記事

【書評】ヤクザにストーカーに税務署に……風俗店長の濃厚な日々『「お客さん、こーゆーとこ初めて?」艶街経営日誌』

「お客さん、こーゆーとこ初めて?」艶街経営日誌

「お客さん、こーゆーとこ初めて?」艶街経営日誌

風俗嬢に関するレポートは数多くあるが、その多くがジャーナリストと名乗る人によるもので、精神的、物理的に対象にどんな接近しようと、所詮は外側からのものである。

本書は、性風俗産業にこれでもかというくらい接近した場所から書いている。なにしろ、風俗店に勤め、店長を任され、店の脱税にまで加担した男による著作なのである。赤澤竜也による本書『お客さん、こーゆーとこ初めて?』は、風俗店の店長をまかされた著者が、風俗嬢やお客、経営感覚の狂った経営者や、しのぎをたかるヤクザ、なにかと処罰しようとする警察らとの濃密な日々を書いた一種のルポタージュだ。

絶対にご法度とされている「本番」をやったやってないで繰り広げられる人気店員との口論、人気の人妻風俗嬢につきまとうストーカー客の追及、税務署との緊迫した攻防まで、優良な企業では考えられないようなさまざまなエピソードがちりばめられている。書かれてある内容自体が風俗に疎い読者にとっては物珍しいが、関西育ちで培ったのだろう著者のお笑いセンスと、さすが慶応仏文学科(!!)卒というエスプリが効いた軽妙な文章は、それ抜きにしても読みごたえある。

バカ話もさることながら、「なぜ売春業が疎まれるか」という問題の本質を射抜いた文章も鋭い。著者は一時、風俗店の「近代化」に挑戦し、挫折したという。風俗を取り締まる法律はあいまいで、官憲側が生殺与奪をにぎっている。著者はそこに、人間の性という業を癒やすための性風俗産業を温存させながら、「見えないところで細々とやって欲しい」と囲い込もうとする、市民社会の欺瞞を嗅ぎ取る。

さっきまで笑いながらページをめくっていたのに、いつのまにか眉間にしわを寄せて唸ってしまっている、そんな不思議な味わいの一冊。

あわせて読みたい

「性産業」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ヘイト年金所長更迭 被害者語る

    BLOGOS編集部

  2. 2

    イチローへの批判を選手達が一蹴

    WEDGE Infinity

  3. 3

    秋元康監修のSushi劇場が大爆死

    木曽崇

  4. 4

    欧米の1周遅れな日本は「幸運」

    橘玲

  5. 5

    橋下氏「10年前の大阪に戻すな」

    橋下徹

  6. 6

    混浴投稿の炎上に元AV女優が持論

    AbemaTIMES

  7. 7

    無料ネットサービス依存で支障も

    かさこ

  8. 8

    佳子さまのお相手質問拒否が波紋

    女性自身

  9. 9

    移民時代に問う「日本とは何か」

    BLOGOS編集部

  10. 10

    相場の倍で中古PC売る業者を直撃

    PRESIDENT Online

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。