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真部防衛局長は処分されて当然だが、田中防衛相の監督責任と野田首相の任命責任はどうなるのか

 米軍普天間飛行場がある沖縄県宜野湾市長選をめぐって、リストを作成して講話をしていた真部朗沖縄防衛局長について、今日中にも更迭処分が下されるそうです。処分されるのは当然でしょう。

 沖縄での選挙に当たっては、これまでも同じような講話が何回か繰り返されてきたそうです。このような対応は、選挙のあり方を歪めるものであり、許されることではありません。
 藤村修官房長官は、真部局長の進退問題について「『いいことだ』という評価も出るかもしれない。国家公務員が選挙にどう臨むか。公選法違反にならないようにというための活動はあってもいい」と語っていました。驚くべき見当違いな発言です。
 もしそうであれば、どこの役所の「公務員」に対しても、そのような「講話」を行うべきだということになるでしょう。実際、防衛省以外で、このような働きかけを行っているところはあったのでしょうか。
 また、このような選挙や投票への積極的な関与は、沖縄以外の他の基地関連自治体などでもあったのでしょうか。防衛省は少なくとも95年以降、国政選挙と統一地方選挙の際、幹部に対して部下が積極的に選挙に行くよう指導することを通達で求めてきたといいますが、このような自衛隊による「集票マシーン」としての組織ぐるみの選挙介入があったとすれば、それはまたそれで大問題になります。

 宜野湾市に選挙権のある職員を集めた講話で、真部局長が何を言ったかも注目されますが、どうしてこのようなことを行ったのかということの方が、より一層、重要でしょう。行為の背後には、明確な意図があるからです。
 その意図は、はっきりしています。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設という「国策」を円滑に遂行させるためです。そのために選挙権のある人を集めただけでなく、家族や親戚などの有権者名簿まで作っています。
 投票率を上げるためなどではなく、「国策」の遂行にとって好ましい候補者を当選させるための行為であることは明らかです。一方で自民党が推薦する候補者がいて、他方で共産党が推薦する候補者がいれば、防衛局長がどちらに投票して欲しいと考えているかは誰にでも分かることでしょう。

 真部局長のこのような行為は、「国策」の円滑な遂行のための、危険を冒しての働きかけであったわけですから、藤村官房長官からすれば「いいことだ」と「評価」したいところでしょう。これまでもやられてきたことだから、処分などしたくないという気持ちがにじみ出た発言です。
 しかし、選挙のあり方からすれば、公正・公平を損なう不当な干渉になります。また、公務員のあり方からしても、中立性を逸脱したルール破りの違法行為でしょう。
 真部防衛局長の行為は罰せられて当然です。局長自身、違法性の認識はあったというわけですから、悪いこととは知りながらも「国策」遂行のためにはやむを得ない「必要悪」だと自分を納得させていたのではないでしょうか。

 それにしても、九電の「やらせメール」問題といい、今回の沖縄防衛局による選挙干渉問題といい、共産党は連続してクリーン・ヒットを飛ばしました。いずれも、内部告発によるものと思われますが、どうしてそれが共産党なのでしょうか。
 その理由ははっきりしています。新聞社やテレビ局などのマスコミ、共産党以外の他の政党は信用されていないからです。
 内部告発は危険を伴いますから、最も信頼され、告発したことが効果を発揮すると思われる相手に対してなされます。このような相手として共産党が評価され信頼されているということであり、他のマスコミや政党はそのような相手と考えられていないことを恥じるべきでしょう。

 このように、真部沖縄防衛局長は処分されて当然ですが、田中防衛相の監督責任と野田首相の任命責任はどうなるのでしょうか。おとがめなしで済ませられるのでしょうか。

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