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iDeCoより「国民年金基金」がお得な理由

■節税メリットは、iDeCoに軍配

2018年1月、「つみたてNISA」がスタートしました。年間上限40万円、最長20年間、最大800万円までの積み立て投資について、得られた利益が非課税になる制度です。


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写真=iStock.com/high-number

年間120万円までを最長5年間、非課税で投資できる「NISA」や、子どもの教育費づくりを目的とした「ジュニアNISA」もありますが、つみたてNISAは毎月1000円程度からはじめられ、まとまった資金がなくても手軽に投資が可能。ジュニアNISAは19歳以下が対象なので、一般的なサラリーマンが活用できるのはNISAか、つみたてNISAです。選択制なので、利用できるのは、いずれかひとつです。

そもそもNISAが創設されたのは、株価対策に加え、中長期での資産形成を促すという目的がありました。

しかしNISAは高齢者が毎月分配型投信を買っても1年程度で売却するなど、資産形成に繋がっているとは言い難く、分散投資も浸透しませんでした。そこで「長期、積み立て、分散投資」を支援するため、「つみたてNISA」が誕生しました。

証券会社や銀行などに「つみたてNISA」専用の口座を開き、積み立てる商品と金額を指定すると、銀行口座などから資金が引き落とされ、毎月、自動で投資されます。

対象となるのは、金融庁が一定の条件で選定した投資信託とETF(上場投資信託)で、販売手数料はゼロ、保有期間中ずっと負担する信託報酬(運用の手数料)が一定水準以下、信託契約期間(運用期間)が無期限または20年以上、などの条件をクリアしています。利益非課税に加えて、低コストの商品を使えば、リターンが得やすくなります。

■積み立てるときには掛け金が全額、所得から控除

現在、日経平均や東証株価指数など市場の株価指数に連動した運用を目指す「インデックス投信」が128本(うち、株や債券など資産の割合をバランスよく取る「バランス型」は57本)、運用会社が銘柄選択などを行う「アクティブ運用投信」が16本(うち、バランス型6本)、ETF3本が対象となっています。

とはいえ、税優遇といえば60歳までに資金を積み立て、老後に一時金や年金として受け取る、老後資金づくりのための「個人型確定拠出年金(iDeCo)」もあります。

iDeCoでは運用時利益が非課税になるだけでなく、積み立てる(拠出する)とき、受け取るときにも税優遇があります。積み立てるときには掛け金が全額、所得から控除され、所得が減る分、所得税と住民税が軽減されます。企業年金がない会社員が1年間に積み立てられる上限は27万6000円ですが、上限まで拠出した場合、所得税率が20%なら所得税だけでも5万5200円の節税になります。

また年金として受け取るなら公的年金等所得控除、一時金なら退職金所得控除が使え、税が軽減されます。

■つみたてNISAは「流動性」が売り

ここまでのメリットがあるなら、「つみたてNISA」より「iDeCo」のほうがトクにみえますが、使い勝手も考えなければなりません。

ポイントは「流動性」です。iDeCoは老後資金づくりの制度ですから、資金を引き出せるのは、原則60歳以降です。30~40代は、結婚、出産、住宅購入、教育など、お金がかかるイベントが目白押しで、老後資金に特化して資金を積み立てるほど余裕がない、目の前のことで精一杯という人も多いはずです。

■年齢制限もないので、60歳以降でも積み立て可能

iDeCoで老後資金を準備していても、その前のイベントで資金がショートしては本末転倒です。必要なお金から順番にお金をつくっていくのがマネープランのセオリーであり、30~40代というお金のかかる時期には、いつでも引き出せる商品で運用することが重要なのです。余裕があるならiDeCoもいいですが、無理のない金額ではじめることをお勧めします。

つみたてNISAは目的自由でいつでも引き出しできるので、老後資金づくりに絞る必要はありません。子どもの大学費用の準備のために積立預金をしているという人は、その一部をつみたてNISAに回すのもいい方法でしょう。

つまり、iDeCoを活用したくても、現実には難しいという人でも、つみたてNISAの誕生で、非課税メリットを受けながら資産形成できるようになったと言えます。

投資ですから値下がりする局面はありますが、お金を使う時期まで5年程度あれば、株式と債券、リートなどに幅広く投資するバランス型投信などを選べば、安定性重視で運用できると思います。

原則では利益に20.315%(復興特別所得税含む)が課税され、単純にいえば利益が100万円なら税額は20万3150円。これがゼロになるだけでもメリットです。

年齢制限もありませんから、60歳以降でも積み立てられ、節税メリットが享受できます。

とはいえ、自営業やフリーランスは厚生年金がある会社員より年金が少ないため、目の前のイベントを優先しつつも、早くから老後資金を準備する必要性は高くなります。

■「iDeCoより国民年金基金」のワケ

そうなるとiDeCoが最適かと思いがちですが、自営業の私は「iDeCoより国民年金基金」と考えます。

iDeCoは自身で築いた原資を一定期間で受け取っていくものですが、国民年金基金には一生涯受け取れる終身年金のタイプがあるからです。人生100年時代で長生きを想定せざるをえず、その意味では、何歳になっても受け取れる終身年金ほど頼りになるものはありません(公的年金はこの点で優れています)。

iDeCoと同じ節税メリットがあり、かつ終身年金が選べる国民年金基金で、節税しながら終身年金をつくっていくのが得策なのです。

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▼新登場の「つみたてNISA」はどこが優れているのか? BEFORE:これまでもあった
iDeCo:個人型確定拠出年金
税制優遇
・掛け金全額所得控除。
・運用時利益非課税。
・公的年金等所得控除/退職金所得控除。
対象年齢と加入資格
20~59歳の自営業・専業主婦(夫)、60歳未満の会社員・公務員など。
積み立て限度額
職業などにより年14万4000円~81万6000円。
引き出し
原則60歳以降。
所得控除の節税メリットは大きいが、60歳まで引き出せないので、住宅購入、教育費にお金がかかる30~40代にははじめにくい。 AFTER:2018年1月開始の
つみたてNISA:少額投資非課税制度
税制優遇
運用時利益非課税。
対象年齢と加入資格
その年の1月1日時点で20歳以上の人。
積み立て限度額
年40万円(非課税投資枠は20年間で最大800万円)。
引き出し
いつでも可能。
年齢制限がないので、65歳以降も働くという人も利用できる。いつでも引き出せるからはじめやすい。5年以上先に必要になる教育費など、幅広い目的で利用できる。

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深野康彦(ふかの・やすひこ)
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルリサーチ代表。『55歳からはじめる長い人生後半戦のお金の習慣』『あなたの毎月分配型投資信託がいよいよ危ない!』など、著書多数。 

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(ファイナンシャルプランナー 深野 康彦 構成=高橋晴美 撮影=村上庄吾 写真=iStock.com)

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