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これから「仮想通貨」での大儲けは難しい

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写真=iStock.com/hocus-focus

今の規制が万全でないのは明らか

鳴り物入りで実施された仮想通貨制度改革の不備が、1年足らずで明らかになった。金融庁は2018年3月8日、再度の法改正を視野に入れた研究会を設置すると発表し、4月に初会合が開かれた。

この間に、最初の法改正のきっかけになった事件を上回る規模の仮想通貨流出事件が起きたばかりか、緊急検査をすると、杜撰な経営実態が露呈して行政処分を受ける事業者が相次ぎ、仮想通貨相場も急落した。

政府・金融庁が何より罪つくりだったのは、17年4月の仮想通貨をめぐる改正資金決済法の施行を「世界最初の登録制導入」「顧客資産を事業者分と分別して管理」と大々的に喧伝したことだ。同法施行を周知する金融庁の小冊子をみても「仮想通貨交換サービスが適切に実施されるよう制度整備を行いました」と謳われている。

しかし、同法で仮想通貨交換事業者の参入規制として導入した「登録制」は、銀行などの金融機関に課している「免許制」と比べ遥かに取得が容易な資格だ。最低資本金額をとっても、仮想通貨業者登録は、銀行免許より圧倒的に安い1000万円でできる。

金融庁が「規制よりも育成に重心を置く」として、利用者保護より事業者育成を優先したことも仇になった。ただちに登録できるレベルの健全性を保持していない事業者でも、同法施行前から営業していた実績があれば、登録申請をすることで「みなし業者」として事業の継続を認める特例措置を講じたからだ。

セミプロ投資家が売買の主役で、さほど大きな問題が生じていない段階で本格的規制を入れようとして強い反発を招いた為替のFXトレードの制度見直しの経験から「羹(あつもの)に懲りてなますを吹く」結果を招いたのではないかとの見方もある。

いずれにせよ、金融庁の規制が万全とか安心と言えないことは最初からはっきりしていた。だが、金融庁はいたずらに登録業者の信頼性を裏書きするかのような誤りを犯した。

前述の小冊子のQ&Aでも「外国の事業者から、仮想通貨の交換について勧誘を受けた」場合の対応として、「金融庁ウェブサイトで登録業者かどうか確認ください」と記している。登録さえしていれば安全な事業者だと利用者が誤解してもおかしくない。

金融庁の啓蒙姿勢が災いしたのが、17年暮れにかけてのビットコインに代表される仮想通貨相場の急騰騒ぎだ。日本人投資家が殺到してビットコイン価格は17年後半に騰勢を強め、12月に1万9783ドルと最高値をつけた。

しかし、18年に入ると一転、2月初旬には6000ドルを割り込んだ。取引も細り、3月初めの一日あたりの取引高はピークの4分の1になった。

18年1月に顧客の仮想通貨NEMがおよそ580億円分不正流出したコインチェック問題も、事業者の杜撰な実態や17年4月に施行した改正資金決済法の限界が浮き彫りとなった。流出時点の被害額は、2014年に約465億円分のビットコイン消失事件で破たんし、資金決済法改正のきっかけをつくったマウントゴックス事件より大きい。

その後、慌てた金融庁が利用者保護に急旋回。16社ある登録業者と同じく16社あるみなし業者の緊急検査に乗り出したところ、4月6日までに内部管理体制の不備などを理由に業務停止命令もしくは業務改善命令の行政処分を受ける事業者が9社も出た。

みなし業者のうち6社は登録を断念、廃業を決めたという。今後は、より厳しい参入規制や日常の杜撰な経営を見逃さない制度づくりが急務である。

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