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お金を貸さない銀行

お金は誰から借りるかと聞けば、そんなの銀行に決まっているじゃないか、と言われるでしょう。それは固定観念というもの。最近ではクラウドファンディングという耳慣れない方法もありますが、資金の出し手は案外普通の投資家が出したりするケースも多いものです。

日経ビジネスに「赤字続きでもお金が借りられる」という小さな記事があります。城南信用金庫がベンチャーと組み、電子債権という手法を用いて企業の受注額に対して一定額を貸し付けるという新たなスタイルが紹介されています。

売れることが分かっている商品の仕入れと顧客からの入金時期はずれるもの。その間の資金負担を銀行からのローンにて賄うということであります。中小企業で銀行融資が受けにくいところでも大丈夫、というのが売りであります。

実は私はこのニュースに接した際、全然新しくない、と思いました。企業買収の手法に「相手先資産を担保にした資金調達」、一般に言う「レバレッジドバイアウト」というやり方があります。A社がB社を買収するにあたり買収できたらB社の資産が転がり込むのだから買収が成功する前提でB社の資産担保の条件付きファイナンスを行い、クロージングの際に銀行から買収資金を調達するというものです。

実は私が2004年に不動産会社を買収したのはこの手法です。その頃はまだ極めて新しいコンセプトで、当時、堀江貴文氏がフジテレビを買収しようとしたのもこの手法を前提に交渉をしていました。更に私の場合、銀行がもう一段、リスクヘッジを行い、債権の5割を地元の大手通信会社に売却し、銀行は幹事役と5割の債権を持ち、通信会社からは管理料を取るというなかなかしっかりしたビジネスをしていました。

つまり、今回城南信金とベンチャーがいかにも新しいビジネスを生み出した、とありますが、受注した仕事が引き渡され、代金が入っているそのお金に紐をつけたという点では珍しくもなんともないのであります。但し、不動産や企業買収と違い、商品の引き渡しと代金の振り込みが同時に起きないことと私のやったファイナンスは買い手としての資金調達であるのに対して今回紹介されたのは売り手のファイナンスである点が大きく異なります。

銀行は試練の時代に入っています。スルガ銀行がここまでボコボコになったのは、どうにかして地銀の貸出先減少の難局を乗り越えたいという視点から素人に高利のビジネス資金を貸し付けるというあこぎなことをしたわけです。スルガに続けといくつかの地銀などで同様の問題の芽が出ているようですから今後、似たような地銀事件が出てくる可能性は否定できません。

ここで発想の転換です。銀行はお金を貸すのを仕事にするのではなく、お金の管理流通のプロを目指したらどうか、という着想です。

電力会社が自由化で何が起きたかといえば電気を作る部門と送電をする部門が分かれたことです。電気を作る部門はそれこそ皆さんの家にあるかもしれない太陽光パネルから原発までいろいろです。それらを集めて、流して顧客に届けるのが送電部門です。

最近、とみに浸透してきた格安スマホ。これも大手携帯会社の通信インフラを借りることによって提供できるサービスです。

では銀行はどうなるのでしょうか?私は今後、民間のマネーが溢れてくるとみています。そこには国境を越えたマネーも参入するでしょう。それが意味するのは資金の出し手は星の数ほどある、ということです。後は貸付先を見つけるだけの話です。

保険業界は保険を顧客に売ったあと、自社で抱える場合と再保険といって違う保険会社に売却する場合があります。英国のロイズはその最終引き受け手の象徴的存在です。つまり、銀行もお金を貸さなくてもいいのです。銀行は幹事役としてアレンジし、資金の回収の事務手続きを行い、その手数料ビジネスをするのであります。

例えばリスクの高い資金需要があったとしましょう。銀行は貸せません。そこで銀行が投資家を募ります。ハイリスクハイリターンだけどどうか、と。借り手は雨の日には貸してもらえない傘を借りられたと喜ぶかもしれません。これがビジネスというものではないでしょうか?

銀行が苦しんでいるのは銀行はお金を貸すところという固定概念があるからです。お金を貸さない銀行があってもよいのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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