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政治もビジネスも「マネジメント脳」が求められる

昨日は、国会が今の政治を象徴するお笑い劇場となってしまいました。田中防衛大臣の答弁も酷いもので、それならまだ真紀子議員を大臣にしたほうがましだったと巷では話題になっていました。

しかし、かといって目の前にぶらさがっていいる政権復帰を焦るあまり、批判しか出来ず、北海道整備新幹線に関しては、民主党が決めたことに、政権交代がなければもっと早く着工できたと悔しがる自民党議員の姿を見るにつけ、ため息がでます。

もはや民主党が政権から滑り落ちるのは時間の問題で、本来ならライバルは、溺れる犬に石を投げることではなく、しっかり国民を見て、また国民にむかって、日本の将来に対する構想や政策を訴え、国民の期待や信頼を勝ち取ること、自らの価値を高めることで優位に立つことが、マーケティングの競争戦略の鉄則でもあります。ところで政治という点では、ブログで面白い応酬がありました。

ちょっと時間は経過してしまいましたが、今の政治で卒業しないといけないことだと感じるので取り上げます。発端は、こちらの個人投資家で海外で活動されているペンネーム「所長サン」のこちらの記事です。
橋下市長に「ついてゆけない」ひとたち。 - 所長サンの哲学的投資生活 ( フィリピン攻略篇 ) :

「所長さん」は反橋下の人たちの言ってることがあまり理解できなかったところ、橋下市長と、反橋下の人びとの「朝まで生テレビ」をみてすこし判ったそうです。

まず、反橋下の人たちには、権益を守りたい人だけでなく、権益とは無縁で単に「ついてゆけないひと」が多くいることを感じられたそうです。「ついてゆけないひと」の気持ちは主にふたつで、「やりかたが嫌」と、「変化の先の保証がみえないから嫌」です。

そのふたつに共通するのは、またついていけないのは、ビジネス脳がなく、ビジネスモデルが理解出来ないからだろうというのはあたっているように思います。「所長サン」が書かれているように、ビジネスをやってる人間からすると、「橋下市長のやってることは至ってふつーのこと」だから、それこそ街の小さなお店を経営している人からもなんで反対するのか分からないという声を聞きます。

ビジネスの世界は、変化する状況のなかで先を読み、仮説としての構想や目標を掲げ、行動し、実行しながら修正、最適化していくのが当たりまえです。なぜなら実際にやってみないと、複雑な現実のなかに潜んでいる本当の課題が現れてこないからです。発言が変わる、行動を変える柔軟性がなければ企業は時代の変化に、ついていけなくなってしまいます。そういったリスクに立ち向かう経営のダイナミズムが反橋下の人たちには理解できないのでしょう。

反対派は橋下市長の目標値の設定よりもプロセスがどうしても気になるらしく、しきりに「言ったこととちがう!」と唱える。ビジネス脳がない彼らは「先に決定がくる手法」についてゆけないのだ。

これは日本の現状そのものだなーとおもうのは、あたらしいことを進めるときに担保として「過剰な保証」を要求することで、みえないことや答えのないことに取り組むのが下手なのは、個人レベルでもじぶんで答えをつくる作業に慣れてないからだ。日本は正解をえらぶ教育から答えをつくる教育にシフトしないと、世界でおきているゲームに参加できない。

大阪も、いや日本も大きなリクスに直面しているのですが、そのリスクに立ち向かうよりも、新しいことを行うリスクに過剰反応する人たちがいます。それは現状の居心地がいいからなのでしょうか。

さてこの考え方への反論が、ブロゴスで取り上げられていました。秋葉原でプログラマの仕事をされている生越 昌己(おごし まさみ)さんのブログです。政治にビジネス・センスを持ち込むことはいいことだとされながら、ビジネスと政治は違うという主張です。ビジネスでは、「ついていけない」人をクビにすることもできるし、また逆に「ついていけない」から自主的に辞めることもできるけれど、社会はそうはいかない、だから根本的に異なるという意見です。
政治とビジネスは似て非なるもの(生越 昌己(おごし まさみ)) - BLOGOS(ブロゴス) :

ビジネスの世界では「ついて行けない」奴はクビにすりゃいい。別にクビにしなくても、自分が「ついて行けない」と判断したら、気の効いた奴なら自分で辞めるだろう。それは「脱落」でも「卒業」でもいい。そこで働くことに価値がないと、自他共に認めれば、

消える

ということが可能だ。

また生越さんが問題にしているのは、正論、ビジョンを主張するだけでなく、ついていけず、めんどうくさい人たちを黙らせるための飴も必要だということでした。手法の問題です。しかし、それは危険な側面もあります。生越さんが書かれているようにそれはナチスの手法そのものでした。ナチスの親衛隊に入った若者は、ヒットラーの思想に共感したからではなく、ナチスの制服に憧れたからだったということがありますが、制服がまさに飴でした。

また、江戸の吝嗇な米問屋が、最初は丁稚をクビにして飯代を浮かし、つぎは手代、さらに番頭とやっていくのですが、女房の飯代ももったいないと別れ、最後は自分の飯代ももったいないと首を吊るという小噺を紹介され、あまり効率一辺倒で切り捨てをやっていると、やがて、切り捨てている側が切り捨てられる側になることもあり、効率化のために少数派を切り捨てていくことはやがて破綻するとされています。

よく読むと反論という内容というよりはもっとうまくやれという意見に感じましたが、生越さんが触れられていないふたつの重要な点があります。

ひとつは、反橋下キャンペーンに関わっていた人は、すすんで、また結果として平松陣営の選挙戦につよく関わり、組合利権を守る側、さらに大阪市の現状を改善すれば自ずと良くなるとする側に組みしたことです。つまり、いくら薬師寺仁志さんが、市民を装って演じたとしても、ビジネスでいえば供給側の立場に立つ人、政治でいえば特定の「政治勢力のなかの人」であり、権力闘争の片棒をかついだ人たちだということです。今話題のステルス・マーケティングそのものです。

もうひとつは税収に対して、行政サービスを提供する側が、とくに大阪は過剰な肥満体質、また二重行政による非効率が目に余る状態にあることです。サービスを提供する側は、つねにより効率を追求し、費用対効果を追及する責任があります。切り捨てると言っても、効率的な行政を追及することは、住民を切り捨てることとは別次元の問題です。むしろ自然に考えれば、少数の困っている住民に厚いサービスを行おうとすればするほど、行政の知恵や体力、また筋肉質な体質が求められてきます。

大阪の地盤沈下は、もちろん大阪の府と市の無駄を重ねる行政だけが原因ではなく、日本の明治以後つづいてきた途上国型の中央集権体制、さらに戦時体制がもたらしたものだとしても、行政を担う供給側のひとつの勢力に組みしたということは、経済の地盤沈下が激しく、また人材や企業が東京に流出していく負のスパイラルからどう抜け出すのかを提示する責任も、平松陣営に組みした限り、この人たちは同時に負わなければならないのです。さらに、残念なことは、民主党だけでなく、反「大阪都構想」また反「橋下」で動いた自民党も、大阪都構想には具体性がないと非難するばかりでした。まさに、「所長さん」があたりまえとした「ビジネス脳」の弱さを露呈してしまっていました。また朝までテレビででてきた自民党の市議の人も、維新の会の主張には共通することも多いとしながらも、なんの政策も提示できない情けなさでした。

つまり、決定力も、組織や人を動かし、政策を実行していく問題解決力がないということです。企業ならとっくに倒産しているはずです。

「ビジネス脳」は、ビジネスと政治の両方でいえば「マネジメント脳」です。マネジメント脳は、問題を解決する能力です。すくなくとも、多くの人は橋下市長を、政治家としては珍しい「マネジメント脳」があると感じ、支持しているのだと思います。たとえ、橋下市長の性格や考え方は好きでない人すら、その点については評価していることを地元にいると感じます。

今の政治で残念なのは、「マネジメント脳」をもった人材が少なすぎることです。政治家を育てたいという松下幸之助さんの思いに集まった「政経塾」の多くの人たちにも感じるのはその点です。政治を学ぶより先に、経営を学べばよかったのではないかとつくづく感じさせられます。自民党も、派閥という、問題は多いにしても、組織マネジメントを学び、リーダーとして育つ仕組みを政治は失ってしまったかのように思います。どの政党でもいいので、国政でも、もっと「マネジメント脳」をもった優れた人材が生まれてきてほしいものです。

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