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7月27日、朝鮮半島で何が起きる?

トップ画像/金正恩書記長と面会するポンペオ米国務長官 2018年3月31日 出典:twitter

久保田るり子(産経新聞編集局編集委員)

【まとめ】

・北朝鮮は朝鮮戦争休戦協定65周年のこの日、米国との終戦熱望

・「終戦宣言」に固執するのは、非武装地帯を解消し在韓米軍を無力化

・「金正恩氏を信じている」トランプ大統領、このまま北朝鮮ペースに乗るのか?

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては写真説明と出典のみ記されていることがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=41004でお読みください。】

3度目の訪朝から手ぶらで帰ってきた米ポンペオ国務長官の外交手腕に疑問符が相次ぐ中、北朝鮮のホンネがみえてきた。北朝鮮外務省はポンペオ氏が平壌で帰路のチャーター便に乗った3時間後、報道官談話を発表した。

▲写真 北朝鮮金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長に迎えられるポンペオ米国務長官 2018年7月6日平壌 出典:twitter @StateDept

談話は米国への不平不満が満載だが、なかでも「7月27日の休戦協定締結65周年に『終戦宣言』を発表」にポンペオ氏が条件を付け引き延ばしたと繰り返して批判した。北朝鮮は終戦宣言こそが「シンガポール首脳会談の精神」だと主張して、信頼頼醸成の優先的な問題であり「平和体制構築の最初のプロセス」だと強調した。そして、「トランプ大統領が一層熱意を示した問題」だったではないか、と固執している。

正確にはシンガポールの共同声明では終戦宣言の合意には至っていない。だがトランプ氏が記者会見で「朝鮮戦争はまもなく終結する」と未来形で語った。合意したのは4月末の南北首脳会談の「板門店宣言」で、このなかでは今年中の終戦宣言と平和体制構築のための南北と米国の3者、または南北と米中の4者による会談開催の推進を明記している。

▲写真 米朝共同声明にサインするトランプ米大統領と北朝鮮金正恩書記長 2018年6月12日 出典:facebook @WhiteHouse

北朝鮮が熱望するように、7月27日、南北軍事境界線にある板門店で「朝鮮戦争の休戦を終戦とする」と南北、米国が合意したとしよう。1953年の休戦協定は、米国(国連軍)、北朝鮮、中国の3者が署名しているので正式に終戦に転換するには中国の参加が必要だが、当事者の3者が終戦合意することの意味は小さくない。

▲写真 朝鮮戦争休戦協定に署名する国際連合軍司令部総司令官と朝鮮人民軍最高司令官および中国人民志願軍司令員 1953年7月27日 出典:U.S.State of Defense

戦争から平和への移行は、戦争終結の次に平和協定(条約)を締結、完成する。2段階を踏むことで戦後処理を行い、外交上、勝者と敗者の立場を卒業する。朝鮮戦争は休戦であるため勝敗はないが、終戦後に3カ国、または4カ国で平和協定を結び軍事境界線や非武装地帯を解消していくことが予想される。この流れが始まれば、朝鮮半島は一気に平和ムードとなる。

彼らの狙いは、一日も早い在韓米軍の撤退なのである。「終戦」が宣言された瞬間から在韓米軍の存在価値は低下する。在韓米軍は北朝鮮の南侵を防ぐため国連軍(米軍)がそのまま駐留する形で米韓が米韓相互防衛条約を締結し、米韓の軍事同盟の絆として存在してきた。

▲写真 在韓米軍ブルックス司令官を激励するトランプ米大統領 2017年11月7日 出典:U.S.Embassy & Consulate in Korea

現在、トランプ大統領は金正恩委員長の「朝鮮半島の完全な非核化」と引き替えに米韓合同軍事演習を中断したが、終戦が実現すれば、非核化は全く進まない状況で米韓合同軍事演習は永久中止され在韓米軍は縮小から撤退に向かう。信頼醸成の名のもとに、非核化はさらに遠い目的と化す。彼らは延々と「朝鮮半島の非核化」を唱えるだろう。オバマ氏の「核なき世界」と同じようなものである。

報道官談話は、非核化についてこう述べた。ポンペオ氏は今回、「シンガポール首脳会談の精神に反するように、CVIDだの、申告だの、検証だの言って一方的で強盗さながらの非核化要求だけを持ち出した」。北朝鮮に非核化に対する意志は、かけらもみえてこない。7月27日まで約2週間である。米国は「終戦宣言」を延滞したようだが、南北が当事者として終戦宣言を行う可能性がある。

【執筆者プロフィール】

久保田るり子(産経新聞編集局編集委員)
東京都出身、成蹊大学経済学部卒 産経新聞入社後、1987年韓国・延世大学留学、1995年防衛省防衛研究所一般課程修了、外信部次長、ソウル支局特派員、外信部編集委員、政治部編集委員を経て現職。2017年、國學院大學客員教授。朝鮮半島情勢、東アジア情勢が専門分野。著書「金日成の秘密教示」(扶桑社)「金正日を告発する―黄長燁の語る朝鮮半島の実相」(産経新聞社)など。

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