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映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」は英国でどう受け止められたか 人物像の今

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 (新聞通信調査会が発行する「メディア展望」5月号の筆者記事に補足しました。)

 英映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」が、3月末から日本で上映された。第2次世界大戦時の英国の宰相チャーチルが主人公の映画で、第90回米アカデミー賞でチャーチルを演じたゲイリー・オールドマンが主演男優賞を、日本人の辻一弘さんが日本人としては初のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した。

 米国では昨年11月、英国では今年1月に封切られ、評価は上々となったが、改めて、チャーチルの本国英国ではどう受け止められたのか、また政治家チャーチルは今どのような位置にあるのかについて考察してみたい。

映画に登場するまでのチャーチル

 チャーチルがどんな人物だったのかは多くの方には周知と思われるが、映画の立ち位置を説明するために、簡単にその人生を振り返ってみる。

 チャーチルは1874年、マールバラ公爵の邸宅ブレナム宮殿で生まれた。父ランドルフは第7代マールバラ公の三男で、財務相まで務めた保守党の政治家である。母ジェニーは米国の富豪の娘だった。

 チャーチルは両親を慕い、父のように高名な政治家になりたいと願った。しかし学校の成績が良くなかったため、大学ではなくサンドハースト王立陸軍学校への進学を父に勧められた。卒業後、スペインの独立戦争や英領インドでパシュトゥーン人の反乱鎮圧に自ら参加し、その体験を新聞に寄稿したり本にまとめたりして軍人兼ジャーナリスト、作家となった。

 1900年には政界に身を転じ、保守党議員として初当選するが、党の政策を公に批判したことでいづらくなり、04年に自由党に鞍替えした。この時から「裏切り者」、「日和見主義者」というレッテルを保守党内でつけられてしまう。第1次世界大戦では、自分が主導した「ガリポリ作戦」(1915~16年)が失敗に終わり、海軍相を罷免された。

 1930年代に入り、チャーチルはドイツ・ヒトラー政権の脅威を演説で警告するようになったが、政界では「好戦的」、「大げさな表現で脅しをかける時代錯誤な人物」と見られていた。

 1940年5月、ナチスに対する融和策が失敗し、チェンバレン首相は退陣を強いられる。さて、次の首相は誰になるのか?

 ここから、「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」が始まる。ハリファックス外相が最有力候補と思われていたが、実際に首相の座に就いたのはチャーチルだった。昔自由党に鞍替えしたことを忘れていない保守党下院議員らは、チャーチルが首相として初めて登院した5月13日、一切の声援を送らなかったという。チェンバレンを元に戻したがっている議員も相当数いた。

 5月末までに、英国は「戦うことをあきらめてヒトラーと交渉を開始するのか、戦い続けるのか」の選択を迫られた。大陸の欧州諸国は次々とドイツ軍に攻撃され、英国は孤立した。米国は参戦しておらず、軍事的支援が他の国から提供される見込みはほとんどなかった。決断をする前後の様子が映画の中で詳細に再現される。

 最終的には「戦い抜く」ことをチャーチルが宣言し、政治家も国民も一丸となって戦争を続けていくわけだが、決断までのドラマが感情を高揚させる作りになっている。

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