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災害時の心のケアをSNSで 大阪北部地震でカウンセラーがLINE相談を実施 西日本豪雨でも20日より開始

全国心理業連合会(浮世満理子代表理事)は、6月18日に起きた大阪北部地震で、無料通信アプリLINEを使った相談を実施。その結果をまとめた。災害時の支援でLINEを使った心のケアをしたのは初めて。新しい相談のツールとして機能したとして、7月20日から、西日本豪雨の被災者に対してもLINE相談を始めている。8月19日まで。

「カウンセラーがSNSのスキルを学べば、十分、心のケアのツールになりえます」

同連合会は、今年3月の「自殺対策強化月間」で厚生労働省が行ったLINE相談による自殺防止対策事業でも、「全国SNSカウンセリング協議会」と連携して行った。同月間内の相談の延べ件数は1404件。浮世代表理事はスーパーバイザーとして関わっていたことが大きなヒントになっていた。この経験を大阪北部地震の支援で生かした形だ。

「LINEは新しいコミュニケーションツール。手法は対面カウンセリングとは違いますが、それは電話でも同じです。カウンセラーがSNSのスキルを学べば、十分、心のケアのツールになりえます」(浮世代表理事)

6月18日午前7時58分、大阪府北部を震源とした地震が発生した。最大震度は震度6弱。総務省消防庁によると、死者は4人、重傷者は15人だった。

「こうした災害が起きたときに、不安に思う人がいるのではないかと考えました。大阪北部地震は被災エリアが限定されず、みんなが不安を抱えていました。SNSというツールが、不安を集約できるのかが大切でした」(同)

大きな余震もなく、相談数は収束していった

6月22日から7月1日までの10日間、相談時間は19時から22時まで(受付は21時半まで)。同連合会によると、参加したのはカウンセラー述べ150人。毎日、10〜20人が参加した。期間中、327人が相談を寄せたという。

「その後の状況、例えば、余震が続くかどうか、大きな地震が再び来るかなど、揺れるたびに人々の不安も跳ね上がります。想定していたのは、大きな余震がなければ、一週間程度で相談件数は減るだろうということ。実際、大きな余震もなかったため、最後は相談が収束していきました」(同)

インタビューに答える浮世代表理事

年代別では30代の相談者が最多で、71人、21.7%。ついで20代が58人、17.7%、続いて、10代が50人、15.3%。40代は41人、12.5%。50代は17人、5.2%。60代以上はいなかった。

「“次の大きな地震が来る準備をしましょう”という、本来は安心のための情報が、かえって不安を抱くきっかけになったり、若い人の中には『南海トラフ地震が来て死んでしまうんじゃないか』という不安を感じている人もいました」(同)

阪神淡路大震災の経験者はフラッシュバックも

不安の感じ方は、阪神淡路大震災の経験者どうかでも違っていたという。

「30代以上の人は、阪神淡路大震災の経験者。誰か親しい人を亡くしたとか、当時の不安、壮絶な体験を思い出すなど、フラッシュバックがありました」

一方、若い人たちからは、ネットのデマ情報を信じてしまって、不安になっていることもあったという。

「関西地方では久しぶりの大きな揺れでした。若い世代にとっては初めて。“次は何月何日に大きな地震がくる”という情報に不安を感じていました。ネットの情報によって、リアルなしんどさにつながっていました」

相談者の多くは女性。男性には環境や告知の工夫が必要

相談者の性別で言うと、男性が31人で9.5%、女性は218人で66.7%。その他は10人で、3.1%。不明は37人、11.3%。空欄が31人、9.5%。3月の自殺予防策で行われたLINE相談では女性が多かった(同連合会への相談では85.4%が女性)が、今回も同様の傾向だった。

「(過去に行った)LINE相談では、相談者は女性がもともと多いです。男性は対面や電話での相談は苦手です。例えば、阪神淡路大震災や東日本大震災の避難所に行くと『話して解決するものじゃない』と言われたりするんです。でも、夜にもう一度行くと、男性たちがストーブを囲んでいて、そこに入ると話が始まったりします。環境と告知方法次第では、男性も話すのでないでしょうか」

西日本豪雨では利用者が増加し、相談 窓口が混雑する可能性も

浮世代表理事は「大阪北部地震でSNSを使って震災のケアをしたことは歴史的転換」と言うが、同連合会では、西日本豪雨でも被災者向けのLINE相談を7月20日から一ヶ月間、実施することにしている。

「(様々な相談窓口があるが)利用者が相談先を選ぶのが当たり前で、選択肢が増えたと捉えるべきでしょう。大阪北部地震では、余震後に回線がいっぱいになったことがありますが、待機していた人にはすべて声をかけることができました。西日本豪雨の場合は大規模な災害ですので、相談のLINEがつながりにくくなるのではないでしょうか。その場合、電話相談とあわせることも必要になるでしょう」

浮世代表理事は、様々な災害などでも活動をしてきた

同連合会は「心理業の健全な発展と誰もが安心して心のケアサービスを受けられる文化の創造」を目的に2010年12月の設立。その後すぐ、11年3月11日、東日本大震災が起きた。被災者のケアのために、「チームジャパン300」というプロジェクトを立ち上げ、被災者の支援に当たった。浮世代表理事は、同連合会の災害対策本部長になった。

浮世代表理事は、1995年1月の阪神淡路大震災で被災。被災者に心のケアの支援をしていた。また。2000年6月の群発地震から始まった三宅島の噴火では島民が避難したが、その避難民にも支援を行った。2001年9月11日、アメリカで同時多発テロが起きるが、ニューヨークへ行き、主に現地で働く日本人向けの支援を行っていた。

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