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偏差値35から東大に合格した人の読書法

「どれだけ勉強しても、成績が上がらない」「本の内容が頭に入ってこない」。2浪、偏差値35という状況だった西岡壱誠氏は、当時をそう振り返ります。ところが「教科書や参考書の読み方」を変えたところ、わずか1年で東京大学合格という大逆転を果たしました。西岡氏によれば、そのコツは「装丁読み」と「仮説作り」の2つ。具体的な方法を紹介します――。

※本稿は、西岡壱誠『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)の一部を再編集したものです。

■読めない原因の9割は「準備不足」

みなさんの中には、「本の内容がなかなか頭に入ってこない」とか、「文章を読むのが遅い」という人も多いと思います。そういう人の多くは、「自分の読み方が悪いのではないか?」「自分には読解力がないのではないか?」と考えていると思いますが、実は違います。


西岡壱誠氏

「本や文章が読めない問題」の原因の9割は、「準備不足」なんです!

「準備不足」ということを証明するために、1つ文章を用意しました。この文章を読んで、「これを書いた人が何を言いたいのか」を考えてみてください。

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昨今はLINEによるコミュニケーションが主流になり、若者はみなLINEをするようになりました。指1本、タップ1つで自分の感情を表現できるようになったのです。笑いも怒りも、彼らはタップ1つで表現します。
コミュニケーションというのは元来、ボディーランゲージやフェイシャル・エクスプレッション、語気や雰囲気も全部含めてコミュニケーションだったはずです。それがタップ1つで表現できるというのは、良いことなのでしょうか? 悪いことなのでしょうか?

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いかがでしょう。ちょっとわかりづらいですよね? 「ボディーランゲージ」とか「フェイシャル・エクスプレッション」とか、よくわからないカタカナ語が使われていて、なかなか内容が頭に入って来にくいです。

また、「良いことなのでしょうか? 悪いことなのでしょうか?」で終わっているので、結局これを書いた人がLINEに対してどういう想いを持っているのか、ちょっとよくわからないですよね。

これは、良い読み方をする人だろうが悪い読み方をする人だろうが、読解力があろうがなかろうが関係なく、何が言いたいのか理解しにくい文章だと思います。理解しにくいから当然、読むスピードも遅くなります。

■「準備」をすれば、いっきに簡単に読めるようになる!

しかし、もしこの文章に「最近の若者はなぜ、コミュニケーションが不得手なのか」というタイトルがつけられていたらどうでしょうか? またはこの文章が書いてある本の帯に、「徹底解説! なぜ最近の若者はコミュニケーションが下手なのか?」と書かれていたらどうでしょうか?

「あ! これを書いている人は、最近の若者がコミュニケーションが不得意になった理由の1つが、LINEだと考えているんだな!」とすぐにわかりますよね? どんなに難しい言葉が使われていようが、「良いことなのでしょうか? 悪いことなのでしょうか?」と書いてあろうが、「LINEは悪いものだと考えているに違いない」と一瞬で理解できるはずです。

ただ、「タイトルを読んでいるかどうか」。

ただ、「本のカバーや帯の言葉をきちんと読んでいたかどうか」。

そんな些細なことで、この文章が「読みやすいかどうか」が分かれてしまうのです。

■東大生は「読解力」があるわけではない

「東大生はみんな、地頭が良くて読解力があるから、文章がきちんと読めるのだろう」
「文章がきちんと読めるかどうかって、才能だよね」

そんな言葉をよく耳にしますが、実はこれはまったくの間違いです。

たとえば東大生はたしかに、他の学生よりも国語の入試問題で高得点を取ることができます。しかしこれは、単に才能があるから読めるとか、地頭が良いから読めるということではないんです。

■東大生は、「読解力」ではなく「ヒントを探す力」がある

東大生の多くは、国語の長文読解問題が出題されたら、長文には目もくれず、まず真っ先に「問題文」を見ます。なぜなら、問題文の中にはその長文の内容を問う問題がずらっと並んでいるので、ここからその長文の内容をおおよそ把握することができるからです。

また、東大生はみな、文章を読む前に文章のリード文や文章のタイトルなどもチェックします。

こうして「文章の外のヒント」を吸収しておけば、おおよそ文章の内容を想像することができます。ある程度本を読んでいれば、「ああ、これと同じような内容を他の文章で読んだことがあるな」「このテーマについて書かれた文章なら前に読んだことがあるぞ!」と、まったく新しい文章であっても、過去に読んだ文章の内容と関連させることができます。

こうして、東大生は多くのヒントがある状態で文章を読み始めます。どういう内容が文章の中に盛り込まれているのかをあらかじめ理解できている状態で文章を読んでいるのですから、素早く、かつ正しく読解できないはずがないのです。

「読み方」や「読解力」以前の問題で、「文章の外からヒントを得る力」が理解度とスピードを左右するのです!

■「読解力」と「ヒント探し」の力を試す実験

まだ信じられないという人は、書店に行って、こういう実験をしてみてください。

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1:表紙もタイトルも何も見ないで、1冊本を選んでみる
2:その本のページをペラペラめくって、真ん中あたりのページを適当に開く
3:そのページの内容が理解できるかどうかをチェックする
4:3で理解できなかったら、カバーや帯に書いてある文を読んだ上でもう一度そのページを読み直してみて、理解できるかどうかをチェックする

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この実験、ほとんどの人は「3」の段階ではまったく理解できないと思います。

東大生にも同じ実験をしてもらいましたが、実験に協力してくれた東大生は全員、3の段階では「理解できなかった」と答えました。しかし、彼らに「4」と同じことをしてもらうために「その本のカバーと帯を見てもいいよ」と言ったところ、ほとんど全員が「今度は理解できた」と言いました。

このように、東大生が文章を素早く、かつ正しく読解できるのは、「読む力」が優れているのではなく、「文章の外からヒントを得る力」があるからなんです。

その本の内容を素早く、かつ正しく理解できるか理解できないかは、「どうやって読むのか」という「3」の段階が重要なのではなく、「その本を読むためのヒントが適切に得られるか」という「4」の段階が重要なのです。

では、具体的にどのように「ヒント」を探すのでしょうか? そのための方法を、これからご説明していきます!

■たった2つの「準備」で、難解な本も読めるようになる!

では、どういう準備をすればその本を読むためのヒントが得られるのでしょうか?

本を読むという行為は、暗い森の中に足を踏み入れることに似ています。自分がまったく触れたことがなかったものに触れて、どこに行き着くかわからないまま前に進んでいかなければなりません。その行為は、明かりがない森を、どちらが出口かもわからずに進んでいくことと同じです。

でも、暗い中でも少しでも周りを明るくすることができます。ライトを持てばいいのです。「よくわからないけど、このヒントがあるからこういうことが言いたいんだろう!」というヒントがあれば、どんな文章が出てきても理解することができます。

では、その「ライト」はどうすれば手に入るのでしょうか?

■「装丁読み」というライトで周囲を照らそう

もうおわかりですよね。「ライト」となるのは、先ほどから紹介している通り、「装丁(カバーや帯)からしっかりヒントを得るようにする」ということです。カバーや帯から得られる情報というのは、一見するととても少ないように見えますが、しかし実はそんな少ない言葉から多くのヒントを得ることができるのです。

そのためのテクニックを、僕は「装丁読み」と名付けました。カバーや帯に書いてある情報だけで、バッチリヒントが得られるのです。

■「仮説作り」で「地図」を手に入れよう

でも、森を歩くときにはライトの他にもう1つ必要なものがありませんか?

それは、地図です。

ライトがあっても、周りが見えるだけで森の全体像はわかりません。

現在地がどこで、どの道を進めばゴールに行き着くのか、そういうことがしっかりわかっていないとすぐに迷ってしまいます。

同じように、今から読む本がどういう本で、どこにゴールがあるのかをしっかり理解していないと、簡単に本という森の中で迷ってしまうんです。

この「地図」を得るための作業が「仮説作り」です。その本にどのようなことが書かれているのか仮説を立てて、自分がその本から何を学ぶのか目的をはっきりさせることです。

「そんなこと、必要なの?」と思うかもしれませんが、これがないと能動的に本を読み進めることはできません。

本を読む前には、「装丁読み」と「仮説作り」の2つをやっておけばいいのです。

こうして、きちんと「地図」で全体像を把握しながら、「ライト」を使って読み進めることで、はじめて本という森を踏破できるのです。

(西岡 壱誠)

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