ブロガーの一人として思うこと
私はこの事件に関連して、ある事件を思った。
ブロガーのBさんが、ブログ等で公開していた情報から「うつ病患者らしくない」と匿名掲示板で攻撃され、個人情報を晒された結果、ブログを閉鎖した事件だ。
以前から、Bさんが複数の人に批判されていたことを知っていた。
擁護しようと思ったが、いろいろ考えてやめた。
そして、Bさんのブログは消えてしまった。
私は何もできなかったことを悔やんだ。
それで、個人名を出さずに2つ記事を書いた。
しかし、結果から言うと、それはやるべきではなかった。
このように、ある人やある立場を立てると、自分が意図せずとも、どんなに気をつけても、反対の立場の人を傷つけることがある。
Bさんのこと以外でも、私の存在が気に入らず、完全にネットから、のみならずリアルからも消し去りたいと思っている人は、それなりにいる。
匿名掲示板でBさんを攻撃した人たちも、ブログ閉鎖だけでは満足せず、Bさんの障害年金自体を止めようとしている。
ネットの匿名攻撃は、リアルにつながっているのだ。
社会に居場所がない一人として思うこと
ブロガーとしての私は、上記のように思う。
だけど、社会に居場所がない側の私としては、Bさんを攻撃したり、不特定多数を「低能」と攻撃したりすることでしか、生きられない人の存在も知っている。
誤解を恐れずに言うなら、自分では止められない領域に入っているのだと思う。
Aさんと思われる書き込みから引用する。
なんだかんだ言ってはてなというか増田が俺をネット弁慶のままで食い止めていた面もあるしなあ
逆に言うと散々ガス抜きさせてもらった恩がある
前述の、律儀さに言及されてスター(いいね)をつけたことから考えても、他人から認められることに飢えていたのかもしれない。
不特定多数を攻撃して目立つことでしか、承認を得られなかったのかもしれない。
さらに、著名プロブロガーを批判するユーザーをAさんが攻撃していたことも、複雑な気持ちになる。
プロブロガーは、オンラインサロンや情報商材を商売とする一面があり、Aさんは彼の信者だったのか、それで何か救われたのか、と考えてしまう。
匿名で他人を攻撃することはたやすく楽しい。
攻撃は叩きやすい人に向かい、Bさんの事件のように、弱者と弱者で潰し合うのを散々見てきた。
では、どうすればよいのか。
システム面の対策としては、はてなは「匿名ダイアリー」含む自社サービスの利用登録を、電話番号必須にした方がいい。
5ちゃんねるなどの匿名掲示板も、書き込みに電話番号登録が必要になってほしい。
いっそ法律で定めてほしい。
そうすれば、匿名による誹謗中傷は減るはずだ。
しかしそうすると、引用コメントのように「ガス抜き」できなくなるという声があるかもしれない。
「ガス抜き」は、他人を攻撃することでしかできないのか?
お互い承認しあうことで「ガス抜き」できる場、というのは作れないのか?
今回の容疑者が、42歳(就職氷河期世代)・無職・ひきこもりだからといって、レッテルを貼ってほしくない。
「普通の人とはちがうから」と、遠ざけて隔離してほしくない。
それは逆効果だ。
そうではなく、社会に居場所がない人を承認する場は作れないのか?
日本社会にはびこる、「稼げる」人にしか価値がない、という考え方は覆せないのか?
社会に無視された人たちが、ネットの個人攻撃でしか「ガス抜き」できず、それがエスカレートしていく現象について、真剣に対策を考える時が来ているのではないだろうか。
(私個人にできそうなのは、他人を批判したり悪口を言ったりすることを禁止する「ほめるSNS」等の場を作ることくらいだ…)
最後に、この記事を書くか迷ったが、心に深く残ったことについて書かずにいられない業深いブロガーとして、書くことでhagexさんの死を自分に焼きつけて、hagexさんが生きていたことを忘れたくないと思った。
この事件があまりに衝撃で、昨夜は眠れずにひたすら新情報を探し求めていた。ブロガーとして受けた衝撃は、同様に感じた人の文章を読んだり書いたりすることでしか埋められないし、hagexさんを追悼できなかった。
ご冥福をお祈りいたします。