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「民に厳しく官に甘い」大阪地検特捜部 - 宇都宮健児

この間の森友・加計学園問題に見られる、公文書の隠蔽、改竄、毀棄、虚偽答弁、財務省幹部のセクハラ問題、官僚の不祥事に対して政治責任をとろうとしない閣僚など、安倍政権のモラルの崩壊、腐敗ぶりは極まってきている。

学校法人「森友学園」の国有地売却に関する決裁文書の改竄問題で、財務省は、6月4日調査結果を発表し、佐川宣寿前国税庁長官をはじめとして当時の理財局職員ら20人の処分を発表した。

しかしながらこの調査結果は、第三者機関による調査ではなく財務省内部の調査であったため、改竄のそもそものきっかけは何だったのか、安倍晋三首相夫妻への忖度はなかったのかなどについて十分な調査が行なわれていない上に、首相の妻・昭恵氏の関与が問題となっている国有地の8億円もの値引き売却の経緯は調査の対象外とするなど、極めて不完全な調査結果となっている。

安倍首相は森友・加計学園疑惑に関し「膿を出し切る」と繰り返すとともに、首相夫妻関与の疑惑について「一点の曇りもない」と言い切っているが、国民の多くが安倍首相の言葉を信用していない。

森友学園に関する公文書改竄問題に関しては、改竄に抵抗したとみられる近畿財務局の職員一人が、今年3月に「このままでは自分一人の責任にされてしまう」とのメモを残し自ら命を絶っている。

このような森友学園に関する公文書改竄問題や国有地の安値売却問題については、究極の第三者機関である大阪地検特捜部の捜査に、多くの国民が期待を寄せていた。

ところが、大阪地検特捜部は、公文書の改竄問題や国有地の安値売却問題が民主主義国家の根幹を揺るがす大問題であるのに強制捜査すら行なわないまま、5月31日、虚偽公文書作成容疑や背任容疑などで告発されていた佐川宣寿前国税庁長官ら38人全員を不起訴処分にした。

一方で、大阪地検特捜部は、森友学園の前理事長籠池泰典氏や妻諒子氏の補助金詐欺事件に関しては、早々と強制捜査を行なうとともに二人を逮捕・起訴している。また、神戸製鋼の品質検査データ改竄問題で、東京地検特捜部と警視庁捜査二課は不正競争防止法違反(虚偽表示)の疑いで、6月5日神戸製鋼の東京、神戸両本社など5カ所の家宅捜索を行なっている。これでは「民間には厳しく官には甘い」捜査機関と批判されても仕方がない。

大阪地検特捜部は、8年前、村木厚子元厚生労働省局長の郵便不正事件に関し、証拠物件のフロッピーディスクを改竄したとして主任検事が証拠隠滅容疑で、その上司であった元特捜部長と元副部長が犯人隠避容疑で、逮捕・起訴され、有罪となった過去がある。

大阪地検特捜部は、今度こそ、国民の期待に応え、森友学園問題の真相を究明し、関与した政治家の責任を明らかにすることにより、8年前の汚名を返上するチャンスであったのに、徹底した捜査も行なわないまま不起訴処分にしてしまった。これでは、大阪地検特捜部までもが安倍政権の意向を忖度したと受け取られてもしょうがないであろう。

(うつのみや けんじ・弁護士、2018年6月15日号)

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