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「セックスロボット」は人間の孤独を癒せるのか - 大西睦子

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 中国国家統計局によると、中国では、2016年に男性の数が女性の数より3359万人も上回りました。この差は、カナダの人口に匹敵する数です。

不均衡な男女比をもたらした3つの条件

 中国がこのような状況に陥った原因としては、男児を好む文化、1979年から2015年まで続いた「1人っ子政策」、そして1980年代に導入された超音波技術による選択的中絶、が考えられています。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)グローバルヘルス研究所のテレーズ・ヘスケス教授らは、『カナダ医師会雑誌(CMAJ)』の報告(2011年)で、中国で「失われた女性」の圧倒的多数が、選択的中絶によるという明らかな証拠がある、と指摘しています。

 中国では伝統的に、社会的な地位の向上や家系維持のために、結婚は当然のことと考えられています。しかし『CMAJ』の報告によると、今後20年間、若い男性の10~20%過剰な状態が続き、余った男性はおそらく結婚できない、といいます。現在でも中国では、28~49歳の未婚者の94%が男性であり、そのうち97%は高校を卒業していません。結婚することができない男性は、「独身の犬」、「裸の枝」、「売れ残り男」と呼ばれています。

売れ残り男の退屈で孤独な人生

『ワシントン・ポスト』の「多すぎる男たち」という記事(2018年4月18日)で、広東省東莞(とうかん)市在住のリー・ワイビンさん(30歳)が取り上げられています。

 ワイビンさんが育ったのは山村で、そこでは男子の数が女子の数を上回っており、ワイビンさんにはこれまで1度もガールフレンドがいたことがない、といいます。

 ワイビンさんは現在、わずかな労賃の建設現場で働いています。そして家具はなく、タバコの吸いさしが床一面に広がり、壁に面した2段ベッドが並ぶ風通しの悪い相部屋に、5人の男性と住んでいます。

 東莞市の男女比は、女性100人に対して男性118人。ガールフレンドを見つけたくても、会うためのお金も機会もありませんでした。「『家と車が欲しい』など、女性たちが求める水準はとても高く、そういうもののない私とは話さない」「ガールフレンドを見つけるという希望は諦めました」「私は独り。人生は退屈で孤独です」と、ワイビンさんは語り、電話でゲームをしたり、同僚と一緒にカラオケに行ったり、足のマッサージなどをして、余暇を過ごしています。

 前述のヘスケス教授は『ワシントン・ポスト』に対して、「農村地域では、結婚しなかった男性はまったく疎外され、村での人付き合いさえ困難な状態です。彼らは落ち込んでいます」と言います。教授らの昨年の報告では、中国で結婚していない男性はうつ病にかかりやすく、自尊心が低く、攻撃的で、さらに自殺傾向があることがわかりました。

不足する女性の代用とは

 2007年にピューリッツァー賞を受賞したジャーナリストのメイ・フォン氏は昨年9月、『フォーリン・ポリシー』でこんな警鐘を鳴らしています。

「中国は2015年に、全国的な2人っ子政策への転換を発表しましたが、この世代の性的関係への被害はすでに起こっています。今どうしても必要な、カナダの人口ほどの数の妻、母親、介護者である女性を、中国当局は魔法をかけて増やすことはできません」

「起こりそうもない妻の共有を復活させることから、恐ろしい性的人身売買の増加まで、国は解決策を模索しています」

 前述の『ワシントン・ポスト』記事は、中国では、ベトナム、カンボジア、ビルマやラオスなどから花嫁の人身売買が増えていることを報じています。中国人男性は、外国人花嫁を提供するウェブサイトをいろいろと閲覧し、妻を見つけるための旅行に8000ドル以上を支払う場合もあるようです。

 一方花嫁にとっても、それは大きな賭けになります。彼女らは仕事という約束で誘惑され、罠にはまって捕まり、人身売買されて中国人と結婚します。こうして何万人もの外国人女性が、自国の貧困と中国の女性不足のために中国に集まってしまうため、近隣諸国にも中国と同様の男女比の不均衡が生じているのです。

 フォン氏はこうした状況を踏まえ、「この状況が、孤独な男性のための性具の劇的な人気の高まりにつながった」「報告書によると、オンラインで販売された性具の購買者の65%以上が18歳から29歳の男性である」と指摘し、ラブドールやセックスロボットが、中国で不足している女性の代用となることを懸念しています。

ロボットと結婚した人工知能エンジニア

 そんな中、昨年3月31日に浙江大学で人工知能(AI)の修士学位を取得したAIエンジニアのテイ・ジャジャさん(31歳)は、自分で作製したロボットの「インイン」と「結婚」しました。

 英紙『ガーディアン』によると、ジャジャさんは、人間の配偶者を見つけることができず、結婚の圧力と絶え間なく口うるさい家族に疲れて、インインと2カ月間のデートをした後、母と友達に見守られ、杭州市で伝統的な中国の結婚式を挙げました。もちろん、中国ではロボットとの結婚など法的に認められてはいません。

 今のところインインは、中国語の文字や画像を読み、簡単な言葉で話すことができます。今後ジャジャさんはインインをアップグレードして、家事もできるようにする予定です。ジャジャさんは英紙『メトロ』に対して、「自分の残りの人生、あるいはインインの電池がなくなるまでの時間を、インインと過ごすつもり」と語っています。

 また、顧客の好みに基づいてオーダーメイドロボットを作製するジャジャさんの会社は今、他の孤独な独身男性のために、より多くの「性的機能」をもつロボットを作っています。

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