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エネルギー計画─国の政策の方向性が示されたとは到底言えない代物

エネルギー基本計画が閣議決定されました。将来のエネルギーの供給について、国の基本的な考え方を定めたものです。

基本的には、再生可能エネルギーについて「主力電源化」と位置付けるともに、原子力についても、「重要なベースロード電源」しつつ、「依存度は可能な限り低減していく」としたものです。具体的には、2030年に再生可能エネルギーは22〜24%、原子力は22〜20%としています。残りは化石燃料で56%です。いま述べた数字は、積み上げによって出てきた数字であると政府は説明していますが、何を成し遂げたいのか、極めて曖昧な基本計画と言わざるを得ません。

2050年に温室効果ガス80%削減。これは、福田内閣の時に、洞爺湖サミットで先進国が確認したことであり、日本政府も閣議決定しています。2050年に80%削減という高い目標を実現するためには、2030年26%では、あまりにも温室効果ガス削減が少なすぎると言わざるを得ません。2050年に向かって、2030年から急カーブで削減していかないと、到底80%削減という国際公約に到達しないということになります。

本来であれば、2050年80%削減を前提にして、2030年にどれだけ温室効果ガスを削減しなければならないか、そのために化石燃料以外の、すなわち再生可能エネルギー、そして原子力について、どれだけ依存する必要があるかということが示されるべきだったと思います。

再生可能エネルギーの2030年22〜24%という数字はあまりにも低すぎると思います。いまや国際的には、風力発電や太陽光発電は、原子力はおろか、化石燃料と比べても、むしろコストが安いということになっていて、日本にある様々な障害を取り除けば、より多くの再生可能エネルギーを導入することが可能になるはずです。

現に、フランスは2030年40%、ドイツに至っては2030年55%という再生可能エネルギーの導入目標を掲げています。それに比べて、あまりにも少なすぎるというのは大きな問題です。

原子力は、確かに温室効果ガスを発生しないというメリットはありますが、しかし、原子力が抱える様々なリスクを考えたときに、「原子力をどうするか」ということが自民党政権として明確にされなければなりません。「依存度は可能な限り低減」と言いながら、2050年においても「脱炭素化の選択肢」であると基本計画では述べています。

安倍政権の本音は、「原発の新増設もある」ということです。そのことは、国民の反発を恐れて明確にしないことが、そうでないと、この基本計画は理解できないものになっています。新たな原発を造らず、再稼働についても、安全性がしっかり確認されたものに限る、そういう前提に立てば、原子力への依存度はどんどん下がっていきます。

いずれにせよ、本音が隠された、様々な制約の中で、役所が知恵を絞って出してきたのが、第5次エネルギー基本計画で、これでは到底、温室効果ガスの2050年80%削減は不可能ですし、国の政策の方向性が明示されたとは言えない代物だと言わざるを得ないと思います。

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