保育士不足を理由に、今年4月時点で、少なくとも全国24自治体の204の認可保育園で、受け入れる子どもの数を減らしていたことがわかった、と報じられています。
いつも述べているように、待機児童対策として、保育人数○○人増、などといっても、そこで働く保育士さんが確保できなければ、保育できる人数は増やせません。保育施設の数は増えているのに、自治体間の保育士の奪い合いや厳しい勤務実態から、保育士の確保が追い付かず、待機児童が解消されない実情が、明らかになっています。
朝日新聞の調査によると、例えば、兵庫県姫路市では、保育士不足を理由に54園が定員を減らした、とのこと。これは、近接する明石市が待遇の改善など保育士確保策を次々に打ち出していて、保育士が移ったのではないか、と市の担当者は分析しています。
姫路市では、待機児童数185人のうち、63%の116人が保育士不足による定員減の影響とみられています。奈良市では、通勤でき、より待遇のよい大阪市へ保育士が移り、14園が定員を減らしています。
また、認可保育園で各年齢ごとに基準とされている保育士1人が担当する子どもの数がありますが、多くの自治体がこれを上回る保育士を配置してきています。平均で国の基準の約2倍という試算もある、ということです。
ところが、国は待機児童対策として、基準を上回る保育士を置く自治体に対して、基準並みに引き下げ、1人でも多くの子どもを預かることができるように求めています。これは、保育の質を下げることを国が求めている、ということで、あってはならないことだと思います。こうした傾向の中で、勤務実態が厳しくなり、子どもたちと十分な時間をとって接することができないストレスが、多くの保育士にある、とみられています。
ずっと課題となっている、保育士の給与が、他の産業より月あたり約10~11万円低いという実情があり、これを改善するために、消費増税を2回にわたって行い、8から10%に上げることによって保育士などの処遇を改善して質を確保する、と決めていたのに、安倍政権が人気取りのために2回にわたって増税を先送りしています。
そのツケがまわってきていると思います。処遇・賃金、残業や持ち帰り、職員1人が受け持つ子どもの数や業務の量、こうしたことの改善を保育士たちは望んでいる、という調査もあります。女性活躍をアドバルーンだけでなく実現するためにも、何より子どもたちが個性をいかして成長するためにも、保育士の処遇を改善して、質のよい保育を確保してほしいと願っています。