記事

"セックスレス離婚"を綴るブロガーの末路

2/2

■クソリプへの対処法と「質問箱」

【宮崎】SNSのモヤモヤといえば、僕も本を出したことによって、こうしてメディアに出る機会が最近増えたのですが、その影響かフォロワーがそんなに多くないのに、いわゆる「クソリプ(揚げ足取りのような愚にも付かないリプライ)」がくるようになったんです。どうすればいいんでしょうか?

【中川】クソリプにはテンプレの反応を作っておいて、さらすのが一番。俺は「うんこ食ってろ」と言って突き放してますよ。

【宮崎】なるほど。この前、はあちゅうさんがアンチに対して、「うるせぇな、自分の人生生きてろ」って返していて、さすがだなあと思いました。

【中川】それいいですね。宮崎さんも早くテンプレを作ったほうがいい。

【宮崎】何がいいですかね?

ネットニュース編集者/PRプランナーの中川淳一郎氏

【中川】「みじめな貴殿を産んだご両親がお気の毒でなりません」とかはどうですか?

【宮崎】余計に敵を作りそうですね。

【中川】大丈夫ですよ、それくらい。俺なんて「うんこ食ってろ」ですから。

【宮崎】「お気の毒でなりません」は、一応、敬語ですしね(笑)。

■無名な人の意見まで、価値があるように錯覚

【宮崎】話は変わりますが、ちょっと前にツイッターで流行った「質問箱」についてはどうですか? SNS上でフォロワーや友達から質問を匿名で受け付けて、自分がそれに答える、というもの。質問や回答は自動でSNSに投稿される……といったサービスなのですが。

【中川】あれね。同じようなサービスが定期的に流行っていますよね。

【宮崎】人間の承認欲求の根深さが感じられます。

【中川】あれをやる人は、自意識が強すぎる。本来、人から質問されたり、意見を求められたりする人って、選ばれし者だったと思うんです。「質問箱」だけの問題ではなく、ウェブの出現によって、以前であれば公的な場での発言に価値がないと判断されていた無名の人の意見まで、価値があると錯覚されるようになってしまった。それが、SNSのモヤモヤの原点だと思っています。俺はあんなの絶対にできない。

【宮崎】なるほど。みんな自分のことを言及されるのが好きですからね。そういう僕もエゴサーチの鬼ですけど。

■子どもの肖像権が親によって侵害されている

【中川】あと、俺がSNSでモヤモヤしているのは、子どもの写真や動画を掲載しまくることなんです。なぜかと言うと、仮にその子どもが将来、犯罪者か被害者になった場合、容易に過去をさかのぼられてしまう可能性があるから。

宮崎智之『モヤモヤするあの人 常識と非常識のあいだ』(幻冬舎文庫)

これまでであれば、何か事件が発生した場合、メディアはこぞって容疑者・被害者の卒業アルバムを手に入れようとしてきたけど、今後はSNSを調べたら、それこそ生まれた瞬間の写真まで入手できたりするかもしれない。あと、子どもが芸能人になったとして、幼少期の写真をSNSでチェックされ、「あれ? いまと顔が違うぞ」なんてところから整形手術したことがバレてしまうかもしれない。問題は、子どもは親に自分の写真や動画をアップする許可を与えていない、ということなんです。

【宮崎】たしかに、高校デビューなんてこともできなくなるかもしれませんね。それによって、スクールカーストの固定化が進むかも。僕はSNSのなかで一番、インスタグラムを見ているのですが、子どもの写真や動画をアップしている親は、自分の顔を隠したり、写していなかったりしているケースが多いんです。

【中川】そう、自分のプライバシーはちゃんと守っているんですよね。親に肖像権を侵害され、実害を被る人たちが、これから出てくるのではないでしょうか。

■寝る前は「殺伐としたツイッター」よりも「平和なインスタ」

【宮崎】実際、僕がインスタグラムで一番見ているのは、他人の赤ちゃんと犬の写真、動画なんですよ。一消費者としては、中川さんの言う「ウェブはバカと暇人のもの」を実践しているわけです。で、インスタでは何がおこなわれているのかというと、赤ちゃんの写真、動画にタグ付けして投稿すると、アルファインスタグラマーみたいな人がその写真や動画を拾って、自分のインスタのアカウントで拡散してくれたりするんです。それが親たちにはうれしい。

【中川】それってどうなんだろう。心配にならないのかなぁ。

【宮崎】僕がインスタを見ながらよくやっているのは、そのかわいい赤ちゃんの写真をあげているお母さんやお父さんのアカウントに飛んで、産まれた瞬間までさかのぼるということなんです。「こんなムチムチでかわいい赤ちゃんが、はじめはもっと小さくてしわくちゃな新生児だったんだ」と、生命の神秘に触れながら感動する。寝る前にツイッターとフェイスブックを見ちゃうと、殺伐とした気持ちになって寝付けなくなってしまうから、平和なインスタを見るんですよ。

僕は、そういうことを無邪気な気持ちでやっていたつもりでしたけど、中川さんのお話を聞くと、結構ヤバいヤツですよね。赤ちゃんからしてみたら、親に無断でアップされたものであるわけですし。

【中川】ある程度成長したら、本人に尋ねてもよいのでは。「これまで、お前の写真を勝手にSNSに上げてきたけど、どうする? イヤなら削除するけど」くらいの配慮は必要かもしれない。“過去に親がSNSに上げた写真”が子どもにとってモヤモヤの種になるとしたら、不幸なことですよ。

【宮崎】それにしても、今回はSNSのモヤモヤから、ライター業界のモヤモヤまで、いろいろ深い話ができたと思います。モヤモヤがすっきり晴れることはないのかもしれませんが、これからモヤモヤしながら考えを深めていきたいです。本当にありがとうございました。

----------

宮崎智之(みやざき・ともゆき)
ライター
1982年生まれ、東京都出身。地域紙記者、編集プロダクションなどを経て、フリーライターに。カルチャー、男女問題についてのコラムのほか、日常生活における違和感を綴ったエッセイを、雑誌、Webメディアなどに寄稿している。ラジオなどのメディアやイベント出演も多数。

中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)
ネットニュース編集者/PRプランナー
1973年東京都生まれ。1997年一橋大学商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ではCC局(現PR戦略局)に配属され、企業のPR業務に携わる。2001年に退社後、雑誌ライター、「TVブロス」編集者などを経て現在に至る。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』『ウェブでメシを食うということ』『バカざんまい』など多数。

----------

(ライター 宮崎 智之、ネットニュース編集者/PRプランナー 中川 淳一郎)

あわせて読みたい

「ブログ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    内村光良のNHKコントは笑えない

    メディアゴン

  2. 2

    ANAホテル 首相答弁と反する回答

    辻元清美

  3. 3

    辻元氏 ANAホテルは事実を答えた

    辻元清美

  4. 4

    韓国「パラサイト」で反日強化か

    WEDGE Infinity

  5. 5

    落ち込んだGDP どうなる日本経済

    ヒロ

  6. 6

    桜問題で逃げ回る安倍首相に苦言

    畠山和也

  7. 7

    いま選挙語る山本太郎氏は場違い

    早川忠孝

  8. 8

    医療者守れぬ政府対応に医師苦言

    中村ゆきつぐ

  9. 9

    死者1万人 米インフルはコロナか

    PRESIDENT Online

  10. 10

    大企業だから? 楽天叩きに違和感

    企業法務戦士(id:FJneo1994)

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。