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日米経済新協議

 日米経済新協議が今度、どう進んでいくのかという報道を見ました。

 どういうプロセスになるかはまだまだ分かりませんが、議題は「自動車(+鉄鋼)対畜産」が主になるでしょう。いずれにせよ、重要なのは「アメリカの選挙との絡み」で見ていく事です。アメリカの連邦議会は、そういう利益誘導については日本よりも露骨にやってきます。特に今年は選挙イヤーですので、ここから10月くらいまでは力がムチャクチャ入ります。

 どうしても、日本人はコメの事を思いたくなりますが、コメはアメリカにとってそこまでの主要農産物ではありません。アーカンソー州が一番の産地ですけれども、同州のコメは味覚からして日本人の口には合いません。加工用が精一杯でして、加工用で関税割当を設けても「日本側が買うかな?」と首を傾げたくなるくらいです。そして、アーカンソーは(民主党のクリントン大統領を輩出していますが)現在は不動の共和党地域で、上院(2)、下院(4)いずれも独占しています。

 逆に2番目の産地カリフォルニア州では、サクラメント北部にコメ栽培が集中しています。こちらはカリフォルニア・ローズのように食味が日本人に合うようになっています。一度行った事がありますが、水の調達に難儀しているようで生産拡大のキャパシティがそこまで無いように見えました。なお、サクラメントの下院選挙区は日系アメリカ人のドリス・マツイ議員(民主党)が圧倒的に強いです(市の北側にある他選挙区に行くと結構、激戦区ですが)。いずれにせよ、全体としてある程度の輸入枠拡大があれば落ち着く話であり、主たるテーマになりません。

 また、小麦、大麦、酪農、甘味作物もそこまでの大きなテーマにならないと思います。やはり、どう考えてもアメリカが狙ってくるのは「肉」です。選挙ともかなり絡みます。

 まず、日豪FTA+TPP11で牛肉の関税が下がっていきます。既に日豪FTAは発効しているのでどんどんオージービーフとの価格差がついていっています。TPP11では日豪以上に下がり方が大きいので危機感は尚更です。牛肉の産地としては、テキサス、カンサス、ネブラスカ、カリフォルニア、オクラホマが上位5州です。 テキサスは南部に行けば民主党がそこそこ強いですが、テリー・ファンクが育った肉牛の大産地アマリロなんてのは共和党の金城湯池です。カンサス、ネブラスカも超保守地域です。牛肉の産地は傾向としては共和党が強い地域が多いものの、一部は民主党と激しく競っているというイメージです。

 あと、豚肉ですが、こちらはTPP+日EUでの豚肉の関税構造の変化がアメリカにとって一番気になるでしょう。こちらは関税の下げというよりも、以下のように構造が変わると言った方が正確です(色のついている部分が関税に相当しますが、それがとても薄くなっているのが分かっていただけると思います。今後、アメリカには緑、メキシコ、カナダ、EUには赤の関税が適用されるとイメージしてください。)。


 豚肉の主要生産地は、アイオワ、イリノイ、ミネソタ、ノース・カロライナ、インディアナあたりです。牛肉に比して、こちらの方が「(連邦議会選挙や大統領選での)スウィングステートが多いな。」という印象があります。

 トランプ政権は、今後、中間選挙に向けて「タマ」を欲しがるでしょう。しかも、「中間選挙前」という極めて早いタイミングでそれを求めてくると見ています。その時に対日関係で一番売れそうなのは、間違いなく「肉」です。しかも、その一部が民主党との激戦区になっていると思えば、日本に対する圧力は強まるでしょう。

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