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これからの時代を生き延びるための仕事選びの方法

世界経済の回復を願うように多くの人がマーケットに注目し、投資家は息を潜めている。僕達はここ数年で2度の大きな景気後退局面を経験している。1度目がリーマン・ブラザーズ破綻を契機とした米国発の危機で、2度目が現在の欧州諸国の債務危機だ。この2度の衝撃は、世界経済にかつてないほどのダメージを与え、米国では過去に日本が経験したバランスシート不況に苦しんでいる。最近になって、大統領選を控えているオバマ大統領主導の下、緩和策や雇用回復策が打ち出され、そうしたことが影響してか、米国ではわずかに回復の兆しが見えるものの、家計が貯蓄を十分に増やすにはまだ何年もかかるだろう。それまでは債務問題が足を引っ張り、米経済は低成長が続くことになるやもしれない。


欧州も同じような危機に直面しており、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリア、スペインは既に景気後退に陥っている。ドイツ、フランスという主要国でさえも主な経済指標は楽観できるものではなく、ここ数年は予断を許さない状況だ。また各国の緊縮財政により、しばらくは総需要が抑えられ、多くの血を流すことになるだろう。資本不足を憂慮した銀行は貸し渋りや貸し剥がしを行い、経済は収縮するはずだ。


では日本は安全なのかと言えば当然そんなことはなく、むしろ欧州各国よりも事態は深刻かもしれない。3.11東日本大震災により、サプライチェーンは寸断され、長期的な円高により、開発や販売のマザー機能を海外に移転する企業も続出している。また大震災の復興資金や日本独特の異常な高齢化問題により、財政は危機的状況に陥っている。これから日本でビジネスを行なったり、企業で働くことを選択する場合は、増税に備えた資金繰りを考慮しないといけないのは間違いない。かといって多くの人が口をそろえて言う「アジアに行けばいい」という単純な話でもないのだ。


金融機関でもオフショア化は加速し、通常ビジネスを行なうにあたり、立地を海外へ移したとしても影響があまりでない業務はアジアへの移転が活発になっている。移転のメリットは、税金、賃金コスト、人材整理コストといった面が日本と比較して安価だということだ。しかしながら、実は業務のオフショア化はメリットばかりではなく、弊害もかなりあるようだ。サービスの低下、社内ネットワーク寸断による業務上の問題、有能な人材の企業退出といった面もあり、思ったほどの効果は出ていない企業もあるようだ。


では一体僕達はどのように仕事選択をしていけばいいのだろう。大学生の内定率は相変わらず低いままで、テレビをはじめとするメディア媒体は、こぞって海外留学生の採用増加にばかりスポットをあてて、肝心の解決策は置き去りにされたままだ。


1.好きなことを仕事にする。

僕はこれが一番重要なことではないかと思っている。多くの学生は、どこでもいいからとにかく大企業の内定を獲得することや、優れた企業、つまりは彼らにとって「偏差値の高い」企業に務めることだけしか考えていない。これはとりわけ高学歴な学生に多く見られ、これまでの受験の延長で仕事を選んでいるのではないだろうか。だからと言って、中小企業やベンチャーに務めることを強く推薦するわけではない。福利厚生や安定という面で言えば、確かに大企業の方が優れている可能性は高い。でもまずは仕事を理解し、好きなことを見つけ、その中で自分にとって一流の企業を選択するべきだと思うのだ。


僕は金融の業務が好きで、入社当初は休日なんてなくてもいいとさえ思っていた。土日を挟むことにより感覚が鈍るし、優秀な先輩からの叱咤激励から学ぶことも多く、仕事が楽しくてしょうがなかった。雑用作業だけは死ぬほどつまらなくて辞めたくなるほど退屈だったけれど。でも中には、というかほとんどの人が激務と感じ、中には体を壊すものさえいたし、何より結果が求められるので入社して数ヶ月で辞めざるをえない人も数多く見てきた。


当時の僕は激務とプレッシャーを精神的にも、体力的にも絶えられないほどつらく厳しいと思ったことはなかったし、何より興奮とアドレナリンが爆発していて夜もろくに眠れなかった。楽しくてしょうがなかったからだ。才能も努力もできない僕が生き残れた理由は、何より仕事が好きだったからに他ならない。今でこそ責任感や緊張感に押しつぶされそうになることもあるけれど、楽しいだけで走れたことは幸運であったと感じている。


確かに所謂偏差値換算をして、偏差値の高い企業から内定をもらえば、安心や安定を感じるかもしれない。でもそんなことは一時的で、これから益々競争が熾烈になり、転職が当たり前の時代になれば(もうなってるかもしれない)、会社名よりも仕事やスキルが重要になってくるはずだ。僕がここで何度も言っているように、日本型の年功序列制度は限界を迎えていて、毎年給料が上がって、一定の年齢になれば主要ポストにつけて、辞める時は多額の退職金が用意されていた時代は残念ながら終わってしまった。だからこそ、好きなことを仕事にして、楽しみながら働いた方が、きっと得るものも多いのではないだろうか。


2.自分の能力にフィットした仕事をする

好きなことなんて異性とデートすること以外にあるわけねーだろとか、かといってホストやキャバ嬢になるわけにはいかないという人は、自分の能力にフィットした仕事を選択するのがいいのかもしれない。当たり前のように思うかもしれないけれど、実は意外と能力に合わない仕事を選択している人は数多く存在する。ここで言うフィットというのは、自分の能力が強みとなる職場を選択するという意味だ。つまり、英語がそこそこ得意な人が英会話スクールの教師になったとしても、それはフィットしているとは言えない。だけど、これからアジア諸国でもどこでもいいけれど、どこか世界に商品を販売しようと目論んでいる企業に務めれば、そこが例え規模の小さな企業であったとしても、英語力を活かせる機会は格段に多いし、社内でも重宝され、主要なポストにつけて、価値ある経験をできるかもしれない。


また理系の人がメーカー勤務を目指すことも、もちろんいいと思うけれど、そうした業務に魅力を感じていないのであれば、教授がいちいち推薦してくれる企業に勤める必要はない。例えば金融機関で理系の能力が活かせる機会は数多くある。どこの国でもなぜか経済学部は文系に位置しているけれど、正直な所、経済学にしても、金融論しても、一定レベル以上の数的スキルがないと経済の仕組みや商品を理解することは相当な努力を必要とする。だけど理系であれば、業務として選択できる商品は幅広く存在し、理解するのに文系ほど時間を要しないだろう。まあ今みたいに投資家からデリバティブ商品が敬遠されるようなマーケット環境であると、そういった商品を扱う業務を行っている理系の人から順に必要とされなくなることもあるかもしれないけれど。


さらに文系の人が金融や商社に務めることもいいかもしれないけれど、メーカーの営業職やIT職を選択すれば、理系の人材とは違った視点で職務を遂行することが可能になり、希少性を活かせるかもしれない。


時に好きなことを選択するよりも、能力にフィットした仕事を選択した方が上手くいくこともある。どんなにプロスポーツ選手になろうと思っても、運動オンチでは競争に勝てないし、どんなに画家になりたくても、人が笑うような絵しか画けないのであれば、その道に進むのは厳しいだろう。


いずれにしても文系や理系といった枠組みだけでなく、世の中には様々な枠組みが存在する。そうした枠を適切に見極めて、クロスオーバーするような箇所で自分の強みを発揮出来るようなモノを発見できれば、これからの厳しい環境でも十分に生き残っていくことは可能だ。


3.まとめ

これからの仕事選択は、伸び行く進学校を受験するように、安定的で将来性がある企業を探し出すことが成功の道しるべではなくて、自分がいかに没頭できて、または自分の能力を最大限に活かせる「仕事」を見つけ出せるかが重要になってくるだろう。ここでは、昔ほど企業名は重要ではなくて、そこでどれだけ学び取り、知識やスキルを獲得できるかが大切になってくるのではないだろうか。だって何十年後かに務める企業が存続しているか、破綻しているかなんて誰にも予想することはできないのだから。


参考文献
年功序列制度から脱出したら日本の未来は意外と明るいかもしれない リベラル日誌
日本の失業率の裏に隠された真実 リベラル日誌

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