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ロボットが日常生活の中で当たり前に存在する未来はすぐそこに来ている - 「賢人論。」第66回石黒浩氏(後編)

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「人生100年時代」を迎えた今、多くの人が自らの「老い」に直面していく時代になった。石黒氏自身は、それとどう向き合っていこうと考えているのか?人工知能やロボット技術のあり方なども含め、率直な意見を聞いてみた。(※テレノイド™:大阪大学と国際電気通信基礎技術研究所(ATR)石黒浩特別研究所による共同開発)

取材・文/ボブ内藤 撮影/岡屋佳郎

コンピュータに「意識」を植え付けるなんて不可能に近い

みんなの介護 将棋や囲碁の世界でAIソフトが名人級の棋士を負かすなど、人工知能の技術が大きな進歩を遂げています。介護の現場でも生かされることはあるでしょうか?

石黒 よく言われるのは、コンピュータは人間に命令されたことを忠実に実行することはできるけど、命令の仕方を間違うと、とんでもないふるまいをすることもあるし、正確に命令しないとまったく動いてくれない存在だということ。

現時点での人工知能はまだその段階にとどまっているし、専門的な知識を持った人でないと使えない。ましてや高齢者にとっては、使いこなすことなんて到底できないシロモノです。

この段階を飛び越えるには、コンピュータが自らの意図や欲求に従ってものを考えるようになることが必要です。

みんなの介護 コンピュータが「意識」を持つということですね?

石黒 いや、人間が持っている「意識」さえ、どのようなメカニズムから生じているかがわからないくらいですから、コンピュータに「意識」を植え付けるなんてことは不可能に近いことです。

その前の段階として、人間に対して自発的に「こんなことを話してみたい」という意図や欲求を起こさせる仕組みが必要だということです。コンピュータに意図や欲求が生じるということは、人間側の「こんなことをしてもらいたい」という意図や欲求も先回りして理解できるということになります。そうなれば、コンピュータは「意識」を持った存在にかなり近づけるでしょう。

みんなの介護 そのような状況は、将来的にやって来るとお考えですか?

石黒 人間の進化は、「遺伝子」の変異によって成し遂げられたということは疑いのないところですが、もう一つ、人間は「技術」によって進化してきました。携帯電話を使って海外の人と会話している現代人は、100年前の人から見ればテレパシーの使い手にしか見えないでしょう。

つまり、技術の進化は遺伝子の進化よりもはるかに速いのです。コンピュータが人間と同等の知能レベルで会話ができる世界は、そう遠くない未来にやって来ると私は思います。

みんなの介護 ロボットが人間の日常生活に当たり前に存在する未来も、すぐ近い将来に実現すると言ってもよさそうですね?

石黒 特に、極端な人口減少に向かっている日本にとって、ロボットとの共存は喫緊の課題だと思っています。これまでの生活レベルを維持するために、ロボットは必要不可欠な存在ですし、そうした社会を実現する技術をなるべく早い段階で確立しておかなければいけないと思っています。

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