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役所的ブラックジョークの季節

最近の世の中、変なことが多い。もう少し若者的に表現すると、世の中いろいろと笑わせてくれる。制度を作れば作るだけ、制度間に矛盾が生じる。

身近な例は梅雨明けだろう。子供の頃、気象庁がきっぱりと「梅雨明けした」と言った(そう記憶している)。最近は「梅雨明けしたとみられる」と公表している(時事通信の記事にはこのように書いてある)。

それはそうなのだが(天気のことだから、へそ曲がりな高気圧や低気圧が多いだろうが)、天気のプロであり、税金を使ってスーパーコンピュータで解析しているのだから、「したとみられる」なんて素人っぽい表現ではなく、「梅雨明けと判断できる」くらいのビシっとした表現を使ってもらいたいものだ。

今日、大学からメールが来た。「何のことや」と見ると、安否確認の練習メールらしい。で、「IDとパスワードを入力して安否を知らせろ」とある。普段あまり使っていないIDとパスワードを、非常時にすんなりと入力できるだろうか。

大学の事務としては先日の大阪の地震を経験し、「何かやっとかんとあかん」と思ったのだろう。どうせやるのなら、非常時にもっと簡単に対応できるシステムを考えるべきだ。メールにそのまま返事をするだけでいいではないか。大学のシステムで返事を集計すればいい。そう考えると、大学の対応は「変なの」である。

大学の「変なの」を語ればきりがないが、もう1つだけ、将来の日本の大学と研究の発展のため是非言いたいことがある。それは給与水準である。

働き方改革関連法が成立し、高度プロフェッショナル制度なるものができた。年収1075万円以上の専門職が対象となるらしい。とすれば、少なくとも国立大学の多くの教員や研究員は対象外である。つまり(他の制度での位置づけはともかく)、年収基準を満たす者は限定的だろう。

大学の教員や研究員が高度プロフェッショナルではないなんて、ブラックジョークである。新しい法律がジョークなのか、大学の給与体系がジョークなのか、これからよく考えてみたい。

最後は日銀のインフレ目標だろう。2%の消費者物価の上昇にこだわってきた。理論的に物価が上昇する経済とは、経済活動全体が活発で、望ましい状態であることは理解できる。その一方で、2%の消費者物価の上昇だけが実現すれば、それはよろしくない。食料品や外食の値段が上がっている。しかし、給与が上がっているのだろうか。

よく指摘されるように、働き方改革関連法によって残業時間が減れば何が生じるのか。ある会社の会長は、残業が減った分は会社の利益としてポッポナイナイするのではなく、従業員に分配すると言っていた。でも、こんな会社は少ないのではないか。ダラダラ仕事をして残業を付ければ収入になるのに、集中して仕事をすれば収入が減る。これもブラックジョーク、法律はどう解決してくれるのだろうか。

ビールの安売り禁止は零細な酒屋を保護するためだったが(ひょっとして日銀にエールを送る意味もあったかもしれないが)、ビールの消費量を減らす結果に終わっている。働き方改革関連法は電通の過剰労働に端を発している。こちらは従業員の収入を減らし、人手不足に拍車をかける可能性がある。

いずれも政府のパッチワーク的対応による。本気でジョークを試みたとは思っていないが。

酒税をどうするのか、転職や研究職を含めた労働市場の活性化と活用をどうするのか、地震等の危機対応をどうするのか、天気予報に対する理解をどう深めるのか、もっと根本的な対応が求められている。

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