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歴史の節目

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Ⅳ.今後の検討事項の検討結果と政府への新たな申入れ事項

1.公文書管理の実効性ある体制強化

(1)公文書管理の専門官やアーキビスト含む内閣府、国立公文書館の体制整備
①内閣府は、公文書管理制度を所管し、政府全体の文書管理を監督・統率する立場にあるが、専任の幹部が不在で、官房業務を多く抱える官房長や官房審議官の兼務となっている。十分な体制を整備してきているとは言えず、政府全体の公文書管理の適正化を図るため、公文書管理法に定める内閣総理大臣のチェック権限(報告・資料提出の求め、実地調査)を担い行使する独立のハイレベルの責任者(政府CRO(Chief Record Officer)を内閣府に速やかに新設すべきである。

②政府CROには、各府省のCROと密に連携しつつ、各府省の文書管理の状況を一元的に把握し、各府省に対する監視、助言・指導、監査・実地調査等を行うための強い権限を付与すべきである。同時に、政府CROを支えるスタッフ(公文書管理課)の体制を大幅に強化する必要がある。

③既に決定されている新国立公文書館の建設にあわせて人的・質的な充実を図ることによって、国立公文書館の体制を強化し、文書管理に関する専門的知見の集積機能を向上させ、政府CROがその知見や人材を活用できるようにすべきである。そうした取組みの一環として、アーキビスト養成の取組みを一層充実させ、歴史的文書のみならず、日常の公文書管理についての専門的知見も備える者とし、求められる能力の種類や水準、職務、キャリアパス等を明確にし、資格化することについても検討する。政府CROの指揮の下、権限を付与したアーキビストを各府省に派遣し、各府省の公文書管理の適正化を支援させる枠組みも検討する必要がある。更に、将来的には、各府省においてもアーキビストを育成することを検討する。

④なお、政府CROにおいては、効率的・効果的な電子的文書管理等を推進していくため、政府全体のIT化を統轄する政府CIO等関係機関との連携体制を構築すべきである。

(2)文書管理を専門的・客観的にチェックする各府省のガバナンス体制の構築
 ①政策の経緯等を保存するところまでが政策形成活動であることを踏まえれば、公文書管理は業務遂行そのものである。各府省の公文書管理は、業務とあわせて統率することが不可欠であり、引き続き、各府省の政策、業務遂行全体を管理し、責任を持つ官房長等が、府省全体の文書管理を統率する役割を担う必要がある。

②他方で、官房長等は多様で広範な官房業務を抱えていることから、上述政府CROとも連携しつつより実務的・詳細なコントロールを確保するため、文書管理の総括を主たる業務とする実質の統括官としてハイレベルの各府省CROを各府省に新設すべきである。各府省CROは、政府方針を踏まえた各府省内の対応方針の整理、官房長が持つ文書管理権限(管理状況の報告聴取および資料提出、各部局への助言・指導、監査・実地調査)に基づく実務を担うこととし、厳正な管理体制を構築する。

今年度、内閣府において試行運用されているアーキビストの派遣について、効果を検証した上で、全省に展開するかどうか検討すること。その上で、前述の各府省CROと各府省に派遣されるアーキビストによる第三者的な点検・監査によって、適正な管理・保存・廃棄を行うこと。特に、今回問題のあった財務省と防衛省については、その要否を検討した上で、必要であれば今年度中にも実施すべきである。
併せて、各府省CROを支える体制や実質的な廃棄協議を行うためにも公文書管理課の体制を整備し、強化すべきである。

③なおCRO設置の後も、文書管理の主体は、府省内の各部局、とりわけ各府省の業務遂行の基本単位としての課であり、各課長等(文書管理者)が責任感を持って取り組まなければならない。また、各部局の局長等が十分に監督責任を果たすべきは言うまでもない。こうした各部局の体制について、新たなガイドラインでは、各課に文書管理担当者(補佐級)を置くこととされているが、総括補佐等必ずしも各課1名に限ることなく、実態に応じて各係や各班の個別の業務分野の内容や状況を詳細に把握できる複数の担当補佐を文書管理担当者として指名すべきである。

(3)公益通報者を保護する仕組み
①国の行政機関に対する内部の職員等からの通報については、公益通報者保護法を踏まえ、ガイドラインに基づき、既に、各府省に通報窓口が設けられ、通報者等の保護を徹底することとされている。しかしながら、今回こうした既存の枠組みが機能しなかったことを踏まえ、公文書管理に関する事案については、別途、各府省のCROの下に公文書管理専門の通報窓口を設け、省内の職員からの通報・相談を受け付けられるようにすべきである。なお、職員が通報を行ったことにより不利益な取扱いを受けることがないことを明確にするなど、通報窓口の信頼性及び独立性を確保すべきである。

②併せて、新設する政府CROの下に、公文書管理に関わる問題の各府省共通の通報窓口を設置することとし、各省内部での通報・相談では迅速・的確な対応が困難な案件など、各府省の職員が直接内閣府に通報・相談することも可能とし、政府CROの各府省に対する調査・指導等により、法令等の遵守を徹底する必要がある。

(4)適正な廃棄を担保する業務サイクルの構築と運用
 ①電子・紙の媒体に関わらず、業務サイクルとして廃棄を明確化すること。例えば、月末や四半期・半年ごとに廃棄を促す日や週間を設定し、通常廃棄の文書と、機密性が高く溶解等の処理を行う必要のある文書を適切に分別廃棄するよう全府省で構築し徹底して運用するべき。

 ②1年未満文書に該当する文書であっても、重要・特異な情報や合理的跡付け検証に必要な場合は1年以上保存となるが、どのような文書が該当するのか、今後の運用の中で事例集をまとめて公表すること。

2.電子的手法による体系的、効率的文書管理の充実
公文書について、検索性の向上、適切な履歴等を確保するためには、電子的作成・管理を原則化することが効果的。今後、デジタル・ガバメント実行計画やデジタル・ファースト法案も踏まえ、電子管理を前提とした業務プロセスに見直しを行っていく必要がある。なお、紙管理の時代に作成したもの、紙で国民から申請されたもの等については、スキャン作業等を行うことは非現実的であり、紙媒体での適切な管理が適当である。

こうした見直しをスピード感を持って迅速に進めていくためには、二段階のアプローチで望むことが必要である。第一段階は、システム整備等の手段から議論するのではなく、まずは何を実現すべきかを考えることである。そして、その実現のために直ちに行える手段(現行のシステムやソフトウェアの機能の活用や、職員の判断や作業を介在させる等)を検討し、速やかに実行に移すべきである。その上で、第二段階として、作業の正確性向上・効率化、職員の負担軽減、不正アクセス防止、機密の確保等の観点から、ルールの変更等より抜本的な取組みについて内閣府において検討を進め、システム上の対応をする方が望ましいものがあれば、総務省とともに検討するべきである。

この二段階アプローチの下で、以下の(1)~(4)の諸点について、各府省は、現行の各省LANシステムの下でも実施可能なものから取り組むこととし、具体的な取組み状況を内閣府に報告し確認を受けることとする。内閣府は、各府省が速やかに着手できるよう、必要な指示、助言等を行う。その上で、内閣府においては、以上の取組みを確実、容易に行えるよう、抜本的な電子文書化の推進について検討し、本年度中にその方針をとりまとめ、それに関連するシステムの整備を総務省とともに検討すべきである。

(1)体系的な共有フォルダ構成
①行政機関は、組織としての意思決定等の過程や実績について、組織として用いた公文書の開示等を通じて、現在、将来の国民に対する説明責任を果たしていくことが求められている。その際、組織的な確認、検討を経ない職員個人限りの文書が混在していると、政府の組織的な意思決定過程等の理解をミスリードすることになりかねない。

したがって、組織的に用いられた公文書と職員個人限りの資料が混在する状態を厳に避けることが重要であり、文書の実態と形態を揃えて、電子文書であれば、意思決定過程の跡付け等に必要なものは所定の業務フォルダに、組織的な検討や内容確認等を経て随時その内容が更新されるものは検討中フォルダに、個人の参考資料や検討資料等は個人フォルダに保存し、厳格な公文書管理を担保する必要がある。

そのためには、相互に密接な関連を有するものを行政文書ファイルにまとめ、分かりやすい名称を付し、事務・事業の性質や内容等に応じて系統的に分類しなければならない。電子文書管理のための共有フォルダについても体系的なものとして構築し、意思決定過程の跡付け等に必要なファイルを保存する必要がある。

②共有フォルダ構築にあたっては、現在の行政文書ファイル管理簿の分類を所与として、それに共有フォルダの構造を合わせるだけでは意味がない。

まずは、体系的な電子文書の管理の観点から望ましい共有フォルダの構造について、組織内の業務全体を管理し、その業務遂行に責任を有する文書管理者(各課長等)が責任を持って検討し決定することから始めるべきである。

なお、こうした作業の結果、行政文書ファイル管理簿と構築したフォルダ構造に齟齬が生じた場合は、フォルダ構造を反映した見直しを速やかに行う。行政文書ファイル管理簿上の分類、名称等を内容が理解しやすいものとすることにより、情報公開請求をする国民が、自分が希望する情報が記載されている行政文書ファイルを特定しやすくなる効果もあり、行政機関、国民双方の負担軽減にもなる。

③行政機関が保有する全ての文書について、一度に新たなフォルダ構造に移行させようとすると、短期間に膨大な作業が必要となるほか、作業の際にファイルが散逸するリスク等がある。このため、一つの方法として、従来のフォルダ構造下でのファイル管理を継続しながら、別途新たに、正しく構成し直した行政文書ファイル管理簿に沿ってフォルダ構造を作り、新規に作成する文書や、利用した文書などから移行する「新築、順次引っ越し」方式を採用すべきである。

この方法においても、完全移行には数年以上かかると考えられる。内閣府は、各府省が作業に着手するよう直ちに指示を行うとともに、今後のフォルダの整理のあり方に関して、本年度中に各府省共通のマニュアルを整理すべきである。

④なお、一度フォルダ構造を改めたとしても、個々の職員が自由にフォルダを追加し、検討中の文書と決定済みの文書、個人メモ等を混在させては意味がない。文書管理者は、文書管理担当者を活用しつつ、個々の文書を保存する際の確認を確実に行うとともに、フォルダの状況について、自ら定期的に確認する必要がある。

(2)文書の所在を所管課が確実に把握する仕組み
①現在の実務では、他部署・他府省との電子文書の共有については、メールにファイルを添付して送信・共有するのが一般的であり、当該文書の本来の所管課においても、どの範囲でコピーが保有されているか把握できていない状況。このような中で、情報公開請求に対して「不存在」とした文書が所管部局以外から発見されるという事態が起こっている。

②今後は、所管課において「原本」を確実に保存・管理するとともに、省内におけるコピーの所在を確実に把握できるよう、以下の対応とすべきである。なお、府省内で広く共有する文書については、府省内掲示板の活用等を検討すべきである。その上で、他部署・他課等と共有する場合の留意点や考え方をガイドライン等に明記すること。

a)特に厳格な管理が必要なものについては、他部署へコピー供与せず、閲覧権限を付与する、

b)コピーを供与する場合には、所管課において供与履歴を管理し、供与先の保有・廃棄状況を把握する、

c)コピー文書には、ファイル名に、コピーである旨、所管課、廃棄期限を記載することで、コピー文書としての適正な保管、廃棄を行う。

(3)標準書式の作成
①現在は、文書の位置づけをファイル名や文書内の記載等により確認することができないものが多いため、体系的な整理を進めていく上で支障となっているほか、発見された文書がどのような位置づけのものであるか(最終結果か検討中段階か等どの段階か、個人メモか等)が議論になる例もみられる。

②公文書管理を効率的、確実に行えるよう、また、情報公開請求等にも的確に対応できるよう、ファイル名や文書内において、作成時点、文書の段階(検討中等)、保存期限、不開示情報の有無等の必要事項を明示することで位置づけや確度を明らかにできるよう、内閣府において、速やかに標準的な書式を定め、各府省に通知する。

(4)電子メールの保存・保管に関するシステムの見直し
①新たなガイドラインでは、電子文書は文書管理者の確認の上、共有フォルダ等の共用の保存場所に保存するものとされ、電子メールについても、意思決定過程等の跡付け・検証に必要となるものは、作成者又は第一取得者が速やかに共有フォルダ等に移して保存することとしている。しかしながら、行政機関の職員は、日々無数かつ様々な内容の電子メールを取り扱っており、保存すべきか否かの判断が適切に行われなかったり、職員の自発的な対応のみに委ねたのでは、必要なメールの共有フォルダ等への保存作業が後回しになったり、保存すべき電子メールが共有フォルダ等に保存がなされないリスクが回避できない。

②このため、内閣府において、どのような電子メールが行政文書として意思決定過程等の跡付け等に必要なものとして共有フォルダ等に保存すべき電子メールであるかについて具体例をガイドライン等に示すことにより明確にすべきである。その上で、判断に迷うメールは一時保存フォルダに移して、後からまとめて点検できるようなシステムを整備すること。なお、一定時期がきたら自動で廃棄するシステムは今後使用しないこと。

また、内閣府において、諸外国の例も研究の上、例えば、一定期間経過時に、作成者や第一取得者等の職員に分類整理を促し、その整理に従って電子メールが共用の保存場所に保存されることとなる等の仕組みについても検討すべきである。

3.各府省における情報公開への対応体制の整備
①情報公開は、政府の説明責任を全うするための重要な業務であるが、各府省の実務においては、対象文書の特定・探索と開示・不開示の判断に時間・労力を要している。情報公開対応において、請求対象文書の特定・探索事務を的確かつ迅速に行う観点からも、公文書の検索・利用が容易な形で体系的に管理することが必須である、先ずは、上記の電子的管理への移行を早急かつ具体的に進める必要がある。

②その上で、情報公開制度は、説明責任の要請と、個人や法人、国の安全確保などの権利・利益の保護の要請とのバランスの上で成り立つものであり、開示・不開示の判断が困難な場合も多々あることから、各部局の判断が迅速・的確に行えるよう、各部局に対する指導・助言等の機能を強化する必要がある。

③そのため、公文書管理の徹底のための各府省CROの体制は、省内の対応事例、審査会答申・判例の提供等、情報公開に関する指導・助言等も一体的に行う体制として構築すべきである。また、各府省の実情に応じ、大量の文書請求に対応する等のため、開示請求対応に経験・知見を持つ者(再任用職員を含む)を官房等に確保し、各部局の作業を補助させることも検討する必要がある。

4.電子決裁システムへの移行の加速
①総務省による実態把握の結果、困難のないものは既に電子決裁が行われており、電子決裁がなされていないものについては、何らかの「業務上の困難」が存在している。例えば、現在、国民からの申請が紙でなされるもの、膨大な紙の添付資料や大きなサイズの添付図面がある決裁は、原本が紙である以上、紙をベースに意思決定を行うこととなる。決裁の場面だけで原本を電子化することは、そのための作業に時間を費やし、国民へのレスポンスが遅くなるなどの問題があるほか、そのためだけに機器を導入するのも非効率である。

②したがって、業務プロセス全体を見直して、入り口(申請等)から出口(許可等)までを一貫して電子化する中で、電子決裁を実現することが必要である。政府は、デジタル・ガバメント実行計画に基づき、6月末に各府省が中長期計画をまとめるなど、申請から、その審査・決裁・通知までを一貫して電子で行うという発想の下、「手続オンライン化」「添付書類の撤廃」の検討を進めている。各府省は、これとあわせ、業務プロセス全体の電子化の中で電子決裁を行うことについて検討し、結論を得るべきである。

③その際、総務省は業務改革(BPR)を推進する立場から、業務プロセスの見直しを各省任せにせず、必要な助言等を行うとともに、各府省の検討を踏まえ、電子決裁への移行についての政府方針を速やかに取りまとめる、電子決裁への移行進捗状況を継続的にフォローすべきである。

④併せて、総務省及び各府省は、文書管理システムの処理能力向上を含め、電子決裁の使い勝手が向上するようシステム改修を行うべきである。総務省は、文書管理システムについて、決裁終了後文書の修正について内閣府が定めるルールを速やかに反映するほか、各府省の意見を聴きながら、秘匿性の高い決裁についての閲覧者制限機能の導入、府省をまたぐ電子決裁を可能にするなど、使い勝手の向上に取り組むべきである。改修に当たっては、現行のシステム構成の下で対応可能なものについては、直ちに着手、システム構成自体の見直しが必要となるものも、文書管理システム及び連携するシステムの更改時期などを踏まえ計画的に進めるべきである。

 ⑤なお、従来、電子決裁率(平成28年度91.4%)の調査対象に入っていなかった、「業務環境上の制約」があるものの中には、セキュリティ等の観点から、文書管理システムに接続せず、また、独自の電子決裁機能も有しない業務システムがある。これらについても、各府省は、セキュリティ確保を優先しつつも、文書管理システムへの接続又は独自の電子決裁システムの搭載を検討すべきである。

併せて、会計事務についても、会計検査の際の証拠書類、検査資料提出を電子的に行うことを含め、業務を効率化するため、電子化を進めるべき。これに資するよう、官庁会計システム(ADAMS)の次期更改の際に電子決裁機能を追加すべきである。

5.刑法犯罪に至らない不正・不当な行為への対応策のさらなる検討
 ①民主主義の土台を成し、国民共有の資産である公文書について、決裁文書の改ざんなど不適正な取扱いがなされないようにするためには、厳正かつ体系的な内部統制が行われる必要がある。内部統制の土台は、「公文書の意義を心から理解し、大切にする組織文化」を政府全体に確実に根付かせることであり、そのために、当WTでは既述のとおり、日常の業務遂行が自然と的確な公文書の作成・保存につながる具体的仕組みとガバナンス体制の構築を図る中で、常にPDCAを回していくことを提言するものである。

②その上で、不正・不当な行為を抑止していく観点からは、公文書管理に関する仕事ぶりを人事により的確に反映させることが必要である。国家公務員法上、職員の任用、給与等の人事管理は、毎年度の人事評価に基づいて行わなければならないこととされており、職員の昇進、昇給、逆に降任や降給を左右することとなるなど、個々の職員にとって、長い公務員生活の全ての局面で人事評価は極めて重要な意味を持つ。人事評価は、公務員の意識や行動を具体的に変革させ、定着させていく上でも有効なツールといえる。したがって、今後は、職員の公文書管理への取組を明確に評価項目の一つとして位置づけ、職員の取組状況を処遇に反映すべきであり、内閣人事局において早急に検討し、実施に移すべきである。 

③更に、国家公務員法においては、職員に職務上の義務への違反、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行等の非違行為があった場合には、これに対する行政上の秩序罰として、免職、停職、減給、戒告といった懲戒処分を課すことによって公務員関係における秩序を維持するとともに、非違行為を抑止する効果を持たせている。 懲戒処分については、実行者のみならず監督責任を問うことも可能であり、責任の軽重に応じて関係者をすべて処分することができることから、内部統制上の重要な手段としてその統制力が十分に発揮されるよう整備する必要がある。

この点、公文書管理法上の違反行為についても、財務省の決裁文書改ざん等に関連して当時の担当局長等が処分されたとおり、職務上の義務違反として懲戒処分の対象となる一方で、これまで、各府省が懲戒処分を検討する際の指針となる人事院の「懲戒処分の指針」では、秘密漏洩、入札談合関与、横領等について具体的記載があるものの、不適正な公文書管理を行った場合の扱いは具体的に示されておらず、こうした行為の非違行為としての評価や具体的な処分の基準などが明らかではなかった。

   職員に対して、公文書の不適切な取扱いは重大な非違行為であることを明示して、適切な文書管理への自覚を求めるとともに、今後、万一不適切な行為があった場合に、各府省が速やかに厳正な処分を行えるよう、人事院において、「懲戒処分の指針」に、適正な公文書管理を求める国民の意識の高まりを十分反映した厳しい処分基準を定めることを求める。

6.外交・防衛機密に関する情報公開のあり方
①防衛や外交は国民の関心も高く、政府として国民に状況を的確に説明する責任がある。一方で、防衛・外交の特殊性から、国の安全や利益を損わないよう、開示・不開示の判断を含め情報公開にあたっては特に慎重な判断が必要となる。その結果、一つ一つ不開示情報を特定していく際、マンパワーが必要となり、現場の負荷が大きく、他の業務に支障が生じている状況。実際、統計上も、防衛省や外務省については、原則30日以内の開示決定期限を延長して対応している割合や、不服申立てが行われる件数・割合が他府省と比べて著しく高くなっている。このため、例えば、部隊の運用等に関わる文書は「行政文書」から除外する、オペレーション中は開示請求への対応を停止する等の特別な取り扱いが必要との指摘がある。

②こうした点も踏まえ、現行の情報公開法は、外交・防衛情報について、他の不開示事由とは異なり、大臣の判断を一定程度尊重する規定ぶりとしている。また、諸外国の一般的な情報公開法制においても、開示請求自体の対象から除外としているのは、諜報活動、対テロリズム対策等であり、外交・防衛情報について、司法判断を抑制的に行う例などがあるが、開示請求の対象にはなっている。諸外国における枠組みも基本的にわが国と大きな違いはないが、特例法の状況や運用実態については必ずしも十分に明らかではない。

③したがって、先ずは、外交・防衛情報の情報公開のあり方について、外務省・防衛省を中心に、必要な説明責任を果たすことを前提に、各国の制度の下での特例法や運用実態などの把握により一層努め、ルールの在り方について引き続き研究を深めていく必要がある。

④また、そもそも防衛機密などを厳格に管理する観点からは、何が公開してはいけない情報なのか、業務遂行過程において常に意識しておくべきものであり、外務省・防衛省においては、機微情報を含む文書について、作成・保存の段階において、何が公開すべき種類の情報で、何が不開示とすべき種類の情報であるかを考え、できるかぎり両者を区分した書式・様式とすることを早急に検討。

なお、国民の関心の高い情報を提供することは、国民への説明責任を果たす観点から重要であり、結果として、国民の開示請求負担の軽減、行政機関の開示請求対応の負担の軽減にもつながることになる。このため、国の安全の確保等から公開を控えるべき情報を除き、Webサイト等での積極的な情報提供に努めるべきである。

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