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紀伊國屋ビルにニュー新橋ビル…震度6で倒壊する危ないビルの実名


 東京を襲うマグニチュード(M)7クラスの首都直下地震は、30年以内の発生確率が70%とされており、いつ起きても不思議ではない状況だ。   

 国が2013年に発表した首都直下地震の被害想定では、最悪の場合、死者が2万3000人、経済被害は約95兆円にのぼる。

 もっとも被害が大きいとされるのが、M7.3の「都心南部直下地震」で、この地震が発生した場合、湾岸部では震度7、JR山手線の内側の大部分や東京都東部は震度6強の揺れに襲われる。

 都内だけで、揺れや液状化による建物の全壊は11万戸以上、建物倒壊等による死者は4000人以上となる。これに火災が加わり、被害は甚大なものとなるのだ。

 では、このような首都直下地震が起きた場合、とくに危険な建物はどれか。東京都は2018年3月に、1981年5月以前の旧耐震基準で建てられた大規模建築などの耐震診断結果を公表した。

 その中で建物の安全性について、震度6強から7程度の地震で倒壊・崩壊の危険性が「高い」「ある」「低い」の3段階で評価している。

 その結果、危険性が「高い」とされたのは154棟、調査対象の18%にもなった。危険性が「ある」を含めれば254棟、約3割だ。じつにショッキングな内容だった。

 なかでも注目すべきは、不特定多数の人が集まる大規模施設にも、倒壊する危険性が「高い」とされる建物が多い点だ。紀伊國屋ビル、ニュー新橋ビルなど、街のシンボル的な建物だけでなく、病院まで含まれている。

「国の被害想定を見ると、これらの建物のほとんどは震度6強以上となる地域にあります。そんな地震が来たら、一撃でクラッシュするでしょう」

 そう語るのは防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実氏。 

「ビルの倒壊で多くの人が生き埋めになるだけでなく、周囲の建物まで巻き込むことになります。道路も塞がれ、救助活動ができなくなります。

 東京は新しいビルもどんどん建っていますが、よく見れば古い建物も多く、旧耐震基準の建物は、大小含めて3割程度といわれています。そんな街なのに、直下型地震がいつ起きてもおかしくない。それが東京の現実なんです」

 都の公表は、2013年施行の改正耐震改修促進法に基づいたものだが、「都民に広く周知することで、所有者の取り組みを促すことにつながる」(小池百合子都知事)というように、耐震改修、あるいは建て替えを促進するメッセージでもある、と渡辺氏は言う。

「阪神・淡路大震災から23年たった今でも、この国は変わっていません。これらの建物は『既存不適格』ではありますが、違法ではありません。

 よって、強制的に取り壊すこともできないのです。諸事情はあるでしょうが、もっと国や行政が介入して事を推し進めるべきです。

 東京都は、耐震基準適合の建築物に青いシールの『耐震マーク』を配布していますが、危険度が高い建築には逆に『不適マーク』を貼る、くらいのことをしてもいいはずです」

 名指しで「危険性が高い」とされた側の対応はどうか。 

「公表以前から、新宿本店ビル補強工事の検討を始めており、5月から設計に入っています。10月には設計が完了、早ければ年内には補強工事が始まる予定です。都からは『歴史的建造物』にも選定されておりますので、外観を残しつつ、補強工事を進める予定です」(紀伊國屋書店総務部)

「公表を受け、ニュー新橋ビルの管理組合が補強工事についての検討に入る、という話は伺っております」(新橋駅西口地区再開発準備組合)

「(日本大学医学部付属板橋病院の)建て替えは決定しております。詳細なスケジュールについては決まっておりません」(日本大学企画広報部)

 病院の場合、多くの入院患者がいるため、狭い敷地内での建て替えが困難であることは容易に想像できる。またニュー新橋ビルなどは、330もの区分所有者が存在しているといわれ、建て替えなどの合意形成は、相当難しくなるのは間違いない。

 それぞれの事情を抱えながら、なんらかのアクションを迫られているというのが現状だ。


【東京「震度6で危険な建物」】
●紀伊國屋ビルディング(新宿区)

 1964年竣工。ル・コルビュジエの流れを汲むモダニズム建築で、都の歴史的建造物に選定。年内にも補強工事が開始される。

●アブアブ赤札堂 上野店(台東区)

 下町の老舗ファッションビルで、天海祐希が学生時代にアルバイトをしていたことも。耐震改修については未定。

●日本大学医学部付属板橋病院(板橋区)

 1970年竣工。時期は未定だが、建て替えは決定済み。病床数1000超という都内でも指折りの大病院だけに、巨額の費用が必要。

●ニュー新橋ビル(港区)

 1971年竣工。“サラリーマンの聖地”は、戦後の闇市跡地にできたという経緯もあって、権利関係はかなり複雑。

●ヒューマックスパビリオン新宿歌舞伎町(新宿区)

 1971年竣工。ボウリング場などが入る複合レジャー施設。イベントホールなどがある5~8階が「危険」と評価された。

●六本木共同ビル(港区)

 1973年竣工。別名「ロアビル」。ディスコ「マハラジャ」があったバブルの象徴。テナント撤退後の解体が決まっている。

(週刊FLASH 2018年7月10日号)

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