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IT復興円卓会議「ボランティア」(4/6)

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IT復興円卓会議ニコニコ生放送、【第5回:ボランティア】。4回目。http://live.nicovideo.jp/watch/lv59798260
富士通野口直昭さんボランティアインフォ藤代裕之さん情報支援プロボノ・プラットフォーム会津泉さん、菊池尚人さん・中村伊知哉。

(中村)今後も大規模震災はまた起こり得るだろうということで、高まったボランティアの意識が広い意味で日本全体の復興を下支えすることはできないのか、またそういったことは期待できないでしょうか。また今回の自発的な支援のうねりを、ITを使ってどのように役立てていけばよいのでしょうか。あるいは今回の反省を踏まえて、どのような手を講じていかなければいけないのかを議論していきたいと思います。

(菊池)情報共有やマッチングというお話がありましたが、今回の反省・教訓も踏まえて、誰がどういうことに取り組んでいくことが社会的に望ましいと思われますか。

(藤代)今回に関して言えば、東北というエリアや日本の社会システムや制度は、ITの相性が非常に悪いと思います。災害時に自発的に行動する・自発的に起こるというソーシャルやITにマッチした動きは、日本の現状の制度やエリートが阻害しています。被災地が大変な状況にあるのであれば、本来開放し、自分で決めて自分で行動するという行為に委ねていくべきなのですが、今回は行政側が抱え込んでしまっていました。意思決定のプロセスや社会意識を変えなくてはなりません。更に、ボランティアに参加する人たちのためにボランティア保険というのがあるのですが、これは社会福祉協議会で登録をしなくては受けられないものです。つまりここで行政がボランティアをしっかりと握っている、巧妙にコントロールできる仕組みがあるのです。こういうものをまず打破しなければ、いくらITが良いものを作ってもだめなのです。また、今回はボランティアが阪神淡路大震災に比べ、非常に少ないという話がありました。それはなぜかというと、阪神淡路大震災経験者がこの10年の間にエリートになりボランティア参加を止めていたという事実があります。こういったNPOの現状こそが大きな問題なのではないかと感じました。倒れている人がいるのに助けないで止めるという選択肢はおかしいと思います。

(会津)私もほぼ藤代さんに同感です。更に言うのであれば、これは自分自身の反省でもあるのですが、私は衣食住の提供を不必要とする自己完結型で来いと言われた際の、災害支援の事前準備を出来ていませんでした。災害が起こったら即用意を整えて現地に赴けるという備えを、団体でも企業でもよいですが、整えておくことは必要でしょう。すなわちそれは自発的に行動できる人間を増やすということでもあります。インドネシアの津波災害が起こった際、即座に現地入りをしたISP業界のメンバーがいました。そのメンバーは現地の災害対策本部に入りインターネットを復旧させ海外からジャーナリストを招き積極的に情報発信を行いました。しかし活動はそれだけに留まらず、現地に財団法人を設立し未だに活動を継続し、支援訓練をしながら、大きな災害で活躍することを見越しています。過去の災害経験と訓練をベースに自発的な活動を行えるよう準備を整えておくことが重要です。

(菊池)衣食住を自己完結で持ち込むことが出来る自衛隊などは、被災地にとって非常に有り難い存在ですよね。指揮命令系統がしっかりしている集団で行くことも復興貢献においての重要度は高いのでしょう。

(会津)そうですね。そういったことに関しては、阪神淡路大震災の際はパソコン通信を使って行われていたように思います。従って今回は阪神淡路に比べボランティアの数も3割と少なく、災害規模も考慮すると、退化してしまっているのではないかと思う部分もあります。

(賀沢)阪神淡路は距離的に近いので、試しにボランティアをやってみるということがやりやすかったです。ところが今回は距離的にとても遠いのでなかなか敷居が高かったのではないでしょうか。そういったことに対してITサービスというのは非常に効果的で、遠くから出来ることを増やせるという、支援活動の敷居を下げられるメリットがあります。また、そういった可能性がITにあると確認できたことは一つ収穫であると思います。そして、我々のパーソンファインダーは日頃からやっているサービスの組み合わせ・ブラッシュアップでした。従って日頃からやっていることで、それをもう少しブラッシュアップすれば有事に役立つということも、もっと色々あるのではないでしょうか。

(中村)視聴者から「今回はボランティアツアーが色々企画され、ボランティア参加の敷居が下がった印象がある」というコメントが来ております。ボランティアの敷居を下げるような取り組みが色々出てきたということもポイントかもしれませんね。

(野口)高齢者だとかITリテラシーがゼロの方が、情報をどう発信するかをまず考えなくてはいけないと思います。先ほどボランティアの数が減ってきているというお話がありましたが、現地からニーズが上がってきていないという可能性も考えられます。今後の高齢社会と特定地域に目を向けたオリジナルのITシステムを考えなくてはならないのではないでしょうか。

(会津)我々の調査でわかったのですが、東北の被災地で、震災が起きる前のITの使われ方で地域特性はそんなに出ていなかったのです。携帯がIT利用のハードルを下げている部分もあります。もっと言えば、震災後仮設住宅でお年寄りの携帯電話は売れています。コミュニケーションツールとしての需要が高まったということです。ですから反論というわけではないのですが、リテラシーの問題よりも、私は復興には準備が重要と申しましたがあくまでもプロセスではなく結果をゴールとして見据えて動かないといけないと思います。

(賀沢)リテラシーの流れで申しますと、私は情報を扱う側のリテラシー向上も同時に求められているのではないかと思います。例えば単純化した被災地データが欲しかったとしてもPDFで表示されていては利用できない。こういったケースは他にも色々あるのではないかと思っています。

(菊池)確かに、私は最近とある地方自治体に行った際、情報発信者側なのに余りにも意識が低くて驚いたことがあります。

(藤代)東京電力もはじめは停電情報をPDFで出し、まるでデータが利用しにくかったですよね。それは後でCSVに形を変え、そのデータを基に有志がデータを検索しやすいようなサイトを作ったということもありました。これは先程も申し上げましたが、抱え込むのではなく任せる、という状態に近い例です。まず官側はそういった意識に変えていくべきです。そして、よく官側は民と協力することを「協同」と言いますが、現状の「協同」は官側の下請け状態に近しいものがあります。データを官側から提供されれば、それをしっかりと検証し利用していくという体制を、同時に民側もつくるべきです。「新しい公共」は官と民が一緒になって分業していきましょうということなのに、現状は機能していません。そのためには官民双方の意識の改革が必要になると思います。これはIT以前の話なのですが、この意識を変えていければ、ITの自律分散という志向とマッチしていく社会になるのではないでしょうか。

(会津)遠野に「まごころネット」という民のボランティア受け入れ及び支援をする団体があります。そこは、行政批判をあまりしません。批判ばっかりになってしまうと行政も非協力的になってしまう側面もあるのではと思います。もっと言えば災害には怒りのフェーズがあり、必ず誰かのせいにする、という状況が起こってきます。しかしそうではなく、NPOならNPOで自分たちが出来ることをし、行政と対等関係で協力した上で、行政に改革を促すことが必要でしょう。

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