記事

タテカンを撤去した京大を白井聡氏が批判「総管理化の論理だ」(土岐直彦)

京都大学(京都市左京区)の本部キャンパス周辺の立て看板(タテカン)を規制する規定が5月に施行され、ひと月余り。大学当局による撤去、抵抗する学生らによる再掲示の「いたちごっこ」が3回繰り返された。関連する動きも続き、5月25日には、政治学者・白井聡氏が「『国体』に抗うタテカン」という刺激的テーゼの講演(「安倍9条改憲NO!左京市民アクション」など共催)を京大構内でした。

タテカンについて白井氏は「都市の空気は自由にする」という中世欧州の格言のように、京都という都市のセンスを象徴すると意義付け。受け継がれた京大の自由の学風を示し、タテカンをなくすと「鄙びた大学」視されかねないと指摘。タテカンの政治的主張や諧謔には一定の知力が必要で、反知性主義の流れの中で稀有な存在ともした。対する大学当局の論理については「公共空間の総管理化」だとし、管理できない構内空間を残したくないのだと分析。市場原理優先の今の新自由主義・スーパー消費社会が嫌うのは「真面目」「正気になる人間」。何も考えずに消費してくれる人が求められるのだと白井氏は続けた。

戦前の国体の頂点である天皇(菊)が、戦後は米国(星条旗)に代わり、対米従属レジームとなったというのが白井氏の時代観。戦前は天皇に、戦後は米国に「愛され抱かれる」幻想を持つ家族国家観は、あって当たり前の対立や多様性を排除する。対してタテカンは自由、知性、多様性、反管理社会を象徴。この意味で今の「国体」と時代に抗う存在であると白井氏は捉える。

京大タテカンをめぐっては、京大出身の弁護士ら138人が5月22日、表現の自由との絡みで問題だとのアピール文を発表。地元住民らでつくる「立て看文化を愛する市民の会」は同31日、規制を見直す要請書を京大宛に提出した。

(土岐直彦・ジャーナリスト、2018年6月8日号)

あわせて読みたい

「大学」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ザギトワを追い込んだロシアの闇

    WEDGE Infinity

  2. 2

    無印敗訴 偽物が勝つ中国に懸念

    岩田温

  3. 3

    街宣右翼に山本太郎氏「おいで」

    田中龍作

  4. 4

    ブラタモリの余計な演出に興ざめ

    メディアゴン

  5. 5

    よしのり氏 枝野氏は認識が甘い

    小林よしのり

  6. 6

    日本へ歩み寄る韓国 背景に民意

    NEWSポストセブン

  7. 7

    日本の情緒的な石炭維持論は問題

    鈴木馨祐

  8. 8

    よしのり氏「化石賞」報道に苦言

    小林よしのり

  9. 9

    日本は最も成功した社会主義国

    自由人

  10. 10

    秋山パロ動画に抗議「侮辱行為」

    水島宏明

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。