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「最低賃金」 働く者の生活を底支えし、 公正競争を促して経済の好循環へ

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パート労働者、契約・派遣社員などのいわゆる非正規労働者が雇用者全体の約4割を占める中、その労働条件改善は急務だ。雇用形態の違いのみを理由に労働者を低賃金で雇用することは許されない。どこで、どんな雇用形態で働こうとも、賃金は少なくとも生活できる水準を確保しなければならない。さらにいえば、働きに見合う水準であるべきだ。

多くの非正規労働者のクラシノソコアゲに直結するのが、法定最低賃金の引き上げだ。日本の法定最賃は、地域別最低賃金と特定(産業別)最低賃金の2つ。いずれの金額も、春季生活闘争の取り組みが大きく影響する。例えるならば、春季生活闘争で種をまき、夏の地域別最賃引き上げ、秋の特定最賃引き上げにつながるイメージだ。すべての働く者が実りある秋を迎えるため、われわれ労働組合の果たす役割は大きく、他人事ではない。

なぜ法定最賃が必要なのか。どこでどう決まるのか。どんな課題があるのか。3回にわたって掲載する。まずは基礎知識を理解し、これから本格化する法定最賃の審議に注目していこう。

※本特集では、以下の表記を使用しています。

最低賃金:最賃

最低賃金法:最賃法

法定最低賃金:法定最賃

地域別最低賃金:地域別最賃

特定(産業別)最低賃金:特定最賃

■最低賃金の全体像

これだけは知っておきたい! 最低賃金の基礎知識

1 最賃制度の目的

めざすは経済の健全な発展への好循環

最賃制度は、労使双方の努力で経済の健全な発展への好循環を実現することが究極の目的だ。低賃金労働者の賃金額の最低額を保障し、労働条件の改善をはかることが第一の目的であることは言うまでもないが、経済の健全な発展に向けた手段であることも忘れてはいけない。そのことは、最賃法第1条にも、明記されている(図1)。


賃金の最低額を保障することは、労使双方にメリットだ。労働者の生活が安定すれば、知識やスキルに磨きをかけるゆとりが生まれ、生産性向上につながる。同時に、公正競争の確保にもつながる。自由競争といえども、最低限守るべきルールは定め、賃金ダンピングを防ごうという仕組みだ。生産性向上と公正競争を促し、経済の健全な発展を後押しするのが、法定最賃なのだ。

そもそも、賃金・労働時間などの労働条件は、労使交渉で決めるものだ。労使交渉を通じて、それぞれの職場で法を上回るルールづくりに取り組む。この光景は、労使交渉の機会が保障されている労働組合にとっては当たり前だ。しかし、労働組合の組織率は17%台にとどまる上、非正規雇用で働く人が増えてきた。そこで、法が定める最低限のセーフティネットが重要性を増している。このセーフティネットの一つが、最賃法なのだ。

MUSTの地域別最賃とCANの特定最賃

法定最賃とはいえ、その金額は全国一律ではない。働く地域や産業によって、適用される最賃額は異なる。

地域別最賃と特定最賃、この2つの法定最賃は、それぞれ期待される役割が違う(図2)。2007年の最賃法改正にいたる議論の中で、明確に整理されている。順に特徴をみていこう。


地域別最賃は、セーフティネット機能を重視する行政主導型だ。したがって、すべての労働者を対象とするとともに、各地域で設定が義務付けられている(MUST)。現在、最高額958円〜最低額737円の水準で47都道府県ごとに設定されており、全国加重平均は848円だ。

一方の特定最賃は、公正競争を確保する機能が重視されている。したがって、その産業に関係する労使が特定最賃を設定する必要性について合意すれば、地域・産業ごとに設定できる(CAN)。労使のイニシアティブを尊重したボトムアップ型と言える。設定できるとしても、さまざまな要件がある。

例えば、適用対象者をその産業の主要な業務に従事する基幹的労働者に絞り込むこと(ただし少なくとも1000人程度は必要)、その金額は地域別最賃を上回らねばならないことなどだ。基幹的労働者の定義は、設定される特定最賃により異なる。ほとんどの特定最賃では①18歳未満又は65歳以上の者、②雇い入れ後一定期間内で技能習得中の者、③その産業に特有の軽易な業務に従事する者、は適用対象外だ。

現在、特定最賃は全国233件、適用労働者数は約320万人。金属関係の製造業、各種商品小売業、自動車小売業などで多く設定されている。

いずれにも共通するが、法定最賃を下回る金額で労使が合意しても、その合意は無効だ。支払われる賃金が法定最賃額を下回る場合、労働者はその差額を請求できるし、使用者には罰則が科せられる。

派遣労働者については、派遣元ではなく、派遣先がある地域の法定最賃が適用される。また、企業によっては、法定最賃を上回る金額水準で、同じ職場で働く従業員のみを対象とする企業内最賃協定を労使で交わしているケースもある。これらのうち、2つ以上の最低賃金が適用される場合もありえるが、金額の最も高いものが適用される


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