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アラフォー男子のeSports初観戦記

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<通常のスポーツ観戦・興行との違い>

1)ゲーム経験者と未経験者の間の断絶

OWLを実際に観戦してみて痛感したのは、ゲームをやったことがないと全く盛り上がりに着いていけない点です。

これはゲームの種類によっても違いがあると思いますが、今回観戦したOverwatchに限って言えば、アリーナのビジョンにゲーム展開は大きく表示されているので場面を見逃しているわけではないのですが、それでもやはり何が起こっているか全く理解できず、残念ながら最後まで周りの熱狂に溶け込むことができませんでした。


従来的なスポーツの場合、例えば野球やサッカーをやったことがない人でも、場外ホームランやセットプレーからの華麗なゴールなどを見れば、「すげー」と感激する場面があり、プレーの感動を共有することができると思うのですが、eSportsの場合これが比較的難しいのではないかと感じました。

従来的なスポーツの場合は、プレーヤーの身体性自体が観戦対象であり、そのレベルの高さに観客は魅了されるわけですが、eSportsの場合は画面の中のプレーヤー(キャラクター)の身体性そのものというよりは、それを操作するゲーマーの技が観戦対象になるので、その技がどれだけ凄いのかが分からないと盛り上がれないのです。

米国プロスポーツ業界は最近5〜10年で「競技を見せる場」から「競技+アルファを楽しめる場」にそのValue Propositionを大きくシフトさせてきています。個人的に、その達成度を測るには「その競技を全く知らない人が来ても楽しめるかどうか」が一つの目安になると考えています。

この尺度でeSportsを評価してみると、(Overwatchを知らない自分があまり楽しめなかったことが象徴的ですが)競技を知っている人と知らない人の間に大きな断絶があるのは、通常のスポーツ観戦との大きな違いかもしれません。

2)ゲーム会社主導の興行体制

特定のゲームタイトルをベースに大会を組織せざるを得ないのもeSportsの特徴です。

今回観戦したOWLはBlizzard Entertainment社が開発したゲームを使い、MLGの協力でリーグ戦が実現しているだけですが、前述のように両社は同一オーナー会社に保有されています。つまり、こうしたスキームからどうしても特定企業の存在感を感じざるを得ず、「どうせゲーム会社のプロモーションに上手いこと乗せられてるだけでしょ?」という見方を否定できないのです。

また、テレビ中継やネット配信などでは、MCのトークやDJの盛り上げなどはあるにせよ、大部分はゲーム展開をそのままオンエアしているわけですが、当然ゲーム自体の知的財産権はゲーム会社に帰属しています。

OWLのように、タイトルゲームの開発元とリーグ戦の興行主が同一であれば問題ないですが、これが異なる場合に、試合中継やその周辺コンテンツ(Pregame、Aftergame、応援番組などのコンテンツ)の放映権は誰が保有するのかは、まだグレーゾーンなのではないでしょうか?韓国などでは、訴訟も起こっているようです。

<想定されるKSF>

eSportsを大きな市場に育てていこうと考えた場合、前述のように「ゲーム経験者と未経験者の間に大きな断絶がある」ことが大きなハードルになるように思えます。

断絶を超える方向性としては、「ゲーム経験者を増やす」か、「ゲーム未経験者からも共感の得られやすい(見て分かりやすい)ゲームタイトルを選ぶ、あるいは会場全体としてそのような訴求価値を目指す」、の2つが大きくありそうです。

前者は正論ですが(アメフト市場を拡大するには、アメフトのルール理解者を増やすべきだ、という主張に似ています)、これはマイナースポーツが陥りやすい罠で、実はなかなかすぐに成果が出にくい部分です。特にeSportsの場合は特定のゲーム会社の利害に直結するところも、単純に「ゲーム経験者を増やそう」という主張が響きにくいところではあるでしょう。

まあ、両方やって行くんでしょうけど、個人的には後者のアプローチに力を入れるべきかなと感じます。

ゲームを知らない人にも楽しんでもらえるには、前提条件として良いアリーナがあるのは必須でしょう。正直、ゲームを見せるだけだと間が持たないので、音楽や映像などで盛り上げないと単調になってしまいそうです(アリーナスポーツとの相性は抜群ですので、NBA球団が躍起になってeSportsチームの買収に走る気持ちは良く分かります)。

もう1つは、言葉の問題も市場を定義する上では大きな壁になり得ると思います。eSportsの場合、オンラインで予選や大会を開催することもできてしまうので、それを良く捉えれば国境などにとらわれずにボーダレスに興行することが可能です。

ただ、(個人的には勉強不足で一般的な興行形態をよく知らないのですが)、例えば日本の大会を日本語で行うとした瞬間に世界(英語)のeSportsマーケットから取り残されてしまうような状況になり得るのではないかなとも思います。

今回、Barclays CenterでOWLを見た印象では、英語圏ではそれなりの市場やエコシステムが既に存在しているように見えるので、ゲーム経験者のみを前提としたマーケットだけでクリティカルマスが取れて事業として成立してしまうかもしれないものの、日本語だけだと十分な市場を確保できないという事態に直面するかもしれない、少なくとも英語圏に根付いた事業よりは不利だろうなと言う印象を受けます。

これは、ある意味今日本のサッカー界が直面している課題と共通するかもしれませんが、ヨーロッパのようにコアサポーターだけをターゲットにして毎試合6万人の観客が集まるほど市場が大きければ(成熟していれば)問題にはならないのですが、そうならない場合に、サッカー先進国のファン開拓はあまり日本の参考にならないのです。

こう考えると、日本を軸に日本語で事業展開する場合は、よりゲーム未経験者(カジュアルファン)からも共感を得られやすい日本独自の環境を整備しないとビジネスとしては苦しくなるかもしれません。

あと、細かいところですけど、今回優勝したLondon Spitfireのプレーヤー(ゲーマー)はほとんどが韓国人だったんですけど、試合中のプレーヤーの音声をステージ間のインターバルでオンエアするなど盛り上げる努力はしていたものの、そもそも会話が韓国語で、通訳や字幕が付くわけでもなく、「おー、何か真剣に声かけあってやってるな」とは思うものの、何を言っているのかサッパリ分からず、とても残念な感じだったので、こうしたところの多言語対応などもあれば良いなと感じました。

以上、初観戦記として書いてみましたが、ぼとんどeSports初心者でまだまだ勉強中ですので、的外れなことを言っていたらご指摘頂けますと有難いです。

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