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導入される「高プロ」人事部長の本音は「賃下げに使える!」

 6月29日、「高度プロフェッショナル制度」(以下高プロ)が国会で成立した。対象者は事実上、労働時間規制が外され、残業代もなし。目下の適用条件は、「年収1075万円以上」とされるが……対象拡大は必至だ。有名企業の人事担当者が高プロのコストカットについて、本音を語った。

建設(建設会社50代・人事部長) 高プロ導入企業は少ないという調査もあるけど、それは表向き。本音はやりたいよね(笑)。朝日新聞の高プロ調査で、サントリーの新浪社長が「高い専門性を持った人材が、より幅広く活躍していくことが社会全体に必要」と言って賛同していたけど、すぐ名乗りを上げるのはさすが。

エンタメ(エンタメ系企業40代・人事課長) あの人は筋金入りの規制緩和論者だから。過去に政府の産業競争力会議で「勤務態度が悪く、ほかの社員に迷惑をかけている人がいるから」と言って、解雇規制の緩和を主張していたよね。

自動車(自動車関係メーカー50代・人事部長) じつはトヨタが、入社10年前後の主任クラスに、実残業時間に関係なく毎月17万円の固定残業代を支給する権利を与えると話題になった。それで年収を一律に抑えられるため、高プロ導入の布石では、とうちの業界では噂が出ているよ。

広告(広告代理店50代・人事担当役員) どこの会社もそうだと思うけど、成果も出さずに残業代で稼いでいる“残業代ドロボー”に、真っ先に適用したい。実際に、課長より年収が高い一般社員がいるからね。

自動車 年功だけで仕方なく課長にしている、部下がいない“名ばかり管理職”も、この際、高プロコース対象にして一掃したいね。そうすれば労基署から「管理職じゃないから残業代払え」と目をつけられるリスクを回避できるし。

建設 同感。うちは労基署に何度も注意されて、50歳前後の部下がいない課長にも残業代を支払っているけど、いっそ高プロ認定してほしい。時間管理から外れるわけだから、労基署が来ても「彼は高プロですから」って言える。

広告 電通での過労自殺事件以来、労基署の取り締まりが厳しくなって、部門ごとに残業用の予算が割り振られ、予算を上回る部下の残業申請は上司が止めて自主規制をしてきた。でも、それもなくなる。残業時間をはじめ、部下の勤怠管理がなくなって、思う存分働かせられるんだから、部門長は大賛成だろう。

エンタメ うちは商品企画がメインだけど、とにかく仕事が好きでたまらない社員が多くて。放っておけば夜中まで夢中になって仕事してる。人事が「早く帰れ」と何度注意しても、隠れてやっている。こういう社員ほど本来、高プロにはうってつけだと思うね。

自動車 でも、人事としては“痛し痒し”だよ。野党が「過労死を引き起こす」と導入に反対していたけど、さすがに好きでやっているなら、死ぬまではやらないと思う。でも、労災認定をされると当局から目をつけられて、人事が責任を問われることになる。

建設 導入するにしても、「年収要件の1075万円以上というのはハードルが高すぎる」という会社が多い。下請け会社の人事が「うちの会社で給与1000万円レベルは管理職の上のほう。高プロを適用したい中年の専門職の給与は600万〜700万円。高プロの恩恵を受けるのは大企業だけ」と言っていたよ。

エンタメ そういう不満は絶対に出てくるね。今回の導入は大企業中心の経団連が推して、「1000万円を下げろ、400万円にしろ」と要望を出したけど、今度は日本商工会議所とかの中小企業団体からも同じ突き上げが起こるのは間違いない。そうなったら政府も“国民の声”を名目に、対象年収を切り下げてくれるはず。

広告 助かるね。対象年収が600万円以下になると、うちは対象者が20%ぐらいになるから、コスト削減しやすくなる。

エンタメ 残業代もぐっと減るよ。今は1時間につき時給2割5分増しで支払っているけど、月に100時間以上残業している社員もいる。仮に月に128時間残業すると、128×1.25=160時間分。1カ月の所定労働時間にあたるから、給与を2人分払っているのと同じ。高プロを適用すれば一人分の人件費が浮くことになる。そこに目をつけて、うちもやりたいという企業が増えるはず。

建設 もし400万円まで下がれば、うちは社員の3分の2が対象になる。でもそのときはもう、ただの賃下げ制度だよね(笑)。

(週刊FLASH 2018年7月17日号)

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