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自由すぎる……! サイボウズが最近はじめた新しい「働き方制度」について聞いてみた

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働き方の「希望」「宣言」「実態」をつなげることが大事

中根弓佳 チームの中で多様なワークスタイルを実現させるためには、「希望」「宣言」「実態」をつなげていくことが欠かせません。


チームの中で多様なワークスタイルを実現するための3点セット。「希望」「宣言」「実態」が一致していることが大切

中根弓佳 たとえば子育てや介護の都合は、「このような働き方をしたい」と希望するのに分かりやすい理由があるので、ある意味選択しやすいと思います。

そうした制約がなく、常に会社にフルコミットできる環境である人は、「なんでわざわざ宣言しなきゃいけないんだ」と思うかもしれません。

それでも自分の希望を考え、宣言してもらいます。さほど制約なく働けるという場合でも、自分はどう働きたいのか、どういう働き方をすれば最良のパフォーマンスにつながるのか。それを考えるきっかけになると思うからです。

中根弓佳 もし、「希望の働き方を実現するのが困難な職種に就いているが、働き方を優先したい」という場合は、それが実現できそうな部署への異動希望をだすという選択肢も考えてほしいですね。もちろんそのためにはスキルも必要になりますが。

そのように考えるとサイボウズって、けっこう厳しい会社かもしれません。働き方も異動も、自分で考え、チームの同意を得られるように伝えていかなければならない。自立した人にならなければ、「なんてしんどい会社なんだ」と感じてしまうかもしれませんね。

「私はこういう生き方をしたいから、サイボウズというチームに対してはこんな時間、こんな場所でコミットしよう」と考える。それをチームの仲間に伝えるために言語化し、宣言する。宣言した働き方をちゃんと実現する、できる。その状態が理想だと思っています。

制度を変えるときは「人事が先に決める」のではなく「社員みんなを巻き込んで」

中根弓佳 ここからは、「新・働き方宣言制度」ができるまでの社内での流れについて説明したいと思います。

この制度の構想を考え始めたのは2016年でした。もちろん人事、労務部門のメンバーとはたくさんの話し合いをしましたし、社内のマネージャー全員を集めての議論や、全社アンケートも実施しました。


アンケートはサイボウズのクラウド製品である「kintone(キントーン)」で実施。

中根弓佳 働き方は、サイボウズで働く人全員にかかわることです。それは当然、私たちのチームワークにも大きな影響を及ぼします。

だから働き方に関しては、全員に関係することだからこそ、人事が「先に決めちゃって動かす」のではなく、共感してもらって始めたい。だから「みんなの共感を得る」ためにできることはやり、時間もかけました。

アンケートの回答は、下記のようなものでした。

ほげほげ
アンケート結果。「9分類で表現できない」「希望する働き方が選択できていない」などの意見が挙がった

中根弓佳 先ほども言いましたが、理想の状態は「希望を宣言し、周囲に伝えることができ、結果的に実態が希望通りになっていること」です。

しかし実際には、業務の特性上ほかの働き方を選べなかったり、9分類にあてはまらなかったり、給料との関係が気になったりして、「宣言できていない」という人がいたんです。

働き方を変更して在宅勤務を増やすと給料が下がるという「うわさ」を聞いて、変更できずにいるという人もいました。結果的にこのアンケートは、「9分類が希望や実態に合わなくなってきている」ことを確かめることにつながりましたね。

中根弓佳 その後はリアルな場での意見交換会を3回開催して、制度のたたき案に対する疑問や提案を集めました。最終的には300人以上と多くの方が参加してくれました。「チーム」「個人」の両面でどんな状態が理想なのかを、みんなで考えていきました。

チームとしては、「理想を実現するための役割分担(長期)と業務調整(短期)を行いやすくし、チームワークよく働く」。

個人としては、「希望する働き方を実現する。そのための協力を得やすくする」。

おおむね、この理想には共感してもらえたかなと思っています。

「交通費撤廃」「無限有給」……見えてきた新しいチャレンジ

中根弓佳 さて、そんな道のりを経てスタートした「新・働き方宣言」の制度ですが、働き方がさらに自由になっていくことで、新たに向き合って解決していきたい「もやもや」も見えてきています。

そのひとつが「通勤交通費もやもや」。今、サイボウズの社内制度では、通勤交通費を「月5万円」を上限として支給しています。そうなると、住む場所を交通費の枠内で決めたくなってしまう。

ですが、暮らしたい場所で生活できるのが理想で、交通費が原因で「住む場所」「働く場所」が制限されるようなことは理想的ではないと思っています。新潟や熱海であろうが、東京であろうが、どこでも並列に選べるようにしたい。

一方で個人の住居によってチームからの報酬が変わるというのも違和感があります。会社としては、その人が「どれだけチームに貢献してくれるか」だけが大切なポイントではないかと。

ならば現在住んでいる場所を元に決める通勤交通費を廃止して、別の形でお給料に組み入れればいいのではないかと議論しています。

中根弓佳 あとは「有給もやもや」も沸き出てきました。

年間20日間の有給休暇、繰り越せば年間40日。この有給を使って週4日働き、週1日複業することができます。一方で、働き方として週4日を選び、複業している人も。前者の人に対しては給料をどのように設定すればいいのかな、と。

サイボウズとしては、有給を使っていようといまいと、「その人がチームに貢献してくれたこと」に対する報酬として給料を払えばよい。なので、有給を無制限に取れるようにしてもいいんじゃないかと思っています。

こうなってくると、人事としては工夫が必要な場面も増えていくでしょう。給料の設定や労務管理、セキュリティ……。もちろん大変は大変です(笑)。雇用契約書だって、100人100通りの内容となります。

日本の労働法規は「1社で就業すること」を前提に作られているものが多いので、複業があたりまえの状況ではそぐわないこともあります。私たちから声を上げて、制度改正を求めていくことが必要かもしれません。

まとめ:多様な働き方は「自立と議論」「まずはやってみる」の精神から

中根弓佳 こうして、私たちはさまざまなもやもやを抱えながらも、「100人100通り」の働き方を実現しようとしています。

多様な働き方を実現するためには、まずは個人が「どんな生き方をしたいか」について自分としっかり向き合い、それを言語化することが必要です。

そのあとは、社内で徹底的に議論する。サイボウズというチームとしての理想は何か、個人としての理想は何か。トップダウンの制度ではなく、社員一人ひとりの理想を体現する制度を作っていくためにも、「自立と議論」は欠かせません。

そして徹底的に議論したあとは、「まずはやってみる」。何か問題が出てきたら、その時にまた全員で議論すればいいんです。

そうやって一歩ずつ進んだり立ち止まったりしながら、多様な個性を認める、チームワークあふれる会社として、これからも進化し続けたいですね。

文:多田慎介/撮影:橋本美花/企画編集:明石悠佳

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