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「糖質オフの酒なら太らない」は大ウソだ

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「糖類ゼロ」や「糖質オフ」と書かれたアルコールであれば太らずにすむ――。そういう思い込みは大間違いだ。『内臓脂肪を最速で落とす』(幻冬舎新書)の著者・奥田昌子医師は「アルコールは肝臓で分解されるときに、飲んだ量に比例して中性脂肪の合成が進む。さらに健康増進法の基準は甘く、『糖質オフ』などと書かれていても炭水化物が含まれていることがあり、注意が必要だ」と指摘する――。

「糖質オフなら大丈夫」「アルコールのカロリーでは太らない」――そう誤解している間に、内臓脂肪は着実に増えていく。(iStock.com/FredFroese)

■「糖質オフ」「糖類ゼロ」なら安心か

「内臓脂肪を落とすには、脂肪はもちろんだけど、炭水化物も摂り過ぎたらいけないんだな。なるほど、だから、最近はビールにも『糖類ゼロ』とか『糖質オフ』とか書いてあるのか。こういう製品なら太らないってことだ」……つい手が伸びそうになりますが、安心して飲んでよいものでしょうか。表示が「糖質オフ」「糖類ゼロ」となっていても、炭水化物が入っている製品はたくさんあります。

栄養に関する表示について定めているのは健康増進法という法律で、炭水化物を食物繊維と「糖質」に分けたうえで、糖質から多糖類や糖アルコールなどを除いた残りを「糖類」に分類しています。しかし、この法律はちょっと基準が甘く、飲料100ミリリットルあたり、糖類や糖質が2.5g未満なら「オフ」、0.5g未満なら「ゼロ」と表示してかまわないことになっています。

それだけではありません。基準では糖類を「単糖類と二糖類」と定めているため、これに当てはまらないでんぷんやオリゴ糖などの多糖類、キシリトールを含む糖アルコールなどについては、いくら入っていても「糖類ゼロ」「無糖」と表示できます。言葉のイメージを過信せず、製品裏面の栄養成分表示を自分の目で確認すべきでしょう。

■ビール中びん1本のカロリーは、ほぼヒレカツ一皿分

ただし、アルコール飲料についていうと、入っている糖の量より、アルコールそのものの影響が重要です。アルコールにもカロリーがあり、飲み過ぎれば内臓脂肪がしっかり付きます。たとえばビール中びん1本のカロリーはなんと200キロカロリー。ご飯お茶碗一杯、ヒレカツ一皿に迫ります。

少し補足すると、アルコールのカロリーは食べもののカロリーと少し性質が違います。アルコールは胃からすみやかに吸収されて肝臓に運ばれ、分解されます。そのため、アルコールに含まれるカロリーがそのまま体にたくわえられることはなく、このカロリーを使って運動することもできません。

お酒を飲むと体が熱くなることもあって、「アルコールのカロリーは体に付かないし、余分のカロリーは熱になって逃げてしまうから大丈夫」という説明を見かけることがあります。でも、これは誤解です。

アルコールは食欲を高め、内臓脂肪の蓄積を促すホルモンを分泌させます。そして肝臓で分解されるときに、飲んだ量に比例して中性脂肪の合成が進むこともわかっています。実際に、健康診断で中性脂肪の数値が高い人は、男性はたいてい飲み過ぎ、女性は果物とお菓子の摂り過ぎが原因であることが多いものです。そのくらいアルコールは中性脂肪の増加を招き、これが内臓脂肪に変わります。ちょっとがっかりですね。

■内臓脂肪が付きにくい酒はあるのか

では、アルコール飲料による違いはあるのでしょうか。ビールやワインは飲み過ぎがちだから、焼酎のほうが体にいいという意見があるかと思えば、いや、ワインは内臓脂肪が付きにくいと聞いたよ、と真顔で反論する人もいます。本当のところはどうでしょう。

はい、アルコール飲料による違いはありません。アルコールの影響は、それぞれのアルコール飲料に含まれる純粋なアルコール、正確にいうとエチルアルコールという成分をどれだけ摂取するかで決まるからです。

エチルアルコールの量にもとづいて換算すると、日本酒1合がビール中びん1本、焼酎0.6合、ワイン4分の1本、缶チューハイ1.5缶に相当します。ビールと焼酎のどちらが安全かではなく、何をどれだけ飲むかが問題なのです。

ワインは内臓脂肪が付きにくいという話が出てきたのは、ある論文がきっかけでした。魚を二つのグループに分けて、一方のグループにだけ、赤ワインに含まれるポリフェノールを与えたところ、内臓脂肪の蓄積がおさえられたのです。これだけ聞いて、おっ! と色めき立った皆さん。ちょっと待ってください。

この実験では、魚の体重1キログラムあたり、ポリフェノールを毎日40ミリグラムずつ与えました。これを体重60キログラムの人間に当てはめるとどうなるでしょうか。

60(キログラム)×40(ミリグラム)=2400ミリグラム

2400ミリグラムは2.4グラムのことですから、ポリフェノールを1日に2.4グラム摂取する必要があるということです。

さて、一般的な赤ワイン100ミリリットルには、ポリフェノールが101ミリグラム含まれています。ということは、ポリフェノールを2.4グラム摂取するには、赤ワインを毎日約2.4リットル、なんとボトル3本以上飲まなくてはなりません。ここに含まれるエチルアルコールの量をもとに換算すると、日本酒にして約13合です。これを毎日です。

これで本当に内臓脂肪の蓄積がおさえられるとしても、体はめちゃくちゃになりますね。ポリフェノールを摂取したいなら、ワインにこだわる必要はありません。果物ならブルーベリーやイチゴに多く、コーヒーにも赤ワインと同じくらい入っています。緑黄色野菜や大豆、魚、緑茶など、ありとあらゆる食材に含まれているので、普通に食べていれば不足することはないはずです。

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