異なる事がよくあります。

そうした解釈の違いは読み手の立場や考え方、学問的背景なども影響しますが、調査研究がどのような性格のものかを理解していないと結果を誤解*1してしまう可能性が高くなると思います。

どらねこも半可な知識でデータを解釈して失敗した経験がありますし、それどころかよく利用する健康栄養調査の結果ですら、読み取りに危ういところがある可能性も否定できません。なので、データを見る前に結果はどのようにして調査されたものであるのか、背景をなるべく読むようにしております。もちろん、それだけじゃなくて調査に関わったお偉い先生の解説をしっかりと参考にいたします。

ちなみに、国民健康・栄養調査の結果の解釈で誤解されやすそうな食事エネルギーの過少申告について過去にこちらのエントリで言及したことがあります。興味のある方はどうぞ→http://d.hatena.ne.jp/doramao/20110422/1303374068

■協力率

今回は調査への協力率の問題について考えてみようと思います。どらねこは個人的にいろいろな解釈ができそうで面白い部分だと思うんですよ。

ところで、国民健康・栄養調査は調査対象地区を選定するにあたり、2段階の層化無作為抽出を行い最終的に300単位区の約5700世帯が選ばれます。しかしながら、選ばれた対象すべてが調査に協力するわけではありません。なるべく多くの方に参加してもらう事が望ましいのですが、必ずしも皆が協力*2してくれるわけではありません。

では、最近の国民健康・栄養調査の協力率の状況はどのようになっているのでしょう?以下の資料で見ることができます。
健康増進施策推進・評価のための健康・栄養調査データ活用マニュアル「健康増進施策推進・評価のための健康・栄養モニタリングシステムの構築」研究班
http://www.nih.go.jp/eiken/chosa/pdf/20111215.pdf
p5 図3より

リンク先を見る

協力率は総数で66%であり、特に男性の単独世帯では45%を下回っており、80%を超える三世代世帯との差を考えれば、統計学的な代表性が損なわれている可能性があるのでは?とマニュアルでも指摘されております。

■協力する人としない人

代表性が担保されているか居ないのかは非常に重要であるのはもちろんですが、それとは別にどらねこには気になることがあります。それは、調査に協力する人としない人の食生活に違った傾向があるか無いか?です。

どらねこの偏見かもしれませんが、調査を断る人の方が食に対して無頓着な方の割合が多いような印象があるんですね。または、普段の仕事などが忙しすぎて、調査に協力できないなんて人も居るんじゃ無いかと思います。朝から晩まで仕事をして、休日も少ない人であれば、朝食抜きの可能性も高そうですし、夜食に出来合のものを食べて塩分摂取量が多い傾向にあるのかも知れません。

そのような傾向の違いがもしあるのだとしたら、国民健康栄養調査の結果は母集団(日本国民かな)を調査した場合の結果に比べて健康的に望ましいとされる結果が出ると思うんですね。

国民健康・栄養調査の結果を見て、やあやあ塩分摂取量が下がってきたからこれは望ましい傾向だぞ・・・そう考えて良いのですが、塩分摂取量の多い方の協力率がもし下がっているのだとしたら、もしかすると母集団の塩分摂取量は下がっていない可能性もあるのです。勿論、そのような根拠の曖昧な推測すべてを考慮していてはデータから何も謂えなくなってしまいかねません。でも、ちょっとありそうに思いませんか?そう考えると面白いですよね。

調査に協力しない人の生活習慣や食生活を調査したら面白い結果が出てきそうな気がします。そのような集団を調査する研究を考えたら面白い論文ができあがりそうですよね。

■終わりに

どらねこにはなじみのある国民・健康栄養調査でも把握し切れていない考慮すべき特徴がまだまだいっぱいあります。それを考えれば別分野の調査報告を読む場合、誤った解釈や考慮しなければならない前提をすっ飛ばして、都合良く結果を読み取ってしまうなんて事がありそうだとわかります。もちろん、それを恐れて何も読み取ろうと努力しないのは論外です。見当違いの解釈をしないためには当該分野の専門家に経緯を払い、彼らの意見を必要に応じて参照しながらデータに向かい合う事が大切なのでしょうね。

これからもデータを誤解してしまう事がありそうなどらねこですが、この点は気をつけて行きたいと思います。

*1:とか書いている本人が壮大なブーメランを投げているとも・・・

*2:調査内容が細かく、厳密であれば得られるデータは信頼性の高いものになりますが、あまりにも手間がかかる調査であれば協力率は下がり、十分な標本集まらないなんて事にもなりかねません。簡便な調査であれば個々の項目の信頼性は下がるかも知れませんが、協力率は上がることでしょう。ジレンマですね

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