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合区解消、大平記念館訪問など

 石破 茂 です。
一昨日の衆議院本会議において、鳥取・島根、徳島・高知のような、参議院選挙区が合区の対象となり、自県から国会議員を出せない県への対応として、参議院の比例区名簿に一部拘束式を導入し、当該県の候補者を上位に搭載することにより、この状態を緊急避難的に改善するための公職選挙法案が成立しました。

 1票の格差を3倍以内に収めるために、最も一票の軽い埼玉選挙区の定数を1議席増やし、職能代表的性格を有する比例区に、自県から出せない県の候補者が優先的に上位に2名搭載されることに対応して比例区を2議席増やす(参議院は3年ごとに半数改選なので、3×2=6議席の増となる計算です)、というのがその内容です。

 場当たり、お手盛り、党利党略、わかりにくいと散々に批判されていますし、定数増が世間に理解されないのもよくわかるのですが、衆議院と参議院の役割を憲法上明確に分け(議院内閣制の下での二院制の在り方は、一方が「権力を作る院」であり、もう一方は政府に役職者を出さない「権力を監視する院」であるのが望ましいと思っております)、それによって参議院における一票の格差を容認するような憲法の改正が、時間的に来年の改選までには間に合わず、都市部の定数を大幅に増やすようなことも、比例区の定数を削減して選挙区に回すことも到底容認され得ず、そうなれば結果として現状が固定されることとなってしまうのですが、それでもよしとするのでしょうか。

 合区の解消は自民党だけが主張しているのではなく、全国知事会、全国市長会、全国町村長会やそれぞれの議長会など地方六団体の総意であるばかりでなく、ほとんどすべての政党が賛成しているのであり、ベストが望めないからといって現状のままでよいということにはならないでしょう。批判される方は、是非この点にもご留意を頂きたいと思うのです。

 そうは言ってみても、合区対象県の悲しみや苦しみは、それ以外の地域の方々には理解されにくいのだろうなと思います。現行憲法制定時には、今のような東京や首都圏への一極集中も、地方の急激な人口減少も想定されておらず、二院制のあり方も、立法と司法との関係も、深く考えられることはなかったのであり、その歪みがこのような形で現れているのだと思っています。

 昭和50年、大学1年の憲法の講義で教授がこの問題を採り上げ、一番1票の重い鳥取選挙区選出の参議院議員を父親に持っていた私は随分と複雑な思いをしたものでした。あれからもう43年、議員になってから早32年。憲法に正面から取り組んでこなかったことへの自責の念を強く感じています。

 先週末、香川県宇多津町自民党支部研修会における講演の際、事前の時間を使って観音寺市にある故・大平正芳総理大臣のお墓にお参りし、記念館を訪問する機会を得ました。
 昭和54年秋、不人気を承知の上で敢えて大形間接税導入を掲げて総選挙に敗れ、その後自民党内では党内抗争が激化、政権が不安定となる中、昭和55年の通常国会において自民党から造反者が出て内閣不信任案は可決、総理は即座に解散を決断し、史上初の衆参同日選挙となりました。

 総選挙告示の5月30日、街頭演説で倒れた総理は虎の門病院に入院、そのまま6月12日に逝去されました。当時私は社会人二年目でしたが、亡父の二回目の参議院議員選挙だったこともあり、ありありと覚えています。 記念館にはその最後の演説の壮絶な写真が掲げられているのですが、政治家が国事に命を賭けるという鬼気迫る姿に接し、しばし見入ったことでした。

 今日で国会は事実上閉会となりましたが、政府・与党と野党の対立ばかりが際立ち、成立したとはいえIR法にしても働き方改革法にしても、国民の十分な納得が得られたとはいい難い結果であったように思います。法律は多くの国民の納得と共感を得て執行されなくてはその意味を成しません。
 私たちが努力してきたチケット高額転売禁止などの議員立法も、その多くが廃案となり臨時国会に先送りされる見込みです。子供たちが夏休みを迎える前に、チケット高額販売禁止法案は是非とも成立させたかったのですが。

 森友、加計問題に多くの時間を費やしたことが大きく響いていますが、法に抵触はしていないとしても、政府が非を非として認め、公文書の取り扱いも含めて、行政の公平な執行について誠実に丁寧に説明する姿勢が求められていたのだろうと思うと残念な気が致します。 

 防災省の設置について、政府から否定的な見解が相次いで述べられています。曰く、権限を集中させることは困難だ、今のままで上手くいっている、行政改革に逆行する、この時期に政争の具にするのは怪しからん等々、本当にそう思っているのでしょうか。

  防災は経験の蓄積と伝承、そして共有が肝心なのであって、権限を中央に集中させることを意図する必要はありませんし、今のままで上手くいっているとは私には思えません。災害大国日本にあって、多くの職務を所掌する内閣府の大臣が、その任務の一つとしてのみ防災を分掌するという体制では、不十分だと私は思います。同様に、担当する官僚が各省庁から数年ずつ出向する組織体制では、どうしても経験の蓄積、伝承が十分になされません。行政は国民の役に立つことが目的なのであり、行革それ自体が目的なのではありません。

 防災省の設置はもう3年以上も前から提唱しており、昨日今日言い始めたのではありません。とにかく全否定してしまうというのでは、決して世の中の進歩にはつながらないのではないかと考えます。

 週末は、党地方支部の会合などで愛知県と富山県に参ります。
 猛暑の日々、皆様くれぐれも健康にご留意の上ご健勝にてお過ごしくださいませ。

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