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皇位継承問題を考える(10.関係者の意見、世論の動向)

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 さて今回は、皇位継承問題について、政治家、評論家、皇族の方々がどういう意見を持っているかや、世論の動向を見ていきましょう。

1.政府は一貫して女系天皇を支持

 政府は、2006年に「皇室典範に関する有識者会議」を受けた皇室典範改正が頓挫して以降は、明確な方針を打ち出してはいません。

 しかし、政府が旧皇族復帰より女系天皇を支持しているのは明らか

 有識者会議で男系継承維持にこだわりを見せず、あっさり女系天皇容認の姿勢を打ち出したわけで、今も大きくは変わっていないと思われます。

 宮内庁は、事務方という立場上、皇室典範をどう見直すべきかについて、いっさい見解を明らかにしていません。
 羽毛田信吾宮内庁長官は繰り返し「現行の皇室典範には皇位の安定的継承という意味で課題がある」と発言し、何らかの見直しが必要という認識は示しています。

2.女系天皇反対はいわゆる「保守派」の枠を超えつつある

 次に、政治家や論壇の状況を見ていきましょう。

 これまでの連載で見てきたように、女系天皇への反対論は、戦後の諸改革を否定的に見る立場と近い関係にあります。
 したがって、その中核は、政治家では安倍晋三氏、平沼赳夫氏、評論家では櫻井よし子氏、藤岡信勝氏、八木秀次氏といった、いわゆる「保守派(※)」の方々。

※ 蛇足ながら、彼らを「保守派」と呼ぶのにはためらいを感じるのですけどね。「保守」するには、状況に応じて変えてもいいものを柔軟・迅速に変えることが大切なのに、そういうのが彼らからは感じられません。「男系だけは絶対に変えるな」ならいいですが、何でもかんでも変えたがらないように見えて。

 しかし、彼らのような「保守派」が政治の場で多数を占めることは考えにくいので、注目すべきは彼らではなく、それを取り巻く中間派の動向です。

 私の見るところ、女系天皇への反対は「保守派」の枠を超えて広がりつつあります

 これは、女系天皇反対が、戦後の諸改革を否定的に見る立場に限らず、もう少し広く伝統とか歴史に愛着を感じる立場からも賛同を集めていることの現れでしょう。

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 いくつか例を挙げると、まず、自民党の伊吹文明元幹事長。
 対外タカ派が目立つ志帥会(伊吹派)の会長ですが、官僚出身ということもあり、強硬なザ・保守派的な発言は少なく、政策面での実務的な発言が目立つ人物です。
自民・伊吹元幹事長、女性宮家創設と旧皇族との縁組を提案(2011年12月2日産経新聞)

 伊吹氏は「このままいくと(秋篠宮ご夫妻の長男で皇位継承順位3位の)悠仁さまが天皇になるときは宮家は一つもないということになる。われわれは皇室のいやさかを願わなければならない」と述べた。

 また、女性宮家創設に向けた検討課題として「皇室が(男系の)万世一系できていることが日本文化の根本だ」と指摘。その観点から「民間の方と結婚された場合には1代限りとし、男系の旧皇族とご結婚になり男子をもうけられた場合には宮家を続けるという選択肢が一番、皇室典範にかなう」と提起した。
 安倍氏、平沼氏のような、何かっちゃ「戦後レジームの脱却」につなげたがるザ・保守派だけでなく、伊吹氏のようなやや穏健な保守派にも女系天皇への反対が広がっているのは、注目すべき事実だと思います。
 ただ、まだ自民党内でも多数派と言うには広がりが足りない感じです。

 今後のポイントは、谷垣禎一氏、石原伸晃氏などリベラル派や、石破茂氏など中間派の動向でしょう。
 彼らはまだ、女系天皇、女性宮家に対する賛否を明らかにしていません。

 また、民主党の保守系議員からも、女系天皇に反対する動きが出てきました。
女性宮家:民主党の議連が5年ぶりに勉強会 近く提言(2011年12月14日毎日新聞)

 民主党の「皇室の伝統・文化を守る議員連盟」が14日、国会内で勉強会を開き、活動を約5年ぶりに再開した。政府が「女性宮家」の創設検討を始めたことがきっかけで、近く提言をまとめて政府に提出する方針だ。

 勉強会には男系継承を維持する立場の議員を中心に約20人が参加した。女性天皇は認めるが、その子供が皇位を継承する女系天皇には反対する立場で、男系維持の立場から女性宮家のあり方などについて検討する。会長に就任した中井洽(ひろし)元拉致問題担当相は「女性宮家を認めるか、他に皇室典範で変えることがないか議論したい」とあいさつした。
 一方で、女系天皇への積極的な賛成意見は、政治家からは聞こえてきません。
 論壇でも活発に意見を述べているのは、イロモノ的な小林よしのり氏ぐらい。
 政府が自分で旗を振っているし、世論の多数派も賛成なので、あえて積極的に賛成と強調する必要性がないのでしょうか。

 全体的な構図を見ると、ノイジー・マイノリティの反対派、サイレント・マジョリティの賛成派といった感じでしょうか。
 ただ、賛成派には、強固な持論はなく日和見的な人も多そうで、総崩れになる可能性もありそうです。

 そういう不安定な状況の中で、反対派が徐々に支持を広げているようにも感じられ、今後、自民党のリベラル派や中間派がどういう判断をするかが注目されます。

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