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"安倍3選のカギ"進次郎氏が自粛する背景

自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長に「異変」が起きている。テレビカメラを前にした歯切れのいいコメントに陰りが出て、行動も少しおとなしくなってきたのだ。その一因は、父・小泉純一郎元首相にあるという見方もある。であれば「子どもの心、親知らず」ということなのだろうか――。

2018年7月18日、衆院本会議に臨む自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長(写真=時事通信フォト)

■7月後半になぜかトーンダウン

進次郎氏は今、政局のキーマンの1人だ。9月20日ごろに行われる自民党総裁選は安倍晋三首相(党総裁)の3選が濃厚だが、流れが変わる要因があるとすれば、対抗馬の石破茂元幹事長に進次郎氏がつき、ツーショットで全国行脚する構図になった時だ。

このことは既報の「安倍総裁3選を阻止するただひとつの方法」(7月16日)で解説した通りだ。つまり安倍首相の3選は、進次郎氏にかかっているといってもいい。

当然、進次郎氏の言動には注目が集まってきた。進次郎氏も、それを十分意識している。森友、加計問題が盛り上がっていた6月には記者会見で「やっぱりおかしいじゃないか。(国会に)特別委を立ち上げてほしい」と疑惑の徹底糾明を要求。同月末には自身が中心となる「2020年以降の経済社会構想会議」として、政界スキャンダルが起きた場合は国会に特別調査会をつくり国政調査権の行使を認めるべきだという提言をしている。

さらには参院定数を6増する公選法改正案については「心配なのは国民にどう映るかだ。国民をなめてはいけない」と異論を唱えた。

■提言からは注目の「特別調査会」が消えた

いずれも、与党議員の枠を超えた思い切った言動だ。総裁選に向けて反安倍にかじを切ったとの見方も出た。

ところが、である。18日行われた「6増法案」の採決では他の自民党議員同様、賛成票を投じた。「造反」を期待していた野党議員から大ブーイングを浴びた。

また進次郎氏が事務局長を務める超党派の「『平成のうちに』衆議院改革実現会議」が20日、大島理森衆院議長に出した提言からは注目の「特別調査会」が消えた。「2020年」の提言と比べ、骨抜きになった印象だ。7月後半以降、進次郎氏の「とんがり」ぶりがトーンダウンしたのは間違いない。

■一線を越えた、父純一郎氏の暴走

進次郎氏に何があったのか。そこで着目しなければならないのが父、純一郎氏の存在だ。純一郎氏は政界引退後、「脱原発」に目覚め、熱心に全国行脚しているのはよく知られている。

その小泉氏は7月15日、自由党の小沢一郎代表が主宰する政治塾に招かれて講演。「小沢さんとは味方になったり敵になったり。今はもう、わだかまりは全くない」とかつての仇敵を持ち上げた。その後、2人は酒を酌み交わして政治談議をしている。

純一郎氏は2014年の東京都知事選で細川護熙氏を支援するなど、地方の首長選に関わることはあった。その際、今は息子が所属する自民党が推す候補と対立することも少なくなかった。ただし、国政とは一線を画していて、後輩でもある安倍氏に対しても一定のリスペクトを持って接していた。

小沢氏との接近は「脱原発」で一致したというのが大義名分にはなっている。しかし小沢氏は、あらゆるものを政局に利用する人物であることは誰もが認めるところ。今は、立憲民主党の枝野幸男代表を中心に野党結集して自民党に取って代わろうという夢を抱く。その小沢氏とのタッグ結成は、地方選で野党系候補を支援するのとはレベルが違う。まさにレッドラインを越える行動だ。

■安倍氏は純一郎氏を「小泉」と呼ぶこともある

自民党幹部は純一郎氏の暴走を、苦々しく思っている。安倍氏も例外ではない。安倍氏は先輩である純一郎氏のことを「小泉さん」と呼んできたが、最近は親しい人物と話すときは「さん」が消えることもあるという。純一郎氏は講演で「小沢氏とのわだかまりはなくなった」と語ったが、安倍氏は純一郎氏に強いわだかまりを持った。

進次郎氏もさすがに現状はまずいと思っているようだ。進次郎氏自身、これまで党を批判するような言動を繰り返してきたが、それは党内に多様な意見があることを示そうと思ってのもの。自民党にとってよかれと思ってやってきた。父親の行動は反党行為と言われてもしかたがない。

進次郎氏の言動が最近おとなしくなったのも、父の暴走に気をかけてバランスをとろうとしているとみてよさそうだ。純一郎氏が小沢氏と会談した15日以降、進次郎氏の動きが目に見えて「穏便」になっていることからも、そのことがうかがえる。

■進次郎氏の「自粛」で得するのは安倍氏だけ

進次郎氏の動きが止まることで政治はどう動くか。先に触れたように進次郎氏は、安倍氏と石破氏による事実上の一騎打ちとなりそうな自民党総裁選のキーマンだ。しかし、進次郎氏は総裁選への関与を限定的にするとの情報がある。

「週刊文春」(7月26日号)は、8月に親しい議員らとインド訪問を検討中だと報じている。各候補の出馬表明が予想される時期に日本を離れるということは、9月の総裁選に巻き込まれるのを嫌ったとみられてもしかたがない。

7月23日発売の朝刊各紙が報じた世論調査の「次の総裁にふさわしい人物」でも安倍氏と1位を争っている進次郎氏が沈黙するようになれば、安倍氏の優位はゆるがなくなる。

父親・純一郎氏が安倍政権批判を強めたことで、息子の動きが止まり、結果として安倍氏の1強体制が強化される。そういう皮肉な展開になりかねない。

(プレジデントオンライン編集部 写真=時事通信フォト)

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