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転職先を「年収」で選ぶと大失敗するワケ

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人手不足のニュースが流れ、転職のCMが目に付くこの頃。転職のチャンスと早とちりしてはいけない。人口の減少と産業構造の劇的な変化で転職の常識は大きく変わりつつある。

深刻な人手不足が続いている。有効求人倍率は1.59倍(2018年1月)と10カ月連続、バブル期の最高水準1.46倍(1990年7月)を超えている。

人手不足の大きな原因は景気がいいからというよりも人口の減少だ。18年で定年を迎える人が多い1958年生まれ(60歳)が165万人なのに対し、大学を卒業する年頃の1996年生まれ(22歳)は120万人。45万人も少ないのだ。


「実感としても外食産業、建設会社は採用に非常に苦戦しています。あと中小企業や地方の企業も。新卒採用しようとしても、そもそも応募者が来てくれないなんてことも」と語るのは転職エージェントの森本千賀子さん。

働く人を確保できず、受注したくても受けられない。予定していた仕事もこなすことができず、売り上げが落ちてその結果経営が破綻する、いわゆる人手不足倒産が増えているという。

その一方で、メガバンクは3行合わせて3万人を超える人員削減に取り組んでいる。業績不振が続く電機業界でもNECが国内8万人のグループ社員の約4%に当たる3000人の希望退職を募り、富士フイルムホールディングスも国内外で1万人の人員削減。

店舗閉鎖や業態転換と苦しい百貨店、ジェネリック医薬品の台頭で厳しさを増す大手製薬会社にもリストラの嵐は吹き荒れている。

つまり今日本では「人手不足」と「人手過剰」が同時に起きているのだ。

人員削減の大きな原因のひとつは産業構造の変化だ。

「現在はインターネット革命による産業の変化が進行中で、自動車や電気の登場が社会に与えたインパクトと同じような規模の構造変化が起きているのです。

おそらく40~50年くらいかけて変化すると思うのですが、インターネットが一般的になり始めた年を95年とすると、自動車で例えると現在はT型フォードが誕生したくらいで、まだトヨタも登場していない段階。これから古い産業と新しい産業がどんどん入れ替わるはずです」

とミドル世代専門転職コンサルタントの黒田真行さんは言う。今まで当たり前にあった仕事がデジタル化され、人工知能、ロボットに代わりつつある。

そんななか転職市場はどうなっているのだろう。働く人が不足しているなら、人を確保するために賃金は上がるはず。積極的な転職で年収アップを図るチャンスがありそうだが、実際はそうではない。黒田さんに職種をカテゴリーに分類していただいた(図2)。

「Aは不動産や生命保険、自動車などのセールスのように個人で生み出す成果が重視される高付加価値な職種で、固定給が低めで、成果型の報酬比率が高いケースが多い。ハイリスク・ハイリターンな印象もあって、希望者が少なく常に人手不足な領域です。

経営者、法務や金融系のスペシャリスト、事業企画のプロなど、組織としての成果を最大化する責任を負い、求人数は少ないですが、場合によっては年収3000万円クラスの求人もある超高付加価値型の領域がBです。

Cは営業事務、一般事務、販売・接客、警備など、派遣、パートも含め、最も求人が多い領域です。業務パターンがシンプルで定型的。賃金水準も雇用の安定性も低い傾向にあります。

いわゆる総合型の正社員として組織貢献を求められる管理職などの領域がD。高付加価値な組織成果が求められる領域ですが、日本の場合、スペシャリストとしてのキャリアを積みにくく、何でも屋に陥りがちな側面があります。年齢が上がるほど求人件数は少なく、この領域で転職先が決まらずCの領域へという人も少なくありません」

厚生労働省の発表でも有効求人倍率が高い職業は、建設躯体工事10.47、保安(警備員など)8.29、家庭生活支援サービス(訪問介護員、保育士など)7.39と肉体を使う仕事。人手不足の職種は長く働けるという利点もある。

ただ、問題はこれらが希望する仕事とマッチしているかどうかだ。今まで日本の中産階級の多くを占めていたホワイトカラー事務職の求人は0.41と低い。

毎年、正社員だけで200万人と言われる転職人口(パートなどを含めると500万人)。実際転職した際の動機、退職の理由を年代別に見てみると(図3)、30代は賃金への不満だが、40~50代になると早期退職勧奨の割合が高くなる。

人員削減のターゲットになるのはいわゆる団塊ジュニア世代。71~74年生まれ、つまり現在44~47歳は第二次ベビーブームで、毎年200万人を超える大所帯。ポストは少なく社内の競争に敗れれば、会社での居心地も悪く将来も不安。いっそ新天地を求めて転職という選択も自然な流れだろう。

しかし、転職は決して甘くない。転職した人の満足度を見ると(図4)、どの世代も半数以上が満足と答えているが「30代と50代の転職満足度は全く異質です」と黒田さんは分析する。


「50代ですと最初は年収1000万円の維持を希望していたけれど、50社も60社も落ち、希望額を大幅に下げて年収300万円でも仕事にありつけただけよかったと満足している人の割合も高いのです。有効求人倍率がバブル期超えといっても平均値には意味はありません。人手が足りない職種もあれば、余っている職種もある。わかるのは人手不足という全体の傾向だけです」

転職後の年収の増減を見ても(図5)転職初年度に年収が上がるのは30代まで。40代からは年収を維持するのは困難という数字がうかがえる。


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