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ゲーム障害というポジティブなことば

終了した「エヴァ新幹線」の1号車。豪雨に負けないで。「ゲーム」からちょっと飛躍。

■ホリエモンとひろゆきの対談

WHOが疾病の新しい診断基準ICD(「疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)」)を発表したらしい。30年ぶりの改正で、11版なので、略してICD-11と表記される。

2019年に採択、発行は22年かららしいので、まだ先の話なのだが、ここで出てくる「ゲーム障害 Gaming disorder」という言葉が話題を読んでいる。

それは、『週刊プレイボーイ』連載の、ホリエモンとひろゆきの対談コーナーにも取り上げられ、意外にまっとうなことを指摘する(新しい障害を「つくる」暇があれば、ギャンブルやアルコール等の重度の依存症治療を優先せよ→ホリエモン×ひろゆき、「社会で役に立たないと思われてるもののほうが儲かる」)2人に対して、僕がFacebookでフォローする方々(精神科医のセンセイも含みます)は、「この2人、案外ヤルな!」と認知されている。

ICD-11で言われるゲーム障害の特徴は、以下のようなものである(WHO、ゲーム障害を疾病と認定。国際疾病分類 第11版(ICD-11)を発表より)

・ゲームをする時間や場所などに対するコントロールの欠如

・日常生活よりも、ゲームを優先してしまう

・悪影響があるにもかかわらず、ゲームをやめられない

こんなことを言い始めると、「ひきこもり」の多くはゲーム障害ということになってしまう。昼夜逆転で食事よりもゲーム優先、やりすぎは身体に悪いという一応常識はもっていながらも1日10時間は平気でゲームをする。ひきこもりは厚労省の調査では70万人程度いると言われるが(39才までが54万人、40代が16万人統計からも「ひきこもった」40代ひきこもり16万人)、その5割以上はゲーム障害ではないだろうか。

■ゲーム漬けの日々は変わらない

ひろゆきやホリエモンも言う通り、何かに秀でる人は最初は極端にその分野にハマり、そのハマり度合いと相性のよさによってやがては「プロ」になっていく。ゲームやパソコンでいうと、それがきっかけでやがてはコンピューターのプログラミング方面へと進む人も珍しくはないだろう。

2人の対談によると、20代のプログラマーには年収1,000万円の人も珍しくないそうで、そう考えると、障害と心配されるほどその分野にハマったのだが、それがきっかけでプログラマーになることができた、ともいえる。

ICDは製薬会社や研究者に対して新しい障害を創設することにより新しい「分野」を提供し、結果的には、製薬会社や研究者にオイシイこと(WHO的には全体の保健福祉の向上という点では、トータルとしてポジティブ)になるという点で、WHOとしてはこうした新障害を想像することはある意味ルーティンかもしれない。

僕の面談室に現れるひきこもりの子をもつ親たちも新概念(ゲーム障害)に対していつものことながら動揺しているが、以上のようなことを僕が説明すると、すぐに安心する。

ゲーム障害という言葉があろうがなかろうが、子どもたち若者たちのゲーム漬けの日々は変わらない。どっちにしても、人によっては1日10時間ゲームをする。

■ひきこもりたちの生のあいまいさを揺り動かす

むしろ、ゲーム障害と名付けられてしまう多くのひきこもりの若者(不登校含む)が、実はそれほどポジティブにゲームをしていないことが問題だ。

本当は働きたい。本当は学校に行きたい。けれども仕事も学校も無理であり、かといって家の中でほかにやることもない。

だから、ゲームをしている。

ここでのゲームの位置づけは、実は非常にネガティブである。日常生活の乱れや長時間の没頭といった、いかにも世界保健機構的なラベリングというよりも、ゲーム障害者(あえてこんなふうに言ってみます)自身が、その障害の原因となっているゲームを実は楽しんでいない。

長時間行なってはいるが、

「他にやることないから」

仕方なくゲームをやり始める。いったんゲーム空間に入ると、もちろん興奮する。エキサイトする。没入する。が、心のどこかでは、「学校にも行かずにゲームをすることはイケナイこと」「仕事もせずゲームをしてはイケナイ」と、古典的社会規範で自分を縛っている。

そのあり方は、「障害」というほどには徹底していない。イマイチ、イケていないのだ。

障害と名付けられるのであれば、もっともっと没入してほしい。いまのように、「ゲームをしている自分はたぶん・おそらく・きっと正しい」的な、自分を無理やり肯定するようなあり方は、ある意味不純だ。

ニーチェであればこの今のひきこもりの人々の価値転倒(ゲームをしている自分は正しい、と思いたい)を、非常に正確な意味での「ルサンチマン」というだろう。

その意味では、「ゲーム障害」というハードな言葉は、ひきこもりたちの生のあいまいさを揺り動かすという点ではポジティブだと思っている。

※Yahoo!ニュースからの転載

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