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自然を愛する男・南こうせつをモデルに歌った吉田拓郎「野の仏」 - 田中秋夫

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BLOGOS編集部

南こうせつが毎年「みどりの日」にちなんで、「自然とのふれあいを大切にしよう」との趣旨で東京・日比谷野外音楽堂で開催しているコンサート、「グリーンパラダイス」が今年も5月に開催された。

27年目を迎えたこのコンサートにはこれまでにその趣旨に賛同した数多くのゲストが参加しているが、コンサートがスタートした瞬間から観客との一体感があり、「継続は力」を実感するイベントとなっている。

自然をこよなく愛する彼は大分県大分市(旧:大分郡竹中村)の出身で、自然豊かな環境で育ち、現在も故郷大分の杵築市に住んでいる。

そんなこうせつとの出会いは1969年の春。彼が20歳の頃だった。当時、フォークソングの女王と呼ばれていた森山良子がDJ担当の「スコッチフォークジャンボリー」という番組が主催し、東京の晴海ドームで、アマチュアフォークコンテストを実施した。

そのコンテストに応募してきたのが明治学院大生の彼だった。

激動の時代に生まれた“和製“フォークシンガー

団塊世代が大学生だった頃で、大学のキャンパスは70年安保をめぐり、全共闘運動が激しく燃え上がっていた。神田の学生街がパリの学生運動のメッカになぞらえて「カルチェラタン」と呼ばれ、東大の安田講堂を占拠した全共闘の学生と、警視庁機動隊との攻防が、テレビで生中継されていたりしていた。

激しい政治闘争を繰り広げる学生たちが存在する一方で、学生たちの間にフォークソングが大きなムーブメントになっていた。

この頃のフォークソングはアメリカのフォークをコピーする段階から、日本語でオリジナルの曲を作って歌う「和製フォーク」が中心の時代に変わろうとしていた。

「新しい才能を持つフォークシンガーを発掘しよう」

という趣旨で、そのコンテストは企画された。審査員にはフォーク界のパイオニア小室等を委員長にし、レコード会社各社のディレクターたちにお願いした。そこに応募してきたのがまだ明治学院大学の学生だった南こうせつだった。

当時応募の封書に書かれていた名前が「南高節」とあり、読み方が分からなかった為、

「なんこうぶし」
「なんこうたかし」

などと、適当にあて読みしていた。

コンテストは第1次がテープ審査で、沢山の応募作品から絞り込んでいったのだが、彼は見事に予選をクリアして決勝に出場することになった。

その決勝大会の晴海で初めて彼と対面することになったのだが、ちりちりのくせ毛が特徴の朴訥(ぼくとつ)とした印象の若者だった。

決勝大会で彼が歌ったのは、オリジナル曲の「最後の世界」で、交通事故で亡くなった若者本人の悲しみを歌った曲。事故の瞬間にヘッドライトに照らされて母親を呼びながら昇天していく様子を切々と歌った作品だった。

これは、後から知ることになったことだが「死」をテーマに歌を作る発想は、さすがお寺さんの息子だと妙に納得をした。

そして彼は見事、準グランプリに輝き、表彰式で森山良子からトロフィーを受け取った。

そのコンテストから1年後の1970年4月に、彼はクラウンレコードのPANAMレーベルから「最後の世界」でソロデビュー。その半年後には、同郷大分出身の大島三平たちと第1次「かぐや姫」を結成し「酔いどれかぐや姫」を出した。そして、翌年の1971年9月には高校の後輩である伊勢正三、そしてフォークグループ「シュリークス」を脱退した山田パンダとで、新生「かぐや姫」を結成し、シングル「青春」で再デビューした。

この曲のプロモーションの為にゲストとして出演して貰っているうちに、彼が類まれな話術の持ち主であることに気がついた。

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