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今回、日銀は金融政策をどちらに変更したのか

 7月31日の日銀金融政策決定会合では、これまでの長短金利操作付き量的・質的緩和政策の大枠はそのままに、内容の一部を修正してきた。何がどのように変わったのか、私なりの評価を含めて解説してみたい。

 まず、目に飛び込んできたのが決定会合後に発表される公表文のタイトルである。金融政策について特に変更がない場合には「当面の金融政策運営について」というタイトルとなる。しかし政策変更時には、2016年9月の『金融緩和強化のための新しい枠組み:「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」』とか同年7月の「金融緩和の強化について」と言ったようにタイトルが変わる。

 今回のタイトルは「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」となっていた。つまり、タイトルからは今回は金融政策を変更したとも受け取れる。

 ちなみに微調整を行った際には、2015年12月の「量的・質的金融緩和」を補完するための諸措置の導入の際も、タイトルそのものは「当面の金融政策運営について」となっており、過去のパターンから見る限り、今回は政策変更と捉えて良いのではなかろうか。

 「強力な金融緩和継続のための枠組み強化」とのタイトルは一見すると、さらなる緩和策に踏み込んだように見えなくもない。政策金利のフォワードガイダンスを導入することにより、「物価安定の目標」の実現に対するコミットメントを強めるともうたっている。

 そのコミットメントをみると、「日本銀行は、2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持することを想定している。」としており、来年10月の消費増税の影響を見極めるまで現在のきわめて低い長短金利の水準を維持するとしている。

 ここで何故、消費増税を持ってきたのか。2014年4月の消費税の5%から8%への引き上げが個人消費を停滞させて物価上昇を阻害したとのリフレ派の言い訳的な見方を取り入れたのか。それとも一定の期間を区切るため消費増税を持ってきたのかは良くわからないが、フォワードガイダンスとしながらも、消費税を持ってくることで、際限ないものではないことをそれとなく示唆しているようにも思われる。

 長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)については、大枠に変更はないものの、「金利は、経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動しうるものとし」として、指し値オペの水準レンジを拡げることを示した。この水準は黒田総裁の会見から、これまでの「倍」との表現がでており、それはつまりマイナス0.1%からプラス0.1%とのレンジが、マイナス0.2%からプラス0.2%ということになる。ただし、市場では10年債利回りのマイナス化は望んでおらず、このため実質的にはゼロからプラス0.2%ということになる。

 短期金利については、マイナス金利を適用するとの表現は変化はないものの、マイナス金利が適用される政策金利残高を、長短金利操作の実現に支障がない範囲で、現在の水準(平均して10兆円程度)から5兆円程度に減少させるとしている。つまりマイナス金利が適用される部分が縮小されることになる。マイナス金利による副作用の軽減化ともなるが、これにより短期金利の水準も若干上昇しよう。

 これらからみて、「現在のきわめて低い長短金利の水準」そのものが今回の政策変更にてある程度柔軟化されたことがわかる。

 そして、「ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約6兆円、年間約900億円に相当するペースで増加するよう買入れを行う。その際、資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買入れ額は上下に変動しうるものとする」とした。ETFの銘柄別の買入れ額を見直し、TOPIXに連動するETFの買入れ額を拡大することも記された。ここで注目すべきは「買入れ額は上下に変動しうる」との表現となる。つまり今後、減額の可能性もありうることを示した。

 日銀は今回、現在の緩和策を継続することによる累積的な副作用を軽減させるための柔軟化措置を行ってきた。ただし、大枠は変えないとみていたのだが、このタイトルを見る限り、政策変更ということになりうる。ただし、それはどちらに向けた変更であるのか。見方次第ではどちらにも取れる。個人的には見えないかたちで異次元緩和政策にブレーキを掛けつつあるとの見方をしている。

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