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新宿区のデモ規制はヘイトを口実にした政治的表現の自由への抑圧 ヘイト規制が口実に使われることが問題なのだ

東京の新宿区がデモを規制することを計画していることを知りました。
新宿区、公園のデモ使用を制限へ 理由は「ヘイト対策」」(朝日新聞2018年6月26日)

東京都新宿区が区立公園の使用に関する基準を見直し、8月からデモの出発地にできる公園を従来の4カ所から1カ所に減らすことが分かった。区は「外国人差別などのヘイトスピーチが相次ぎ、住民の生活環境を守るため」と説明する

吉住健一区長は「商店街や学校に近い場所で人権侵害の発言が横行する状況を放置できない。実効性のある方法として決めた」と説明。「商店街などから離れた公園の使用は認めるのでデモ規制には当たらない」と話す。

ヘイトスピーチ規制がものの見事に口実に使われています。由々しき事態です。

ヘイトデモであろうと公権力が規制すること自体、憲法が保障する表現の自由に反するものです。この場合の規制は内容規制ではなく、手段の規制になります。

本来、自由にできるはずのものなのに、「住民の生活環境」を守るという理由で、多くの人たちに聞いてもらいたい、見てもらいたいという場所での開催をさせないというものです。

2017年5月、札幌弁護士会主催の集会です

人がいないところでデモしてみても意味がありません。庶民が直接、声を出して人々に訴えかけるというものなのに、とんでもない規制になります。

学校とありますが、デモは通常、多くの人が集まれる休日に行われますし、仮に平日であったとしても学校の前では音量を下げるとかやり方はいくらでも調整できるのです。

私もデモの申請に警察に行ったときですが、ルートに病院があったのですが、その前を通るときは抑制するように言われましたが、それはルートにある施設によってはあり得る調整です。

これが十把一絡げに規制されようとしているのです。その口実がヘイトです。
ヘイトだけを禁止すればいい?
そうはならないということを規制する側の口実として使われた最悪の例と言えるでしょう。

今回の新宿区の規制はまさにこうしたヘイトを理由とすれば制限して良いのかということが正面から問われることです。ヘイトを理由にしてもダメなのです。

一部の過激な人たちからは、ヘイトスピーチなど禁止してしまえとか刑罰を科せなどと主張されることがありますが、とんでもないことです。

表現行為の内容だけを問題にして規制することは表現の自由にとっての自殺行為です。気に入らない表現内容であろうと、言論を戦わせるのではなく、政権側が禁圧することはあってはならないのです。

ヘイトに関する講演会だろうと実力で妨害するやり方は問題だ 言論の自由を踏みにじる行為

ヘイトの問題ではなく、表現の自由の問題なのだと正面から訴えていかなければならない問題です。

新宿区の規制の本音は別のところにあるのは、前掲記事でも報じられています。

「デモによる交通規制や音量などへの苦情が住民から相次いでおり、5月には公園を出発地とするデモを制限するよう町会などが区に要望書を出したという。」(前掲朝日新聞)

デモを行えば人数にもよりますが、相応の交通規制が行われます。デモが通過するまで車両が通行できない場合もあります。

年がら年中、デモが行われているわけではありませんから、こうしたデモによって生じる交通規制は当然に受け入れなければならないものです。

政権批判もそうですが、これは広く有権者に訴える行為であり、選挙だけでは反映しきれない民意の発信を保障することにおいて表現の自由の価値があります。それは民主主義の補完でもあります。

デモの規制、制限は、民主主義の否定にもつながるものなのです。

もちろん、どのようなやり方をすれば、多くの支持が得られるのかという観点は大事です。

憲法9条を守るための行動においてもどのようにしたら支持を広げられるかという観点はもちろん欠かせません。

ただ一般大衆には発信する力はありません。ネットは発信のうちに入りません。だからデモや集会があるのですが、そうしたことを迷惑と思うような社会になってしまうこと自体に日本の民主主義の危機があります。

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