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W杯日本代表チームと重なるソニー 業績回復「パス回し」で復権なるか

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FIFAサッカーワールドカップにおける日本代表チームは惜しくもベスト16で敗退したものの、国内は予想外に大きな盛り上がりをみせました。私も、テレビで生中継された日本代表の試合を、すべてTVで観戦し、応援した日本国民の一人です。代表チームに関するメディアの報道を予備知識として入れつつ試合を観戦しているうちに、ある発想が頭をよぎりました。今大会の日本代表チームの置かれた立場は、近年のソニーにどこか似ていると。

監督変更は決勝トーナメント進出への大きなポイント

Getty Images

今回の代表チームを語る上で絶対に避けて通れないのが、大会直前に日本サッカー協会がV.ハリルホジッチ監督を突然解任し西野朗氏を新指揮官に迎えるという、リーダーの変更があったことです。

報道から読み解く解任理由は、大会を前にした成績不振の原因とされた「監督・選手間のコミュニケーション不良」。コミュニケーション不良はスポーツチームでもビジネス組織でも、成績を残しうまくいっている時にはさほど気にならないのですが、一転成績不振に陥ると続々問題が噴出する、そんな傾向にあります。

外国人リーダーと日本人選手の間には言葉の違い、育った環境の違いは確実にあり、こればかりはどうにもなりません。もちろん、その障壁を上回るだけの技術面や戦略面での優れたプラスがあるからこそ、外国人に日本チームの監督を依頼するわけですが、やはりデメリットは大きい。

これまで6回ワールドカップに出場し、その半分の3大会で決勝トーナメントに進んでいる日本代表チームですが、開催国として地の利があった日韓大会を除く2回はいずれも日本人監督指揮の下であったことを考えると、チーム内の円滑なコミュニケーションは、大舞台で結果を出すための大きなポイントであるように思えます。

チーム内における「円滑なコミュニケーション」の重要性

さて、一方のソニー。同社の凋落は、拡大路線をひた走っていた出井伸之CEO時代の後期2000年以降に始まり、2003年のソニーショック以降、出口の見えない業績低迷期へ。さらに出井氏が後継に指名した初の外国人リーダー、H.ストリンガーCEOの下で奈落に突き落とされることになります。

出井氏のストリンガー氏抜擢は、下降局面にあった業績の回復に向けたカンフル剤として、発想の異なる外国人でかつ今後の主力業務と目されるエンタメ部門を成長させてきたストリンガー氏に、新たなソニーづくりを託したのだと評されていました。

しかし結果は散々たるもの。主力のエレキ部門は就任以降も大幅な赤字を垂れ流し続け、本体決算は在任7期中4期が赤字。退任時の時価総額は就任時の半分以下になるという落第経営を展開しました。

当時を知る同社元幹部は、「英語で明確に意思疎通のできる者以外とは積極的にコミュニケーションを取ろうせず、組織内でのコミュニケーションの流れは圧倒的に悪くなった」と嘆いていたのが印象的でした。

経営組織論を生業とする立場から言わせていただければ、コミュニケーションは組織の血液です。組織が健康体の時は多少血の巡りが悪くともなんとかなるものですが、健康を害した状況下での血液の循環不順は命取りにもなりかねません。ストリンガーCEO時代は、まさにそんな状態にあったと言えましょう。

ハリルホジッチ監督下での日本代表チームもまた同じ。もちろん、下降期における外国人リーダーがすべてダメということではありません。例えば、瀕死の日産自動車をリバイバルプランで救ったC.ゴーン氏。低迷期であろうとも、実績の伴う強いリーダーシップならば人は付いてくる、と言えます。組織のコミュニケーション不足を補うに足るものは、成果以外にないと言えるかもしれません。

サッカー日本代表に話を戻すと、ハリルホジッチの後を受けた西野監督。大会前に巷では、世界の大舞台を日本人監督で大丈夫なのか、というムードが漂っていました。しかし、フタを開けてみれば最低目標の1次リーグを突破。ベスト16戦では格上ベルギーを相手にあわや勝利かという大健闘を見せてくれました。

勝ち上がる過程で、選手たちが盛んに口にしていたのが、「コミュニケーションがよくとれていて、今チームが最高にまとまっている」ということ。監督個人の資質もあったでしょうが、日本人だからこそ分かる日本チームの良さを引き出すコミュニケーションが、大きな変革点になったのは間違いありません。

チーム内コミュニケーションの円滑さを垣間見たのが、あの賛否を呼んだポーランド戦での「パスまわし」でした。眼前の試合の敗戦を受け入れ他力本願でベスト16進出を優先したこの西野采配は、選手との密なコミュニケーションに裏打ちされた信頼関係があればこそ取れた戦略だったのではないかと思います。

賛否を呼ぶような微妙な戦術は、まとまりのないチーム状態で手がけたならば空中分解さえも招きかねない危険な選択なのです。

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